あらら、やはり。
そんなニュースが流れている。
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福島第一原子力発電所の汚染水が海に流れだすのを防ぐため、東京電力は汚染水の一部を凍らせて氷の壁をつくる「凍土遮水壁(凍土壁)」の建設を進めているが、凍結を始めてからおよそ1カ月半がたっても十分に凍っていない状態であることがわかった。
凍っていないことが確認されたのは、2号機の海側にある「トレンチ」と呼ばれる部分に建設されている凍土壁だ。トレンチは配管やケーブルを敷設するための溝・トンネルを指す。2号機ではタービン建屋とトレンチが地下でつながっているため、タービン建屋から高濃度の汚染水がトレンチに流れ込み、そこから汚染が広がる状態になっていた。
東電はトレンチ内の汚染水を抜き取るため、タービン建屋とトレンチの接続部分に凍土壁の整備を進めており、4月28日から凍結を開始。しかし、6月に入っても、十分に凍っていない状態だった。6月16日に行われた東電の記者会見の内容を、NHKニュースが報じている。
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5月の連休明けに政府関係者と東電、鹿島建設の3者が凍土遮水壁の説明に来た時に、この可能性を指摘したのに。
その時の説明は、モックアップ実験をして有効性を確かめたというものだった。
後日、ニュースでもこの事前実験のことが流れていた。
確かに実験は成功している。
しかし、この実験には大きなごまかしがある。
まず10m四方という狭い範囲での実験であること。
次に、3月から4月の寒い時期の結果であるということ。
凍土遮水壁の問題は、実際のスケールが大きい(数キロにわたる)ということ、寒暖の差に対する影響が分からないことがあるから、うまくゆかない場合の対策を考えなさいと助言したのだが。
スケールが大きくなればなるほど、空間的な非均質さが顕著となり、ひずみが出やすくなる。
輪をかけてたちが悪いのは、自分たちに都合のよいデータだけを示して、強引に実施することだ。
夏場に地表は40℃近くなり、凍土はマイナス40℃だ。
80℃の温度差がでる。
地面の熱膨張だけでも大きい。
そこに最近の豪雨だ。
このあとの責任を誰がとるというのだろう。
まさに泥沼というのはこのことだ。
日本陸水学会は、凍土遮水壁の問題点をホームページで指摘している。
おそらくこの通りのことが起こるのだろう。
何百億円という、大きな無駄遣いだ。
そういえば、集団的自衛権の問題も、どうも怪しい。
よほど武器を売り、武力行使をしたい人々がいるのだろう。
あと10年間で、大きな戦争が起こらないことを祈るばかりである。
目先の利潤に、魂を売らないようにしてほしい。
それが政治家に望むことだ。
安易な選択は、大きなツケをもたらす。