ガラパゴス通信リターンズ

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休みの国

2009-05-15 14:16:25 | Weblog
 ゴールデンウイークということばは、もともと高度経済成長期に映画産業が作ったものでした。休日が並ぶこの書き入れ時に各社は、「黄金週間」と銘打って石原裕次郎や小林旭などの看板スターが主演を務める豪華な作品を並べたのです。「黄金週間」とはいうものの当時は1日おきに休日が入る「飛び石連休」が基本。日曜日をはさんでの3連休がせいぜいでした。ところが今年はカレンダーどおりでも5連休。9月にも5連休があります。

 連休が大型化していったのは90年代の末からのことです。祝日法が改正され日曜日と祝日が重なると月曜日が休みになる「ハッピーマンデー」が採用されています。1月15日だった成人の日が、1月の第2月曜日に移されます。海の日、敬老の日、体育の日も同様の扱いを受けました。度重なる祝日法改正の背後には、長引く不況のなか、大型連休を作ることによって消費を喚起しようという政策的な意図が働いていました。

 休日と平日では生活リズムが違ってきます。欠勤率の上昇や作業効率の低下などの「ブルーマンデー」の諸症状は休日と平日との時差ボケがもたらすものです。休日が続くほど時差ボケもひどくなる。週休二日より、半休が二日ある方が子どものためにはよいという専門家もいます。月曜日がやたら休みになるために祝日に授業をやることが大学では珍しくありません。「ハッピーマンデー」など即刻やめてもらいたい。


 ある心理カウンセラーがこんなことを言っていました。6月と7月に相談室を訪れる学生の数が目立って多い。6月には祝日がなく、疲れがたまりやすいことが一因していると思う、と。6月にはたしかに国民の祝日がありません。夏至を祝う「太陽の日」などはいかがでしょうか。休息のあり方は、人間の幸福と深い関わりがあります。消費の喚起という経済的な動機にのみ基づいて連休を増やしてきたこの国は深く病んでいるという他ありません。

4 コメント

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予備校は (かつのり)
2009-05-16 07:13:02
予備校では連休はありません。普段通りです。そのくらい当然という連中じゃないと、浪人はつとまりませんでしょう。
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差がつかない (加齢御飯)
2009-05-16 09:17:42
「予備校では連休はありません。普段通りです。そのくらい当然という連中じゃないと、浪人はつとまりませんでしょう」

 人が遊んでいる時にがんばらないと差がつきませんものね。いまの若いもんはその根性がないから浪人を嫌がるのかと。
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優柔不断 (かつのり)
2009-05-16 10:35:55
>いまの若いもんはその根性がないから浪人を嫌がるのかと。

いつも優柔不断ではっkりと返事をしない子が、「浪人はする気あるの?」と訊いたら、「絶対にしません」とぴしゃりと即答しました。あ、なんだあ、返事できるんじゃない、その気になれば、と思いました。
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家計 (加齢御飯)
2009-05-16 10:55:48
いつも優柔不断ではっkりと返事をしない子が、「浪人はする気あるの?」と訊いたら、「絶対にしません」とぴしゃりと即答しました

「浪人しない」ということだけについては、決然たる意志をもっていると(笑)。まあ、いまの若い人たちが浪人を嫌がるのには経済的な理由もあるのでしょうね。親から家計がきつい、きついといわれながら育っているのですから。
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