「ひょう」とともに、それは始まった

陣痛は、一旦、収まった。
一時は生まれるのか、ぐらいの勢いだったのだが、一旦、平穏無事に戻る。
ま、よく考えたらそうですわね。

朝、妻は、様子を見てもらいに産院へと出かけた。
いつ生まれてくるのかは、わからない。
それでも一人で産院へ電車とバスで出かけるという。
そのかわり愚息に幼稚園を休ませたくないという。
女は強い。

子どもを乗せて、自転車で出かける。
すると途中から「ひょう」が降り出した。

子どもは、「ひょう」が嬉しいのか、なんか妙な唄を唄っている。

♪明日の天気を売っているお天気自動販売機
　明日の天気は、アメ、アメ、アメ、アメ、ヒョウ！

なんじゃそりゃ。
一瞬、「ひょう」ちゃんという名前が、頭をよぎるが、あまりにも安直だと考え直す。
大体、女の子かどうか、わからないんすよ。
っていうか聞いていないんですよね、性別。
ま、その産院も教えない方針なんですけどね。

妻からの報告電話。
医者からこう言われたらしい。

今日生まれるかって言われたら、生まれない方にミカン一個かけるけど、
ミカン１０個かけるかって言われたら、かけない。

よく分かったような、分からないような、微妙な説明。
ま、神の思し召しでありんすからね。

医者に、よく歩いて下さいと言われた妻、
なんと、高井戸の産院から、家まで歩いて帰宅したらしい。

やっぱり女は強い、かも。

お産事始め

深夜３時、妻の陣痛が始まり、起きてきた。
産院に電話をいれた。
ゆっくりと寝ておきなさいとのこと。

リビングのソファで、うたた寝をしてしまっていた僕も起きる。
お腹が減ったというので、豆腐のみそ汁とほうれん草のおひたしを作って食べさせた。

妻は、いつでも出かけられるよう身支度をしている。
まだまだこれかららしいのだけれど、ついに何かが始まった。