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DAZN観戦 2019年J2リーグ第11節 アビスパ福岡vsモンテディオ山形

2019-04-29 19:24:34 | サッカー視聴記(2020年以前)

J2の組織が出来る前にJリーグに参入した中で最もJ2生活が長いチームである福岡。
前監督の井原正巳氏(現柏コーチ)によるJ1定着を目指す戦いは前年でひとまず終わり。

ドゥドゥ(現甲府)、ユ・インス(現FC東京)、レオミネイロ(現岡山)、山瀬功治(現愛媛)、駒野友一(現今治)、枝村匠馬(現栃木)といった助っ人・ベテランが一斉に移籍していったチーム、一年間運営していくためにも新たな戦力が必要となるシーズン。
ユースから桑原・北島を加入させたのもそのためでしょうが、目玉となっているのは高卒で入団(青森山田高校から)した三國ケネディエブスでしょう。
身長192cmとセンターバック(以下CB)を務めあげるには十分すぎるポテンシャルですが、経験という点は今年から積み上げていかなければなりません。

現在日本代表のCBとして確固たる地位を築き始めているのが富安健洋ですが、下積み時代から福岡で経験を積んで現在海外クラブ(ベルギー)で躍動しています。
三國にはこの富安の再現を期待している節が窺え、今季開幕から出場を重ねており前途は今の所洋々でしょう。

富安・三國の台頭によって「育てるクラブ」として一応の成果は上げている近年ですが、問題はそこからどうするかというもの。
2人ともDFの選手であり、その他のポジションは手つかずの印象が強い。
上記の戦力流出もあって、非常に手薄な陣容となってしまっているボランチ以前のポジションに新監督のファビオ・ペッキア氏も頭を悩ませている、というのが今季のこれまでの印象です。

この日のスタメンは4-2-3-1のフォーメーションで、ボランチ2人には鈴木・城後を起用。
鈴木は前年からずっとボランチで出場しており無問題ですが、城後は元々点取り屋の選手(前年は6ゴール)。
前年も何試合かボランチでの出場はありましたが、今季はそれが主戦場となっています。
しかしこの城後、プロ入り以来ずっと福岡でプレーしており今季で15年目というキャリアの選手なので「チームのためなら何処でもやる」という献身性を利用したペッキア監督の起用法なのかもしれません。
実際、山形の前線へのスルーパスに身を挺して対応する場面が目立ちました。
彼のこのチームへの心情を利用しつつ、前のポジションを整理したいという意図は田邊・前川らの抜擢でまあまあ解る気がします。

一方の山形は、「J2オリジナル10」の中で最もJ1経験が少ないチーム。
その数少ないJ1での戦いも、小林伸二(現北九州監督)・石崎信弘(現藤枝監督)両氏による所謂「昇格請負監督」によって齎されたものであり山形独自の戦いが傍らから今一つ見えて来ない。
現在監督を務める木山隆之氏は、J2での監督経験豊富な人物。
昇格プレーオフも千葉・愛媛で計2度経験するなど昇格にもって来いともいえるでしょう。

大卒からの生え抜きであるDF山田(この日はベンチスタート)がキャプテンを務め、ボランチに居るのは大ベテランで元日本代表の本田拓也。2年前に清水から移籍してきた人物で、過去2年はキャプテンでもありました。
同じく移籍組であるFW阪野(元浦和で前愛媛)・大槻(前神戸)が半々ぐらいの割合でレギュラーとして出場し、これに助っ人のジェフェルソン・バイアーノ(前水戸)を組み合わせて前線の形を作る。
そんなチームの骨格は出来つつある、という事が現在の順位(10節終了時で4位)にも表れているのだと思います。
後は2節以降フル出場を続けている中村のような、中堅・若手から中心選手が現れるのを待つのみか。

この日は序盤から最前線のバイアーノを中心にハイプレスを敢行し、今季の福岡の思考(というよりペッキア監督の思考?)であるポゼッションサッカーを機能させません。
中盤でのパスカット・パスミスが目立ったため、プレスを嫌がりロングフィードに頼らざるを得ない。
福岡の最前線であるヤンドンヒョンはポストプレイに関しては今一つの印象で、収め所にはもっぱら松田力(セレッソ大阪・松田陸の双子の弟)がカバーに入り攻めの形を作らんとします。
これに田邊が絡んだ時はいい形を作れましたが、それをカバーするサイドバックの上がりも今一つ。
パサーである鈴木も、セットプレーでのキッカーとしては活躍が目立つもそれ以上の存在感は中々示せず、攻めの形が出来上がるにはまだまだ時間がかかるという印象だった福岡。

逆に山形の攻撃は良い形。
中村がボランチの位置でパスを散らし、これにウイングバックのホドルフォと三鬼が攻撃に絡んでくる。シャドーの井出・坂元も(時にはバイアーノも)加わって分厚いサイド攻撃を展開しします。
中村が積極的にボールタッチする事によって、たまにボールを持つベテラン・本田のスルーパス一発も生きてきます。
そんな訳で前半30分以降は完全な山形ペースでゲームは展開します。

