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安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

新約聖書の世界 48 新約聖書時代背景 08 新約時代の幕開け 08 ユダヤ教の成立 01 エルサレム崩壊後のユダヤ教共同体 

2024-05-16 04:00:00 | 聖書入門 新約聖書
パレスチナを中心に東はメソポタミヤから西は、

スペインにおよぶ広域な地域において、ギリシア、

ローマの思想や迷信的な民間宗教が満ち溢れている異教社会で、

異民族を改宗させ、共同体を形成して、数世紀も維持できたのは、

律法を持ち、規範としたユダヤ教あってのことです。

まずユダヤ教の根幹はエルサレム神殿でした。

ヘロデ大王は壮大な神殿を改築し、デアスポラの巡礼者を

世界各地からエルサレムに集め、神殿税を取り込み、神殿では

祭司による多くの儀式、犠牲が祭壇に捧げられました。

そして神殿にはイスラエルの古い通貨でしか通用せず、両替屋もあります。

祭壇の照明、清掃、露天商も並びます。

またシェマの祈りの朗読、アロンの祝祷などの礼拝音楽が盛んでした。

ヨセフスはディアスポラが300万人集まってきたと書いています。

そして神殿には最高法院というサンヘドリンがあり、僧衣をた指導者がいます。

サドカイ人、パリサイ人など民の指導者70名でした。

しかし、ローマ総督府の管理下にあり、民事、刑事の司法が主な仕事でした。

同時に行政も担っていました。

ローマ総督は常時、カイサリヤに滞在し、過ぎ越しの祭りなど

多くの群衆が集う時にエルサレムに治安を目的に来るだけでした。

その過ぎ越し祭りでイエスの審問が行われたのです。

12使徒や使徒パウロも同じ経験をしました。


マルコによる福音書
14:55 祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にするためイエスにとって不利な証言を求めたが、得られなかった。

使徒言行録
5:21 これを聞いた使徒たちは、夜明けごろ境内に入って教え始めた。一方、大祭司とその仲間が集まり、最高法院、すなわちイスラエルの子らの長老会全体を召集し、使徒たちを引き出すために、人を牢に差し向けた。
22:30 翌日、千人隊長は、なぜパウロがユダヤ人から訴えられているのか、確かなことを知りたいと思い、彼の鎖を外した。そして、祭司長たちと最高法院全体の召集を命じ、パウロを連れ出して彼らの前に立たせた。


しかし、先回に述べましたようにエルサレム崩壊後は、

地中海海岸のイヤモニに移り、

ラビ(律法学者)たちが運営するようになりました。

そしてユダヤ教勢力が衰退しなかったのは、

ひとえに各地にあったジナゴーグ(注・01)というユダヤ教の会堂です。

ユダヤ人の多く住むところには必ずあり、

当時、150以上はあったようで、このシナゴーグに使徒パウロは行き、

キリストの福音を説きました。



シナゴーグ(注・01)
ユダヤ教の会堂のことである。ギリシャ語のシュナゴゲー(集会所)に由来する。聖書には「会堂」の名で登場し、ユダヤ教会と俗称されることもある。キリスト教の教会の前身であるが、役割はやや異なる。元々は聖書の朗読と解説を行う集会所であった。現在では、祈りの場であると同時に、各地のディアスポラのユダヤ人の礼拝や結婚、教育の場となり、また文化行事などを行うコミュニティーの中心的存在ともなっている。

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