結果(0−1PKで負け)だけを見れば善戦と言えるかもしれないが
実態は超えられない壁が幾つも現れたような試合だった
よく言われることに、高速道路を降りたあとは、気をつけないと
普通の道路でスピードを出しすぎてしまう傾向があるそうだ
高速道路のスピード感に慣れて、それ普通と感じてしまうかららしい
ブラジルの選手は、昨日の日本代表との試合は普通の道路の運転だったのはないか
彼らは普段は高速道路の運転をしている
スタメンのメンバーの所属チームを見れば、それははっきりする
【GK】アリソン(リバプール)
【DF】アウベス(FCバスセロナ)、マルキーニョス(パリSG)、
ミリトン(R・マドリー)、アラーナ(アトレチコ・ミネイロ)
【MF】カゼミロ(R・マドリー)、フレッジ(マンチェスター・U)、パケタ(リヨン)(リーズ)
【FW】ラフィーニャ(リーズ)、ビニシウス(R・マドリー)、ネイマール(パリSG)
ちなみに交代選手は
コウチーニョ(アストン・ビラ)ジェズス(マンチェスター・C)リシャルソン(エバートン)
殆どがヨーロッパのビッグチームに所属し、チーム内の戦いにも勝ってレギュラーを確保し
いざ実戦となればスピード、あたりの強さ、技術、アイデアなどが別次元の戦いをいつも経験している
その体に染み込んだ体感からすれば、日本の選手との戦いは余裕を持っていられたのではないか
昨日の試合で頻繁に見られた股の下を通すパスとかドリブルやヒールパス
これなどは、相当気持ちに余裕がないとできない
日本の選手で対応に困るのは、こうした人の裏とか逆を取るようなプレーだ
彼らのプレーは途中でプレーの選択を変える余裕とか技術がある
日本の選手はスピードを急ぐあまり不正確になったり、相手にプレーを読まれてしまうが
ブラジルの選手は、戦いは相手との駆け引きという現実が身についている
ネイマールのよく行う跨ぎのフェイントは、同じ南米でもアルゼンチンの選手はあまり行わない
アルゼンチンは現実的に無駄のないプレーを好みがちで、一見無駄のような駆け引きのプレーは
優先度は高くない
そしてシンプルに勝利を目指して戦う
一方ブラジルはどこか「人をおちょくる」ような要素を楽しむメンタリティがある
昨日のネイマールのPKでもそうだが、GKはネイマールのPKシーンを
ビデオで勉強しているはずなのに、やっぱり裏を取られるような得点を許してしまう
そこには対戦者しかわからない駆け引きとか、それを優位に勝ち取る特殊な能力が
ネイマールにはあるのかもしれない
つまりは日本の代表選手はスピードとかあたりとかには、少しづつなれてきて
そこそこ対処できるようになってきているが、いざ人との駆け引きの部分があると
正直すぎるわかりやすいプレーで、相手は対処しやすいのではないかと思えてしまう
期待された三苫のドリブルもブラジルのDFに体を入れられて通用しなかった場面があった
あのシーンなどは、彼らは普段から経験しているものの一つとして体に染み込んでいるもので
対応できているような気がする
とはいうものの、守りはバタバタしながらもよく守れた
これで富安がいればもう少し安定感があっただろうが
問題は攻撃で、結局枠に飛んだシュートはゼロ
枠内シュートがゼロが問題なのは当然だが、攻撃のパターンが貧弱なのは相変わらずだ
サイド攻撃が有効だとしても自発的にサイド攻撃をしているというよりは
サイド攻撃をさせられているようにさえ思える
(真ん中さえ抑えておけば失点はしないと考えて)
どうも真ん中の迫力がない
(縦のパスも少ないし、相手にとって左右に散らすパスは怖くない)
サッカーは、点を取らないと勝てないと考えるか
点をとられなければ負けないと考えるか
このシンプルな問が又もや頭に浮かぶ
日本には釜本以後、ストライカーと言われる選手が出ていない
自分でシュートに持っていけて、決定力もある選手は自分の記憶にない
(一時期の三浦知良は自分で持っていけたが)
負けない試合をせざるをえなくても、それは重心が後ろになるので
カウンターを仕掛けるにも長距離のそれになってしまう
南アフリカのワールドカップのときもそうだったが、ゴールまでは物理的にも遠すぎた
結局のところサッカーはチームプレーというものの個人のレベルを上げるしかない
その個人のレベルを上げるには海外の経験が必要となるが
現在は若い人はいきなりヨーロッパに行ってしまう
だが昨日の試合を見て気づいたことは、日本人は若い一時期ブラジルにいって
相手との駆け引きを当たり前とするサッカー文化の経験を積んだほうが
いいのではないかと思ってしまった
ということで、試合に負けたあとは色々考えることがあるということ