工務店現場日誌

株式会社朝田工務店 代表取締役朝田満のブログ
現場での出来事や日々の出来事を綴ります。

ソシアルビルのトラブルケース 続き

2008-05-09 21:17:06 | 現場実例
5月7日の記事の続きです。

地下水の疑いが薄いので、次を調査します。
水の滴りがポタポタ続いている状態なので、給水、給湯のどこかに亀裂が入り
常に漏れが続いてしまうといった疑いがもたれます。

その場合の調査方法は「水道メーターのチェック」です。

給水、給湯の亀裂の場合は、水道を開けた状態と同じなので
水道メーターが回ります。さらに給湯器の元栓を開閉することによって
給水、給湯どちらの配管の亀裂か判別がつきます。
(給湯の配管は全て給湯器より先にあります。給湯器の元栓を締めると
水道メーターも止まる場合は給湯配管の亀裂が原因です。)
比較的に給湯配管のほうが痛みが早いので、給湯配管が原因のケースは多いです。

ソシアルビルのテナントは、午前中に営業していない店がほとんどなので
午前中に全ての水道メーターをチェックします。

残念。水道メーターは全く動きません。これで給湯、給水の疑いが晴れました。

残る原因は、床防水と排水配管ですが、本来配管が駄目でも防水がきちんと
機能していれば地下には漏れてきません。両方駄目の線が濃厚であります。

ここまでくると、床土間コンクリートを破壊してからの調査となります。
当然テナントの営業はできません。数日間、営業を休止しての破壊調査です。

排水配管のルートたどり、慎重にコンクリートを壊していきます。

原因を発見。排水管のジョイント下部が大きく割れています。
このような場所は、通常の使用でコンクリート内部で割れてしまう事は考えにくいです。
テナントの新規造作工事中で、コンクリートを打つ前になんらかの原因で
割ってしまったと考えるのが自然です。

このようなケースの復旧工事は、当然ながら排水配管のやり替え、及び防水のやり替え、土間コンクリートの打ち替えです。
さらに復旧工事での休業を余儀なくされるのは言うまでもありません。
体力の無いテナントの場合、この時点で間違いなく経営危機に陥ります。

調査と工事については以上ですが、次にテナントオーナー様側の対策です。

一番の対策は言わずもがな、「保険」です。

今は原因調査費用や、テナントの休業補償までカバーする保険もあるようです。

オーナー様の保険加入はむろんの事、既存物件の購入の場合、テナントの加入保険
の内容を調査されたほうが良いでしょう。

テナントが無保険の場合は危険です。購入後でも良いですから加入してもらう事を
強く推奨します。

また新規テナントの造作工事については注意する点が多いのですが、長くなるのでやめておきます。
機会があれば今後ふれていくとおもいますので、今後とも宜しくお願いします。