33分にはDF松本のフィードを受けた井出が福岡・實藤をかわしてドリブルし中央へスルーパス、バイアーノが抜け出したところを篠原がバックチャージし反則(イエロー貰う)。
この直接フリーキックは井出が蹴ったもののGKセランテスがナイスセーブし得点ならず。
37分は本田のスルーパスを左サイドで受けたホドルフォが速いクロスを上げ、中に人数は多かったものの誰にも合わず。
38分もホドルフォのクロス、低いボールで坂元がエリア内で収め溜めたのち井出にパス、シュートするも当たりは弱くGKセランテスがキャッチ。
アディショナルタイムには栗山のロングフィードを三鬼が落とし本田が持ち、エリア内右へと走り込む井出にスルーパスを送り、ゴールライン間際で井出がダイレクトで折り返しすとバイアーノがシュート。
惜しくも實藤のブロック・GKセランテスに阻まれそのまま前半はスコアレスで終了しますが、辛うじて福岡が持ちこたえているという印象は残りました。

悪い流れを変えようと、後半頭から福岡は積極的に動きます。
まずは鈴木を一列前に上げて4-1-4-1のような形にシフトチェンジすると、後半10分には左サイドバックの輪湖が早くも交代。石原を投入するとともに3バックにシフト、左ウイングバックに入ります(實藤が右CB、松田が右WBにシフト)。
そして20分には城後が前川と交代し、鈴木がボランチに戻るという具合に微妙ですが目まぐるしく変化します。

石原が高めの位置で躍動し、そこそこチャンスを作れるようになった福岡。
後半13分には敵陣内で城後→田邊→ヤンドンヒョンとボールを回し左サイドを上がる石原へパス、そのまま抜け出してクロスを上げるもGK櫛引がキャッチ。
15分、再び左サイドにパスを送ったのは鈴木。これを石原自ら大きく前に蹴りだし、自ら走り込んで左サイド奥でキープしようとしますが並走した三鬼に奪われます。

しかしそれでも全体の山形ペースはあまり変わらず。
16分、左サイドで井出のパスを受けたバイアーノがエリア内へ切れ込みバックパス、中村がワントラップしてミドルシュート(枠の僅か上)。
22分、フリーキックのクロスからのこぼれ球を中村が直接左足でミドル(大きく枠上を外れる)。
25分には右サイドから本田→坂元→熊本→南(井出と交代で出場)と繋いでエリア内へ、この南がバックパスして三度中村がミドルを撃つも福岡・實藤がブロックしてゴールならず。
積極的に中村がシュートを放つ展開になります。

28分にアクシデント発生。
福岡・木戸がオフサイドを取られた後のGK櫛引によるフリーキック。
これがあろう事か、後ろを向いていたヤンドンヒョンの後頭部に当たり倒れてしまいます。
オフサイドの判定に納得いっていない表情を見せていたヤンドンヒョン、主審の方を見ていたのが仇になってしまった。
押され気味の福岡の流れの悪さを現したかのようにも映りました。

その4分後に何とかプレーに復帰したヤンドンヒョンですが、後半38分にはフェリクス・ミコルタと交代。
皮肉にもここから福岡は流れを掴み始めます。
後半40分には山形・松本のクリアミスから木戸が抜け出しますがシュートは打てず。
直後のスローインから左サイドでミコルタがボールキープ、山形DFに囲まれつつも前川→石原と繋いで石原がクロス、これに實藤がファーサイドでヘディングシュートもホドルフォのブロックに阻まれます。
42分にはクリアボールを三國がヘッドで繋ぎ石原→木戸→鈴木と渡りエリア内左へ、鈴木はクロスと思わせてシュートを選択しますがGK櫛引がセーブ。

試合終了間際での好機の連続に次第に前掛かりになっていく福岡、しかしここに落とし穴が。
石原のクロスがクリアされ、そのボールをバイアーノが右サイドで持ち三國を引き付け溜めを作ると、福岡の帰陣より先に本田・南が福岡陣内になだれ込みます。
バイアーノは余裕をもって本田にパスを送り、そのまま2対1という決定機に。
本田から受けた南がエリア内に進入し左足で強烈なシュート、GKセランテスがセーブするもそのままゴールに吸い込まれ、劇的な先制ゴールとなりました。

試合はこのまま0-1で山形が勝利。11節終了時で山形は2位にアップしました。
この日は阪野は出場無し、大槻・山田が後半途中から短い時間出場しただけとベテラン勢はあまり目立たず。
逆に中村をはじめ坂元・井出・南といった若手・中堅が要所で躍動し、非常にバランスの良い陣容になっている印象を受けました。


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