本書は、アメリカの大ジャーナリスト、デービットハルバースタムの遺作となった大著である。まだ上巻を読み終えたところだが、いくつか発見があったので記しておきたい。
①朝鮮戦争勃発当時のアメリカ軍は装備と兵員の質においてひどく劣化していたという記述には、はっとさせられた。厳しい戦争が終わったのは5年も前のことである。大量の軍人が復員し、平和な時代になれば当然軍事予算は削減されていく。兵士の能力も士気も第二次大戦当時とは比べ物にならないほど落ちていた。
②アメリカ軍の士気が上がらなかったことにはもうひとつ理由がある。アメリカにとって軍事的重要性の高い国であり、戦後一転して親米的になった日本の価値を多くのアメリカ人は認めていた。そして宣教師を熱烈に歓迎したかつての中国に対しても、アメリカ人は深いシンパシーを抱いていた。ところが韓国とアメリカはそれまで何のつながりもなかった。韓国のために戦うモチベーションが上がらぬ道理である。
③マッカーサーという人は、歴史に名を留める偉人たらんとする欲望に取りつかれていた。アメリカ国内政治においては、極度の保守派で徹底したニューディル嫌いであったにも関わらず、日本の戦後改革においてはニューディラーを重用したのも、より革新的な改革を行い、劇的な変化を日本社会にもたらせば、自らの名を不朽のものとすることができるという計算に基づくものであった。
④マッカーサーは、朝鮮戦争においても戦略的戦術的合理性より、自らの名声を高める劇的効果という観点から作戦を採用していった。そのために戦局は混迷を極めていく。そして、マッカーサーだけではなく、この戦争に関わった共産側の指導者ー金日成、毛沢東、スターリン―たちは、みな狂気にとりつかれた人たちであった。。人格に異常性をもつ人たちが、歴史を動かす判断を下していたかと思うと恐ろしい。
①朝鮮戦争勃発当時のアメリカ軍は装備と兵員の質においてひどく劣化していたという記述には、はっとさせられた。厳しい戦争が終わったのは5年も前のことである。大量の軍人が復員し、平和な時代になれば当然軍事予算は削減されていく。兵士の能力も士気も第二次大戦当時とは比べ物にならないほど落ちていた。
②アメリカ軍の士気が上がらなかったことにはもうひとつ理由がある。アメリカにとって軍事的重要性の高い国であり、戦後一転して親米的になった日本の価値を多くのアメリカ人は認めていた。そして宣教師を熱烈に歓迎したかつての中国に対しても、アメリカ人は深いシンパシーを抱いていた。ところが韓国とアメリカはそれまで何のつながりもなかった。韓国のために戦うモチベーションが上がらぬ道理である。
③マッカーサーという人は、歴史に名を留める偉人たらんとする欲望に取りつかれていた。アメリカ国内政治においては、極度の保守派で徹底したニューディル嫌いであったにも関わらず、日本の戦後改革においてはニューディラーを重用したのも、より革新的な改革を行い、劇的な変化を日本社会にもたらせば、自らの名を不朽のものとすることができるという計算に基づくものであった。
④マッカーサーは、朝鮮戦争においても戦略的戦術的合理性より、自らの名声を高める劇的効果という観点から作戦を採用していった。そのために戦局は混迷を極めていく。そして、マッカーサーだけではなく、この戦争に関わった共産側の指導者ー金日成、毛沢東、スターリン―たちは、みな狂気にとりつかれた人たちであった。。人格に異常性をもつ人たちが、歴史を動かす判断を下していたかと思うと恐ろしい。