石角さんは日本人として極めて珍しいユダヤ教徒になられた方です。
しかし、私は石角さんは、キリスト教徒になられた方が、
はるかに良かったのではと何度も書いてきました。
たとえば作家、佐藤優さんは同志社大学神学部卒で外務省に入られ、
現在、作家・評論家として活躍されていますが、
聖書とキリスト教をフル活用されています。
なぜ、私がそう思うかといいますと、
特にユダヤ教徒の民族宗教としての限界があるからです。
さて、石角さんのユダヤ教になられた証しを紹介していますが、続けていきます。
石角さんを指導されたラビは、改宗するにあたって、
石角さんが死んだ時、遺体は必ず土葬だと明言されたといいます。
ではキリスト教の半数を占めるカトリック教会ではどうでしょうか。
火葬禁止の原則は長らく守られてきましたが、時代の流れに逆らえず、
火葬が教義に反しないとしてローマ法王庁がやっと公認に踏み切ったのは、
進歩的といわれた法王ヨハネス23世の時代で、
20世紀も終わりに近い1963年のことでした。
一方、カトリックに批判的で宗教革命を経て誕生したプロテスタントは、
比較的早くから火葬を受容してきました。
マルティン・ルターが登場する100年も前の15世紀初頭に、
宗教革命の先駆者だったヤン・フス（当時プラハにあったカレル大学の総長）
が異端者として火刑に処せられたのをきっかけに、
信奉者が立ち上がってローマ教会と激しく戦ったのですが、
その後に中欧の北部で火葬が行われるようになったのは
フスの影響が大きかったと言われています。
プロテスタント各派が火葬に寛容であったのは、
ローマ教会のくびきから脱しただけでなく、
り合理的な思考を重んずる気風が強かったためです。
それに比べて新教のうちカトリックにもっとも近い
アングリカン・チャーチ（英国国教会＝聖公会）がやっと
火葬を公認したのは1944年でした。
モーセ五書の一つの創世記では、主の言葉として
「あなたはついに土に帰る。あなたは土から取られたのだから。あなたは塵だから、塵に帰る」
に固く立っているからです。
申命記においては、イスラエル民族の指導者、預言者でもあった
モーセが120歳で死んだとき、次のように書いています。
「こうして主のしもべ、モーセは主の言葉のとおりにモアブの地で死んだ。
主は彼をベテオベルに対するモアブの地の谷に葬られたが、
今日までその墓を知る人はない」 神がみずから行われた葬法は
絶対に守るべき律法として今日に至るまでユダヤ教徒を縛り、
ユダヤ民族の国として1948年に独立したイスラエルでは火葬は
タブーなのです。
2004年に火葬を主張した“進歩的”な葬儀社が火葬場を新築しましたが、
ユダヤ教徒に放火されて焼け落ち、
その後に再開されたけれどもその正確な場所は伏せられたままということで
す。
石角さんは日本人として同じ墓に入りたいということを言いましたら、
改宗は断念した方がいいということでした。
しかし、日本でもクリスチャンは仏教徒の墓には納骨されませんので、
教会では大半が、教会の敷地に納骨堂を建てています。
できない場合、教会の教団教派を超えた納骨堂を共同で建設しています。
日本的な慣習の中で育ってきた石角さんはもし日本で亡くなったら
飛行機で遺体をアメリカかイスラエルに運び、
土葬するようになるとのことです。
石角さんは４人の子供さんがおられるようですが、
おそらく子供はユダヤ教徒ではないのでどうなるのでしょう。
聖書を基盤に一神教であるイスラム教はどうでしょうか。
イスラム教の聖典『クルーアン（コーラン）』は、
信徒の埋葬に関して「やがて彼（人）を死なせて墓地に埋め、
それからお望みのときに彼（人）を甦らせる」と述べてあり、
この記述が土葬の根拠になって火葬は絶対あり得ません。
理由はコーランに書いてあるからで、それ以上でもなければ、
それ以下でもないからです。
宗教法の定めとしての土葬規定はイスラム教でもっとも厳しく、
死後24時間以内に埋葬しなければならないなどの定めもあるのです。
