さよなら三角 また来て四角...日本編☆第二章☆

オーストラリアから10年ぶりに帰国。特別支援教育に携わりながら
市民農園・家庭菜園に励んでいます。

一縷の望みに賭けるせつなさと残酷さ

2010年12月19日 20時28分21秒 | Web log
昨日は夕方からビーチに行きまして。

あそんでいたら、イルカ発見。
すぐ遠くにいってしまったのですが、至近距離(1mくらいのところ)に
黒い影が。

イルカだ!と思ってみていたら

あざらしでした。

尾が見えました。感動~

で、今日、友達から電話がかかってきて、そのことを話したら

彼女たちは セイウチ を見たとか。

すごいですね。

野生だから、感動もまた大きいんですよ。

水族館でみるのと、違いますからね。

さて、今日の午前中にシュノーケルとか水中マスクとかを買いに出かけまして。

ベンジャミンの旧クラスメートと遭遇。

お母さんとお姉ちゃんと3人で買い物をしていました。

その子のお父さんなんですが、おそらく30台後半くらいで、まだまだ若いのですが
大腸がんが肝臓に転移しまして。危篤状態が続いております。

一ヶ月前に、あと数日と言われたのですが、持ち越しまして。

ちょっとは回復したのかなと思って「ご主人の様態はどうですか?」と
軽い気持ちで聞いてしまったのですけれど。

だんだん悪くなっているとのこと。

余計なことを聞いてしまい、申し訳なく思っていましたら。

堰切ったように、いろんなことを話してくれました。

「もう、先は長くないし、今の医療では手の施しようがない状態なので、その事実を受け止め
家族で最後の時間を大事に過ごしたいのだけれど、義理の両親が『風水』を信じていて、
私が一緒にいるのが『良くない』というんです。だから、今、実家に帰っているんです。
迷信なんですけれど。彼の両親がそう信じているから、私にはどうしようもできないんです。」

と言いながら、お店の中でポロポロと泣き出してしまいました。

「義理の両親は、息子である主人を愛しているから、一日でも長く生きて欲しいから、
風水で言われたとおりにしているのは、良く分かるんですけれど。でも、わたしは
一日でも、一時間でも長く一緒にいたいし、子どもたちと一緒に過ごして欲しいと
思うんです。」

「ご主人は何と言っているの?」

「主人も、諦めたくないと思っているから、風水の言うことにすがっている・・・」

一縷の望みのために、不合理にすがるご両親、ご本人を全く理解できないわけではない。

底なしにせつない。

人生の終わりを告げる砂時計の砂が、少しでもゆっくり落ちてくれれば、と何かにすがりたい
気持ちも良く分かる。

でも、砂は着実に落ちているのだ。

であるならば、少しでも長く家族との時間を過ごしてあげるべきではないのか???
と思う。

蚊帳の外に放り出されてしまった、奥さんと子どもたちがとてつもなくかわいそうで、
何とかならないのか?・・と思いながら頭の中であれこれ考える。

あれこれ考えながら『世の中には、私が何をどうしようが、どう考えようが、
どうしようもないこともあるんだ』という、理性の声がかすかに聞こえてくる。

何を信じようが、それはその人の自由。
迷信であろうが、正統的な宗教であろうが、そこに優劣は問えない。
信じる人にとっては、それが全てなんだろうから。

信じることは、合理性や論理や知性を超えているから、
相手の理性に働きかけることはできても、信じさせることはできない。

どんなことであれ、信じることへの決断はどこまでも主体的で主観的なものだ。

だからこそ、難しい問題なんだろうと思う。

一縷の望みに賭ける義理の両親の切実な思いとせつなさと
それゆえに彼女に『隔離』を言い渡す彼らの残酷とのはざ間に立たされて、
呆然と立ち尽くすしかない彼女の孤独を一体誰が、癒すことができるのだろう。

署名

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