故 板倉先生を偲ぶ(1)
板倉先生との交流は、私が琵琶湖研究所で働き始めた1983年に始まった。
公私に及ぶ付き合いだったが、その中でも特に思いで深いいくつかの話題をご紹介しよう。
(1) 琵琶湖回転水槽実験
琵琶湖研究所には、水平縮尺3万分の一、鉛直縮尺300分の一の歪型回転水槽模型があった。
入所当時、京都大学防災研究所の大久保賢治助手(現在、岡山大学教授)と一緒に水槽実験を行った。
1984年のことだった。
一連の実験が終了した後、板倉先生から当時としては最新であった小型赤外線カメラ(三菱電機製)を用いた実験をしたいとの申し入れがあった。
ずいぶん高価なカメラで500万円近くした記憶がある。
板倉先生の専門は赤外線計測で、現在のオプテックス社の小林社長らが滋賀大学に出向いて赤外線自動ドアのテストをされていた。
回転水槽実験は、琵琶湖の環流を再現することを目的として製作されていた。
実験装置自体が大きなモーター上で回転するので、カメラは真上に取り付けて一緒に回ることになる。
湖の周辺にパイプ状のヒーターを取り付けて熱すると、やがて水の流れが生じる。
今思っても幻想的な環流の再現だった。
今、再び琵琶湖の環流にスポットライトを当てようとしている。
世界一美しい環流を、世界の人々に紹介したい。
このことが板倉先生からのご厚情に対する恩返しかな、と思っている。
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