NHKラジオ 聴き逃し
声でつづる昭和人物史~大岡昇平
ノンフィクション作家・評論家…保阪正康, 聞き手・福本義典アナウンサー【司会】宇田川清江
第1回「自作を語る野火」(1)、第2回「自作を語る野火」(2)
②「こころをよむ」
批評文学としての『枕の草子』『徒然草』 講師 :島内裕子(放送大学教授)
『枕草子』と『徒然草』は、数ある古典文学の名作の中でも、今を生きる我々が、大いに共感できる、親しみやすく、現代的な作品であると言えます。一方、古典文学というと、どうしても固定化されたイメージで捉えられる傾向があろのではないでしょうか。例えば、『枕草子』は随筆や王朝文学、『徒然草』は随筆や隠者文学といった枠組みが、イメージとして付着しています。今回はその2作品をジャンルや時代性にとらわれず、様々な角度から、現代的な視点で捉え直していきます。
現代では、自分の美意識や価値観、人間観を、心の赴くまま、自由に書き綴ることは、取り立てて珍しいことではありません。実は『枕草子』や『徒然草』が、すでにそうした姿勢を打ち出していたことが、何を意味するのでしょうか。近代になって、森鴎外や夏目漱石、上田敏、小林秀雄らによって繰り広げられた新しい文学世界、「批評文学」と言うべき世界の源流に、『枕草子』と『徒然草』があったとは考えられないでしょうか。鋭敏であると同時に人間性に満ちた『枕草子』と『徒然草』を古典文学としてではなく、今、生まれたての文学として、現代人の眼で読んでいきます。
第1回「春は曙(あけぼの)~季節を生きる」
第2回「“かわいい”の発見~無敵の価値