ばん馬のいる風景-BANEI Photo Gallery -

ばん馬の写真とコラム。2021年夏まではツイートまとめも載せています。

鷹栖の馬具

2024-03-24 00:13:40 | コラム
今年に入り、鷹栖町郷土資料館が所蔵する馬の装蹄用具や馬具が、国の登録有形民俗文化財に登録された。
馬具が文化財に。それが鷹栖、と聞いて驚いた。ポニーばん馬をやっている人がいること、昔ポニーばん馬をやっていたことしか知らない。しかし、記事を読むと早いうちから資料をまとめていた人がいたようだ。
そこから発展して演劇やイベントなどさまざまな企画が生まれている。

馬耕がもたらす恵み 演劇、観光ツアー… 上川・鷹栖の装蹄用具、文化財に<デジタル発>:北海道新聞デジタル
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/989249/

先日流れていたグリーンチャンネルの「競馬ワンダラー」の再放送を見ていたら、今金町が出てきた。今金?!(申し訳ないけど)馬にゆかりはないだろうから、行くことはないと思っていた町だ。
しかし短期間だが競馬場があったという。馬頭観音も作られた。見識の広い住民の方がわかりやすく魅力的に説明をしてくれて、大変興味深かった。

馬文化を残してきた人に感謝するばかり。できるだけ早く、先人に話を聞いておかなくてはと思いながらほとんどできていないことに反省。
馬文化を残していこうとしている若い人が増えているのはうれしいし、少しでもその手伝いができればと思う。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死を伝える

2023-08-23 22:33:55 | コラム
活躍している現役馬や繁殖や馬車などで有名な元競走馬が、病気やけがで命を落とした時は、ファンに伝えるのが義務だと思っている。辛いことだがその作業も競馬の一部だろう。サラブレッドでは当たり前の流れになっていると認識している。
隠すではなく死んだ馬のことは振り返らないという気持ちもわかるけど、競馬業界はファンありきということがもっと浸透してほしい。
そう強く願うからこそ、丁寧に発表してくださる関係者の方には感謝したい。

キタノユウジロウの死が発表された。取材時にちらっと挨拶はしたが(馬房で暴れてた)、見学が始まってからゆっくり会えるだろうと思っていたから残念だ。
ばんえいは、競走馬を引退してから長生きできない馬が多い。競馬場時代から変化した飼養環境もあるだろうし、もともとレースができない状況で、せめて種馬に、繁殖にという馬もいただろう。
誰だって、実際の死因なんてわからない。人間だってそんなことはある。
それなら愛され、そして寿命だった、と思って供養するのが馬に対してできることだと思っている。

ばんえい牧場は見学も受け入れ、馬の死をきちんと伝える牧場だからありがたい。
ここ最近、自分がブログなどで最初の死を伝えることが多くて、なんで私ばかりが、と参っていた。私が言っても信じられない人はいるだろうし、以前のように主催者が発表してほしい。最近は行わなくなってしまったね。
まぁ必要だと思うからやるけどさ。いろいろ疲れたよ…

閑話休題。
そんな丁寧なばんえい牧場に対して「最近多いよね」と聞くことが多かった。私の感覚ではそうは思わない。タイミングもあるし、複数の種馬がいるから自然とそうなる。
なによりほかの死があまりに発表されていなさすぎなんだと思う。
あれだけ馬を愛して丁寧に馬をみてよく獣医師を呼んで、それでもなんだから仕方がないよね、という気持ちだった。

このままだと、「うちの牧場は馬がよく死ぬと思われる」から発表しないということになりかねない。というか実際そのような流れになっていると思う。
ファンは馬の死に敏感だから、反応が辛いのはわかる。でも逆はかえって怖い。
ばん馬の生産界もファンの存在を感じられるチャンスが増えていけばと思う。
サラブレッドより格段に難しいことなんだけどね。自分たちで競馬を楽しむその周りにファンがいること、どうやったら気づいてくれるかな。

SNSでと思ったが長くなったのでこちらに書きました。
ずっとSNS減らしてblogにっていってできてないね…今回いいタイミングかな。


それと。

競馬はレース以外にも戦いの場がある。だからファンは、戦中にある関係者の言葉を鵜呑みにしてはいけない。舌戦に飲み込まれてはいけない。
サラブレッドのファン時代から心がけていることだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

庶民の娯楽

2023-06-10 21:54:00 | コラム
早い時間のレースに、観光客が増えてきた。ツアーバスも複数台並んでいるし、少しずつコロナ前の風景に戻ってきているように思う。

正直いうと、観光客が見る時間帯は下級クラスや2歳のレースばかりなので、障害を越えられない馬も多く「かわいそう」といわれがち。2歳を見て「大きい~」と話しているのを見ると「メインまで残ればもっと大きな馬が出るのになぁ」などと思ってしまう。

