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メーガン妃とヘンリー王子 見え隠れするダブルスタンダード “暴露本”伝記の発売は英王室を揺るがすのか
メーガン妃とヘンリー王子 見え隠れするダブルスタンダード “暴露本”伝記の発売は英王室を揺るがすのか
新型コロナ禍にある英国だが、ロイヤルファミリーの話題は尽きない。特に8月に発売予定のメーガン妃とヘンリー王子の“暴露本”とも言われる伝記「Finding Freedom(自由を探して)」は、その内容が一部明らかになり、連日報じられている。度重なる英メディアからのバッシングもあって“王室引退”し、米ロサンゼルスで穏やかな暮らしを求めていたはずの夫妻だが……。93年に渡英、ロンドン市内の出版社勤務の経験もあり、常に現地の話題や情報の最先端に身を置く、英在住のライター・森昌利氏に寄稿してもらった。 【写真】メーガン妃はバッシングされやすかったのか? 英メディアから批判されたシーンを振り返る ◇ ◇ ◇
一部公開された内容に衝撃 著者は「夫妻の取材はしていない」と公表
メーガン妃とヘンリー王子の伝記については、英高級紙「タイムズ」が内容の一部を2日にわたって公開したのだが、その前から英大衆紙では王室の上級スタッフ筋の「きっと苦情リストのような内容になる」というコメントが大々的に報じられていた。 ところが実際に内容が明らかになると、その衝撃は予想以上で、英国はもちろん世界中に大きな波紋を呼ぶことになった。 それにしても、理解できない点がある。 この著作について、著者2人がメーガン妃とヘンリー王子からの協力は「一切ない」と公表していることだ。著者は“メーガン妃の私設応援団”と言われるほどメーガン擁護一点張りの論調で知られる、王室ジャーナリストのオミッド・スコビー氏と、スコビー氏の友人でやはりメーガン派の米国人セレブリティ・ジャーナリストのキャロライン・デュランド氏。発売が報じられた当初は、口述自伝とみられていたのだが「夫妻は正式認定をしていない」とされている。 その一方で、「Finding Freedom(自由を探して)」は“王室引退”までの本当の経緯を明かし、メーガン妃の短い王室生活に一体何があったのか明確にすると宣伝されている。しかも公開された一部の内容には、メーガン妃とヘンリー王子の2人を取材した以外に出どころが考えられないような生々しさがある。 もちろんジャーナリストが暴露する時、ニュースソースの安全を最優先して、それが誰かを明かさないのは鉄則だと言える。しかしながら、サセックス公爵(ヘンリー王子、メーガン妃)夫妻でなければ語れないような、感情にまで及ぶ明確なエピソードの数々を書きながら「2人への取材は一切していない」というのは、何とも白々しい印象を受ける。
都合が良いように事実をねじ曲げる? 夫妻へのバッシングの元凶
結局、メーガン妃とヘンリー王子に対するバッシングの元凶は、こうした「ダブルスタンダード」にあると思う。 例えば昨年夏に物議を醸したプライベートジェット問題。環境保全を訴える一方で、自分たちは大量の二酸化炭素を排出する自家用飛行機でバカンスを楽しんだ。また、金満な暮らしぶりもそうだろう。住まいの改修費に日本円にして3億円を超える公金を使用したり、5000万円もの大金をかけたベビーシャワーで妊娠のお祝いをされながら「世界から貧困をなくそう」とSNS上で宣言したりする。 今回の「Finding Freedom(自由を探して)」の出版も、まさにそれと同じ類のことが見え隠れする。 注目を集め、売るために「すべてを明かす」と宣伝しながら、本の内容には責任を持ちたくない。自分の言い分は一方的に、しかも声高に伝えるが、反論については「私が言ったことではない」として受け付けない。 そういうダブルスタンダードは一般社会では許されないだろう。
本人でないと語れない感情的な内容の記述の数々
公開された内容からは、ウイリアム王子がメーガン妃との交際について「あの女の子を知るために、必要な時間をかけた方がいい」というアドバイスをした瞬間、メーガン妃を“あの女の子”と呼んだ兄に弟のヘンリー王子が「見下している」と感じて、失望したという記述がある。 まあ、この失望は言いがかりに近いようにも思えるが、こういう受け止め方があるということについて文句はない。しかし、ヘンリー王子個人の感情がどう動いたかということは本人以外、誰にも制御できない問題だ。 ジャーナリストとして、この記述はヘンリー王子本人の証言がなければ書けないと断言できる。 けれども公には、本人は「きっと他の誰かが著者にしゃべったのでしょう」ととぼけるのだろう。こういう点が非常に身勝手かつ子どもっぽい印象を与える。 皮肉なことに、今回公開された内容の1つに、王室の上級スタッフが「あの人(メーガン妃)には信用できないと思わせる何かがある」と話したという記述もあるが、それはまさに、ダブルスタンダードとする素顔を瞬間的に感じ取られていたのではないだろうか。 「王室スタッフから信用できないところがあるだなんて、本当にひどいことを言われた」とメーガン妃がスコビー氏に暴露して言いつける。しかし、同時に「私たちからの協力はなかったことにして」と指示する。 詰まるところ、王室生活の中でもそんな風に自分の都合の良いように事実をねじ曲げたり、他人を操ったりしようとする態度があって、王室スタッフからの信用を得られなかったのではないだろうか。
英王室の懸念 “暴露本”で人種差別のレッテルを貼られる
ただし、東洋人として英国に30年近く暮らし、当地で白人の妻との間にできた2人の日英ミックスの子どもを育てた自分自身の経験から言うと、この国に今も人種差別の空気があることは否定できない。 無論、この醜悪で邪悪な空気は年々薄まっているように感じる。しかし、個人的な見解だが、積年の常識だった「白人優位」の歴史観や概念は、なかなかそう簡単には変わらない部分もあると言える。 「Finding Freedom(自由を探して)」の中にも、白人の父と黒人の母を持つメーガン妃が差別的と感じるような、さまざまな嫌がらせがあったという主張があるようだが「それが完全になかった」と、きっぱりと言い切るのは難しいだろう。 英王室が最も懸念するのは、ヘンリー王子がウイリアム王子の“あの女の子”発言に傷付いたなどというものではなく、きっとこの部分ではないだろうか。 実際BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命の大切さ)の人種差別に対する抗議運動は英国でも盛んになり、ロンドンでは過去に奴隷貿易で財を成したとされる歴史的人物の銅像が破壊された。 一方で、何者かがサッカーのプレミアリーグの試合会場の上空に「ホワイト・ライブズ・マター=白人の命の大切さ)という横断幕を広げた飛行機を飛ばして波紋が広がった。
“王室危機”ととらえる報道も 単なる出版では終わらない?
もし、この“暴露本”とも言える伝記「Finding Freedom(自由を探して)」(メーガン妃とヘンリー王子が協力していないのなら、今後は「自伝」という言葉は使えないのだが……)から、英王室には「人種差別的な気分がある」というレッテルが貼られたら、それは本当に大事になる。 英国では、貧富の差を作る階級社会の象徴として王室があると主張する一派がいる。その反対派にとって「人種差別」というカードは、いわばアドバンテージとも言えるかもしれない。 実際、英国内では「Finding Freedom(自由を探して)」出版は“王室危機”ととらえる報道も続いている。ダイアナ元妃のパリの悲劇で、国葬を否定したエリザベス女王に大きな憤怒が巻き起こって以来のことだと伝えている。 さまざまな時勢が絡み合ったこのタイミングでの“暴露本”伝記の出版によって、ヘンリー王子の実家である世界的な名家の崩壊と終焉の恐れが出てきたことも否定できない。 当のメーガン妃とヘンリー王子は、単に「かわいそうなのは私たちの方」と自分たちのダブルスタンダードの正当性を世の中に主張したかっただけかもしれないが……。
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