映画館にて

2009年02月24日 10時09分35秒 | Weblog
「おくりびと」がアカデミー賞を受賞しました。

賞が決定する少し前の「朝ズバッ」で,
みのもんたが「おくりびと」がかなり有力と言っていて,
まだ観てなかった私は,
こりゃホントに受賞したら観客がいっぱいで観られなくなるゾ,
と思い,急遽近くの映画館へ駆けつけた。
「みのもんた」情報で動く私もどうかという感じだが。

幸い,そこではアンコール上映ということで,
限られた回数だけ上映しているのだ。
早めに行かないといい席がないかも,と思い,1時間前に行き,切符を購入。
ポイントカードがたまっていたので,無料で観られる。
ラッキー(^-^)

本屋で時間をつぶし,まだ早めではあったが再び映画館へ。
すると,

「『おくりびと』は満席です」

とのアナウンスが流れていた。
セーーーフ。
みんな,「みのもんた情報」を聞いたのだろうか?

劇場へ入り,私はビックリした。
観客の99.8%がジジババだったからである!
これじゃ

「おくりびと」

ではなく,

「おくられびと」

ではないか!

「おくられびと」で満杯の会場は独特な匂いがする。
たぶん,ジジババの衣服からの「樟脳」の匂いだ。
なぜ,ジジババは「防虫剤」ではなく,
「樟脳」をこよなく愛するのだろうか?
「におってナンボ」
みたいな感じなのか?

ほどなくして予告編が始まった。
ジジババ,とくにババがぺちゃくちゃとうるさい。
連れと一緒に,スクリーンに出てくる俳優を指さしては,

「この人は『篤姫』の,ダンナさんだった人じゃなぁ。」

などと,いちいち他の作品から説明を引っ張ってくる。
それは,本編が始まってからも同じだった。
またもや,スクリーンを指さし,

「この人は『篤姫』の義理のお母さんじゃなぁ。
 ほれ,島津本家へ養女に行った時の,高橋英樹の奥さんで。」

などと,もう役名も役者の名前もごっちゃまぜ。
それに,なぜ,いちいち「篤姫」基準なのか?

少しして,ババは静かになった。
しかし,また新しい登場人物が出てくると,

「この人は『天地人』で,秀吉をやっとる人じゃなぁ。」

と,「篤姫基準」ではなくなったものの,「大河ドラマ基準」は
譲れないようである。

そうこうするうちに,あちこちから,立ったり座ったりする人が
続出し始めた。
そうなのだ!ジジババで埋め尽くされた館内,
2時間20分のあいだ,トイレを我慢しきれない人が,
入れ替わり,立ち替わり,用を足しに出かけているのだ!
あー,せわしいったらありゃしない。

映画の主人公はモックン。
と,こう呼ぶことがもう私の年齢を物語っている。
はい,シブがき隊ドンピシャ世代です。
モックンが,音楽をやっているという役柄設定もあり,
モックン目線で映画にのめり込む。
また,もし,自分が奥さんの立場なら,ということで,
広末涼子目線でものめり込む。

しかし・・・と,私は思った。
この館内をびっしり埋め尽くすジジババは,誰目線なのだろうか?
きっと,そう遠くない将来に自分もああいうふうに「おくられる」
のだろうか,という気持ちで生々しく捉えているのではなかろうか?
「死体」目線ということか?
そうだ,きっとそうに違いない。

と,勝手に納得し,映画館をあとにした私でした。

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