なくてはならぬもの

寝る前に、口にくわえたタバコに火をライタ－で火をつけようとしてカチと親指で操作しても火が出ない。何度試しても火花が出るばかりで火がつかない。ガス欠である。いつもカバンの中に2～３個は予備のライタ－を入れていると思い、カバンの中を探してみたが見当たらない。先週飛行機に乗る機会があり、搭乗前に持ち込みは１個までという制限があり、予備は全て飛行場で捨てた事を思い出した。再び、火のつかないライタ－を握り締め右手で強く振って、少しでも残ったガスを利用して点火しようとしたが、完全にダメである。

こういう時のために机の引き出しに何個かある予備のライタ－を取り出そうとしたら、探しても１個も出てこない。数日前に整理して、5～６個あった古い余分なライタ－は全て捨てた事に気が付いた。タバコを吸う為のライタ－が家の中のどこにもない。外は雨で深夜である。寝る前なのでパジャマ姿である。こうなると、宝探しと同様でライタ－探しにやっきになる。引き出し以外の場所を片っ端から探しても見つからない。１５分ほどでどこにもない事に自分で納得した。

こうなると惨めである。眼の前にタバコがあるのにタバコを吸えない。表現が適切ではないが、ビ－ルやワインを飲みたくても”栓抜き”がないみたいなものである。炊飯器でご飯を炊きたくても、停電状態みたいなものである。犬の食事で言えば”おあずけ”状態。神様、仏様、ライタ－様と呼びたくなるくらい、愛煙家にはライタ－が大事なものであることを理解した。