観光地化することに対して心の中で思うことはあるけれど、喜ばしいものとして受け入れるほかない。この中で「自分も頑張ろう」と思ったり、馬の性質にたどり着いたりしてくれる人がいてくれればと思う。

障害越えにわく場内を少し離れたところから見ていると、ふと昔の景色がよみがえった。岩見沢競馬場だ。
同じように大勢の人がコース前に集まっていた。家族で訪れて馬券を買い、馬を応援する。牧歌的な光景として記憶に残るが、何が今と違うのだろうか。
映え、誰でも撮りやすくなった写真、YouTuber。昔から自分好きはいた。昔は良かった、といえるだろうか。
今でも庶民の娯楽でありうるのではないか。と、ゴールに流れゆく人の波を見ながら感じていた。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まめに書くことにしよう

2023-06-04 13:54:50 | コラム
まめにブログを書くようにしよう。と、ようやく重い腰を上げたところです。
SNSは楽だ。それに甘えて気持ちをまとめられていない自分を恥じている。

そもそも、競馬や馬のことは、一言で言い表せられるものじゃないのだ。
馬と向き合いながら、いまだに答えを探している。
答えをせかされる世界は生きにくい。
SNSから少しずつ距離を置いて、自分の思いは丁寧に述べつつシンプルに生きたい。

ここ1、2年そんな話を何人かにしてきたのだけど、ほとんどの人に「noteがいいのでは」と言われる。
noteのシステムは私の思いに近いのだけど、必然的にフォロワーに読まさる(北海道弁)のがね。(恥ずかしがり)
原点だし、気づいた人だけに読まれるblogにと思っているけれど、
半年前に「更新終了」と投稿したnoteに戻ろうかなって気持ちも4割くらいある。
気が向いたらだなぁ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北海道の牧場で 過去のばん馬大会を知る

2023-05-18 09:07:19 | コラム
「北海道の牧場で」(岡部彰、福音館書店、1979)。
新ひだか町図書館で見つけて、帯広図書館で取り寄せをお願いしたら帯広にもあった。舞台は北海道北部としかないが、名寄とかそのあたりだと思う。
稲作から酪農に転換した家に住む中学1年の一郎が主人公。当時の農家や子どもらの描写がとても良い。一節に輓馬大会の話がある。まぁここを一番読みたかったのだ。思っていた以上に、当時の大会についての描写が細かかった。

この地域の輓馬は農作業が一区切りした7月はじめ(半夏生)に行っていた。1970年ころの話だが、この地域はかなり機械化が進んでいて馬を使う人はほとんどいなくなっている。
ただ、馬を好きな人は、輓馬のためにだけ飼っている。牛や馬の馬喰である一郎の伯父も、たまに馬を使って農作業や運搬をしている(仕事は少しずつ減っているが)。伯父の馬、タイガーはクリスマスに、デパートに頼まれて家庭にプレゼントを運んだそう。ほのぼの。

大会についても細かく書かれている。1歳、2歳、一般、重量といった今とほとんど変わらないクラス分け。本では2歳馬、3歳馬、農耕馬、重量引きと表記されていた。4種目は4~8組で予選を行い各組4~6頭。1位になった馬が決勝に進む。今では予選=決勝だが、当時の名残なのだと思う。
300メートルのU字型で、150センチの山が2つ。400キロくらいを引くとある。重量引きだけは直線150メートルで900キロを引き、障害は一つだけ超える。手綱で追うことを「波打ち」と言っている。今は半分のコースだけを使うことはないので興味深い。その方法があったか!

大会の朝は花火が上がり、会場には露店が出て、重箱を持ち寄っての昼休み。家族のお祭りだ。
馬は「金や銀の糸で刺繍された錦のガウン」をまとい(ゼッケンのようなものだろう)、頭に花を刺し、荷車やトラックには旗やのぼりを立てて競馬場に入る。馬が引く荷車に家族を乗せてくるところもあるようだ。レースでは家族総出で声援を送り、ゴールの出迎えや止まった馬を家族が取り囲む。来賓テントには優勝旗が飾られ、賞品はテレビや冷蔵庫、自転車、ラジオ、酒。
馬を飼う人が減ったので、伯父は「今年こそ勝てるだろう」と意気込むが、旭川や富良野などからも来ていてかえって増えていた。地元の娯楽から、転戦する人が現れ競技色が強くなり始めた時代なのか。今は馬も人も少ないから、ほとんどの人が各地を巡ってばん馬を楽しむ。
帰りは、酔っ払ってすっかり眠りこけたおじさんと御者を載せた荷車を、タイガーが引いて歩いて行くーという描写でその節は終わる。
馬はいつも涼しい顔をして、人間どもの喧騒など関係ない風に描かれているのもいい。

ばん馬大会の基本は今とそう変わっていないことに気づけてうれしかった。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする