ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第20節 サンフレッチェ広島vsサガン鳥栖

2020-10-05 18:20:17 | サッカー視聴記(2020年以前)

グラウンド以外での戦いも強いられる事となった今季の鳥栖。
開幕前から経営問題が撮り沙汰されていました(胸スポンサーはとりあえず佐賀新聞で落ち着いた)が、シーズン中にはウィルスによる活動停止も余儀なくされました。
「試合が開催できるだけで良い」的な思いがクラブ内に蔓延しても可笑しくありませんが、再開後の鳥栖のリーグでの戦いぶりは、思いのほか善戦。
初戦の14節・横浜FC戦は結果だけを見ればパーフェクトゲーム(3-0)で勝利、その後も勝ち点を稼ぎ(3勝2分3敗)、下位からの脱出を目論まんとしています。
それには代替試合が組まれての連戦を乗り越えなければなりませんが、ファイティングポーズを取れる所までは浮上してきました。

ただしクラブの活動停止の影響で、体力面で不安を隠せず選手起用では無理を利かせられないのが辛い所。(「全とっかえ」で挑んだ12節・札幌戦とか)
この日はレギュラークラスの原・原川・森下をベンチスタートに留めるターンオーバーを敢行します。
ツートップの林大地・石井はじめ、23歳以下のメンバーがズラリと揃う陣容の現在の鳥栖。
有名選手の不足が嘆かれるものの、逆にここまでスッキリとすればチームを作っていく分にはやり易い。
今季から鳥栖のスタイルを保ちつつ、ボールを保持しての攻撃も備わりつつあり、上位相手にも簡単に屈しない戦いが出来ているのは朗報でしょう。

しかし原川不在でのビルドアップはやはり苦しかったか、この日は広島の守備の前に中々ボールを前に運べず。
逆に広島が、敵陣でのボール奪取を好機に結び付けていきます。
前半5分、左サイドでの佐々木のカットから、縦パスを永井がポストプレイで繋ぎ森島がダイレクトでシュート。(枠外)
10分も森島がボール奪取、中央で繋いだのち川辺が右へ展開し、野上の低いクロスがファーサイドに流れた所を東がシュート。(GK守田セーブ)

広島サイドも、この日は柏がベンチスタートとキーマンを欠いた中での戦い。
川辺・青山・森島を中心とした中央を軸にしての組み立てが主体となりました。
その効果で主導権を握り続けた序盤。
浅野・東ら若手の起用があっても、やはりこうした主力選手の存在が、若手が大部分を占める鳥栖を圧倒する要因となったのでしょう。

そして21分、コーナーキックからの二次攻撃。(この日の広島のCKは、大部分がショートコーナーからの手前からのクロスだった)
青山のロビングが右サイドへ流れ、鳥栖・小屋松が拾うも野上がパスカットして攻撃継続、右サイドから浅野がカットインしてシュート。
強烈に鳥栖守備網を突き破る先制点となりました。

その後も広島は主導権を握ったままで、鳥栖はボールを握ってビルドアップから攻撃しようとしても、中々思うようにいかず。
何度かアタッキングサードまで攻め込むものの、シュートを放てないまま前半も終盤を迎えます。
森下が居ない影響か、主に左サイドでの攻撃に活路を見出していた前半の鳥栖。
内田・小屋松の相性は、前年ともにJ2での主力だった間柄か抜群のようで、ここに林大も加わる事でチャンスメイク。

しかし左サイド一辺倒という趣も感じつつ、迎えたアディショナルタイム。
スコアを動かしたのはまたも広島の方で、鳥栖の自陣でのパスミスから、東がボールを拾ってそのままエリア内に進入。
ほぼGKと一対一の状況になり、東は冷静に右へシュートを蹴り込んでゴール。
鳥栖にとっては痛い追加点となり、前半を終える事となりました。

前半両チームのビルドアップを見ていると、ともにポジションの動きが非常に少なかった。
広島は3-4-2-1、鳥栖は4-4-2という基本形を殆ど崩さず、形を保ちつつのパス回し。

広島は前年からボール保持のウェイトを大きくしたものの、その基本は柏を中心とした、サイドでの三角形によるパスワーク。
相手を押し込んだのちに、センターバックの端の一人が上がって来るぐらいが大きな動きであり、なるべくバランスを保ちつつ攻撃を完結させたいという思いがデザインに表れているのでしょう。
それが安定感とともに硬直感も生んでしまい、今季は可変激しく攻めてくる相手に大敗を喫する(マリノス戦1-3・川崎戦1-5)という結果も招いています。
今後、もっと言えば翌年以降も上位を争うには、現状のレベルアップと発想の転換のどちらを取るか岐路に立たされそうです。

一方の鳥栖、この日の放送席で「鳥栖のビルドアップに注目」と盛んに謳われていたものの、取り立てて目ぼしさは感じられず。
2CBとドイスボランチの「ボックス型」が基調というのは理解出来ましたが、そこからどう動かすのかが今一つ。
引き出しを増やさんと、FWが降りて来てボールを受ける場面が多かったものの、結局中央では手詰まりになる事が多かった。
そんな状況を打開するため、ハーフタイムで一気にベンチが動く事となります。

後半を迎えるに辺り、鳥栖は一挙に4人を交代してきます。
小林・パクジョンス・安庸佑(アンヨンウ)・梁勇基(リャンヨンギ)→原川・森下・原・本田へとチェンジ。
ベンチに留めておいた原川・森下・原を揃って投入した辺り、ビルドアップの立て直しに舵を切ったのは明白でした。
尚、原=CB・森下=右サイドバック・原川=ボランチ・本田=右サイドハーフへと入り、松岡がボランチ→CB・樋口が右SB→ボランチへとシフト。

早速後半2分、左サイドで小屋松が受けると、前半とは違い中央へと返されたのちパスワークで正面突破を図る鳥栖。
樋口が広島・永井に倒されて直接フリーキックを得ると、キッカー原川が直接狙いましたが左へ外れてしまいゴールならず。
従来の左サイド重視の攻撃も、8分には小屋松がドリブルで奥まで進むと、マイナスのカットインを経てエリア手前からシュート。(枠外)
クロスのみに終始していた前半から進歩を見せ、大分活性化してきた鳥栖の攻撃。

しかしそんな良い流れも、失点という要素で水泡となってしまいます。
10分の広島の攻撃、佐々木の縦パスが森島に入ると、すかさずエリア内左へスルーパス。
走り込んだ永井からマイナスのクロスが入り、鳥栖ディフェンスに当たってコースが変わるも、森島がカバーしてシュート。
これはGK守田がセーブして防いだものの、直後の左CKで耐えられず。
ここでもショートコーナーを見せた広島、青山は手前からのクロスと見せかけてミドルシュートを選択、これがグラウンダーでゴール右へと突き刺さる豪快な一発となりました。
これで3-0と、「危険なスコア」を通り過ぎてしまいます。

以降広島はややペースダウンし、鳥栖の攻撃機会も激増しますが、「持たされる展開」の域は出られず。
原川が加わった事でパスワークも良化し、前半は殆ど消えていた安に代わり右SHへと入った本田も、積極的に降りて来てボールを受ける事で活性化。
両サイドを駆使して攻撃出来るようになりましたが、中央を固める広島の前に最後の局面では苦難します。
ほぼベストメンバーとはいえ原・森下も23歳以下の若武者で、広島の試合運びの前に勢いも萎みがちな若手選手達。
18分のシーンでは、内田の縦パスをポストプレイの体勢で受けようとした林大ですが、後ろからの広島・荒木のディフェンスでキープできず。
反則気味なその守備を受けた林大、「大人の汚さ」を体験して今後の糧となるでしょうか。荒木も前年からのレギュラーとはいえ24歳と大差ないのですが

その後19分に敵陣での内田のカットから、石井のヒールパスを受けた林大がミドルシュート。(GK林卓人セーブ)
20分にはGK守田のロングフィードから、本田の落としを受けた林大がドリブル、こぼされたボールを本田が拾いエリアライン上からシュート(GK林卓キャッチ)と攻め立てるも、ビルドアップ以外での攻撃が目立つ事となりました。

それでもゴールを脅かされた広島、この後交代カードを駆使して立て直し。
22分に浅野・茶島に代え、ドウグラス・ヴィエイラと柏を投入。
柏はこの日は本来の左では無く右ウイングバックに入ったものの、いつもの通り右サイドに三角形を作るパスワークを駆使します。
24分、1分前後続いた右サイドでのパスワークから、最後は柏スルーパス→野上走り込んでクロス→ヴィエイラポストプレイ→川辺ミドルシュート(ブロック)で終えた広島の攻撃。

これで主導権を取り戻し、ヴィエイラ中心にあわよくば4点目を狙う戦いへとシフトしていきます。
33分、GK林卓のフィードをヴィエイラが収めて攻撃開始、右サイドでの柏のドリブルを経て再び中央へ。
永井がこぼされて浮いたボールをヴィエイラがボレーシュートしましたが、惜しくもゴール上へ外れ。
以降もほぼ狙い通りの戦いを繰り広げたものの、4点目は奪えず。

終盤はエゼキエウ(永井と交代で出場・35分)にレアンドロ・ペレイラ(森島と交代で出場・40分)と、守備固めからはかけ離れた前線の布陣になったのが可笑しくもありましたが、最後まで鳥栖に得点を許さず。
結局3-0のまま、広島が逃げ切って勝ち点3に辿り着きました。

前年までとは打って変わって真っ新な土台の下、金明輝(キンミョンヒ)監督も理想を落とし込むのに躊躇無いという感じの鳥栖。
クラブの未来は依然不透明なままで、この日のように結果も不安定なものになりがちですが、現場に迷いが無い(様に見える)のが救いとなるでしょうか。


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