アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

油絵上達、おさらい

2017-04-14 05:59:46 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 油絵上達については、この「画材、技法、芸術論」カテゴリーで、あれこれ役に立つ記事を書いてきたつもりなので、もう大して書くこともないのですが、最後にまとめというか、補足というか、そういったことを書いて締めくくりにしたいと思います。

 まず当たり前の話なんですが、油絵が上達したかったら、油絵を描く時間を作らないといけません。そのためには最初は油絵教室へ通うのがいいと思います。これにより週に1回、確実に油絵を描く時間ができます。だいたい20年ぐらいかかるんですね、自分で自分の絵に納得できるまで。ですから最初はのんびり教室に通うのが一番です。
 だから私も最初は油絵教室へ通いました(約6年)。

 そして大事なのはとにかく描き上げた油絵はちゃんと保存しておくこと。どんなにひどい出来でも捨てずに取っておくこと。これは過去の自分の絵の記録ですから、必ず後で参考になります。またニスがけの練習用に使うこともできますし、そもそも取っておかないと、自分がどれだけ上達したかわからなくなってしまいます。
 私も大事に取っておいてよかったと思っています。昔の自分の絵を見ることで、そのとき自分が何を考えていたのかわかるので、それが正しかったのか、間違っていたのか、考えることができます。

 模写については、自分がやりたいと思ったら大いに始めること。模写は勉強のために行うので、描き上げた模写が原画に似ていようが似ていまいが、そんなことはお構いなしで結構です。問題は模写して何を学んだか、何を思ったか、が大事。それを自分の作品作りに生かすこと。そうしないと模写しても何の意味もありません。
 私もたくさん模写をしましたが、楽しくなければ続きません。模写は楽しいものなのです。それは実際に模写してみればわかることです。とにかくやってみることです。

 美術館へ企画展を見に行ったり、画集を買ったりすることも大切です。テレビの美術番組も録画して見ましょう。とにかく油絵制作はお金がかかります。テレビはただで見れるのですから活用しない手はありません。
 私も録画して大いに参考にしています。私はせっせとDVD-Rにダビングして繰り返して見られるようにしています。

 油絵制作には時間がかかります。何せ油絵具は乾くのが遅いのです。乾くのを待たないといけません。待てるようにならないといけません。じっと我慢するのも油絵技術のひとつなのです。待っている間に描く気がなくなってしまうことも珍しくありませんが、描きたい気持ちを持続させるのも油絵技術のひとつです。同時に複数枚描くのもいいですし、スケッチへ出かけるのもいいでしょう。
 私も最初はなかなか待てずに苦労しました。でもそれも訓練です。いずれは慣れます。慣れないといけません。経験を積むことです。

 何事も最初はうまく行かないように、油絵制作も最初からうまく行きません。下手なら下手でいいのです。下手であればあるほど伸び代が多いので、上達のしがいがあります。自分で考え、こつこつ描いていくしかありません。

 楽しみながら描いて上達できればそれに越したことはないんですが、現実にはなかなかそうは行きません。悩んだり行き詰ったりするものです。ときには描くのが嫌になることもあるでしょう。そんなときは描くのをやめてもいいのです。そしてしばらくしたら、また絵筆を取ればいいのです。これをさぼっているとは言いません。時には冷却期間も必要です。悩んでいるんですから。そんなときに無理やり描き続けても上達しません。長い目で見て、絵を描くことが継続されていれば、それでいいのです。

 そして最後に、自分に正直であることが重要です。もし人物画が描きたいと思うなら、そのために必要な努力をするべきですし、もし静物画がうまく描けないなら、また自分の描いた風景画が気に入らないなら、同様に努力するべきです。どうしてうまく描けないのか、何が気に入らないのかを冷静に考え、その原因を自分で見つけ、自分で対処することです。自分で考え、自分で行動しない限り、決して上達はしません。

 油絵制作は苦労した分だけそれに見合う対価が用意されている、というのが私の実感です。誰も好き好んで苦労したいとは思いませんが、そしてそれは私も同じですが、自分の絵、つまり自分の画風を確立するには、どうしても苦労がつきものです。こればっかりは仕方ありません。

 気長にこつこつ描いていく、あまり先のことは考えずにじっくりと制作に取り組む。そうした姿勢で1年、2年、3年、5年、10年と描き続けていれば、必ず油絵は上達します。もちろん私もそうしてきましたし、これからもそうしていくつもりです。とにかく描きましょう。描かないと上達しないことだけは確かです。


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