アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

大作制作のためのイーゼル(裏技)

2016-06-29 06:08:56 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 油絵で屋外制作をするつもりがないなら、木製のイーゼルを買うのがいい。学校や美術教室に置いてあるもので安定感がある。私はこれを世界堂新宿本店で買い、そのまま自宅まで持って帰ってきた。そんなに重いわけでもないので、女性一人でも持ち帰ることは簡単だ。

 さてこの木製イーゼル、F40号までは縦でも横でも問題なく使えるが、それ以上の大きさ、つまりF50号以上となると安定を欠き、特に横置きするとぐらぐらするので都合が悪い。その原因は木製イーゼルの背と木枠内側の2本の支え木がすれすれでしか接しないためだ。さらに大きなサイズ、F60号以上になると、カンバスの裏地が木製イーゼルの背に接してしまうため、カンバスを裏側から傷めることになり、このイーゼルを使うのを諦めるしかない。

 広いアトリエを構えられるのなら、大作用の、室内イーゼルを買えばいいのだが、あんな大きくて重いものは普通は買えない(私の絵の先生は持ってました)。買えたとしても置き場がない。だから公募展出品などで大作を制作する人はイーゼルは使わず、部屋の壁に立てかけ、床に直置きしている。2階のベランダや庭で制作している人もいるくらいだ(ただしこの場合、雨の日は制作できない)。

 そこで裏技。この木製イーゼルにカルトンを縦に乗せる(写真参照)。たったこれだけのことでF80号までは制作できる。私はM80号までしか描いたことがないが、F80号はいけるはずである。ちょっとF100号は無理なような気もするが、やってみたら意外といけるかもしれない。

 写真のカルトンはB3で、美術教室に通っていたとき必要なので買った。このカルトンをイーゼルに乗せ、水彩紙を目玉クリップで留めて水彩画を描いていた。完成した水彩画はこのカルトンの中に収めることもできるので大変便利だ。

 カルトンとは厚紙の意味で、実際に分厚い厚紙2枚を布の紐で留めてあるもので、画材店へ行けば買うことができる。カルトンは湿度や温度でたわむので、写真をよく見ればわかるように四隅をバインダークリップで留めてある。

 この裏技は、もう10年ぐらい前だが、私自身、公募展出品のためにF50号を制作しようと決め、この木製イーゼルにF50号のカンバスを乗せてみて困っているときに偶然思いつたのである。試しにカルトンを乗せ、その上からカンバスを置いてみたときの、安定の良さには正直驚いたし、具合が良くて嬉しかったのを今でもはっきり覚えている。

 カルトンは持っている人も多いはずなので、もし木製イーゼルがあるなら是非試してほしい(カルトンはB3よりも大きくても構いません)。もしカルトンと木製イーゼルの両方とも持っていない人も、これでF80号までの大作制作がイーゼルに乗せて行えるのですから、安いものです。今までイーゼルに乗せて制作したくてもできなかった方、ぜひお試しあれ。試す気がない人も一つの裏技として知っておいて損はないので、同様の悩みを抱えている人がいたら教えてあげて下さい。

 蛇足)もちろん私もこの方法で公募展出品の大作を描いています。写真のカルトンの汚れは全て油絵具です。どうしても汚れてしまうので、もし水彩画制作用にカルトンを使っている人は、それとは別に用意することを薦めます。


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