工務店現場日誌

株式会社朝田工務店 代表取締役朝田満のブログ
現場での出来事や日々の出来事を綴ります。

手刻み

2008-06-27 17:47:34 | 材木等
「手刻み」
いきなりこう書いても一般の人には全くわかりませんね。

木軸在来工法の構造材(柱、梁、桁、母屋等)を加工する事を「刻む」と云います。

昔は機械で刻む事など無かったので、刻むと云えば手刻みが当たり前でしたが
今では機械加工技術の進歩により、機械が当たり前のようになってしまいました。

ですから、機械加工に対して、手で刻む事を「手刻み」と云うようになりました。

現在、機械加工では、プレカット工場に図面を提出して依頼すると
指定日時に現場に届けてくれる便利なシステムになっております。
しかも、短納期で料金もさほど高くありません。
当社も通常は材料を支給して、プレカット工場に依頼しています。

しかし、そんな事ばかりしていますと、若い職人さん達に刻みの技術が
身につきません。

そんなこんなで今回は手刻みです。

写真は墨付けをした梁。材木は福島産の杉です。
皆様も子供の頃、近所の材木屋さんで大工さんが墨壷をもって
パチーンと真剣な目をして弾いているのを見かけませんでしたか。

最近では近所の材木屋さん自体を見かけなくなってしまいましたね。・・・

当社は川崎区内に自前の加工場がありますので、そこで作業をしております。



墨付けに沿って刻んでいきます。

刻みにはあと数日かかる予定です。


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モイスという名前の建材

2008-05-22 18:49:16 | 材木等
昨日、トステムの営業が当社を尋ねてきました。

なんでも、モイスという名前の新建材を紹介したいとの事だそうで、
他の打ち合わせ予定が入っている所に、アポ無しで尋ねてこられたので
5分だけならといって話をきいたのですが、思わず聞き入ってしまう内容でした。

詳しくはこちらをごらん下さい。

建材の特徴を要約しますと、
・接着材を全く使用していない100%天然素材
・吸湿、放湿性に優れ、ホルムアルデヒドや臭いも吸収する。
・加工が容易であり、耐火性と耐震性を兼ね備える。
・石膏ボード等に比べるとカビが非常にでにくい。

ん~知りませんでした。製品としては素晴らしいです。
トイレや洗面所、クローゼット内部等に使用すると効果的であると思います。

価格に難がありますが、もっと安くなると普及するのではないでしょうか。


それと、住宅瑕疵担保履行法についての続報です。

(財)住宅保証機構より新保険制度に関する説明会が6月に開催されるとの
通知がきましたので、こちらを受講する事にしました。
受講内容についてはこちらへアップするので、当ブログをまたお読み下さる様お願い申し上げます。

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ここまでくると下手な事は書けないなと緊張してしまいます。
皆様、本当にありがとうございます。




そして伐採へ

2008-05-21 20:23:12 | 材木等
続きです。

季節は過ぎ、晩秋。伐採の季節です。

まず、ご自分で伐採される場合の注意点。
夏場、水分が多く葉の繁る、虫のいる季節に伐採すると腐ります。
必ず、葉の落ちた水分が少ない、虫のいない季節に行ってください。
あまり愚図愚図していて雪の降る頃になってしまいますと、
雪崩の危険性があります。遭難にご注意ください。

そんな人いませんね。冗談です。






写真は伐採の様子です。このままでは山から下ろせないので、伐る寸法まで
細かく指定します。

山から下ろすのは特殊な機械を使うのですが、この日は下ろす作業をしなかったので、
撮影できませんでした。残念。

山から下ろした後、樹皮が剥け易くなるまでしばらく寝かせます。



樹皮を剥き、製材します。写真は製材の様子。
この後、数年間自然乾燥の後、ようやく材料として使用できます。

木材の話は以上です。
数日間、お付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。

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今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

追記
セクスイ様のコメントに対してお答え

左の木が杉。右の木が檜です。
杉の樹皮は檜に比べ若干赤みを帯びています。
比較的に樹皮そのものが、檜は柔らかく、杉は硬いです。
写真だとわかりませんね。実際見比べると違いがわかると思います。





山師 山岳編

2008-05-20 19:29:57 | 材木等
昨日の続きです。

数週間後、山師より社長へ再び連絡。

「社長。この間言っていた檜見つかったよ」
「何っ本当!!早いねぇ」

山師、話をきいて伝を辿り、山々を歩いて探してくれた様です。

という訳で、東北地方のとある山奥へ車を飛ばす事、数時間。
車を止めて、山師と山の持ち主と合流し、社長と私をふくむ4人で登山する事、1時間。

めざす檜は確かにありました。樹齢約100年、幹周りの直径約60cm、
根元から13m程、枝打ちの跡も全くない素晴らしい檜でした。
(枝打ちの跡が無い=永年に渡り良く手入れをされている=節がない=高品質、高価格)

写真は実際の檜。右にいる社長と比べると太さがわかります。

写真の檜だけでなく、その周辺に同等の木が数本あり、目星をつけ全て買い付け。
晩秋に伐りだしてもらう様に依頼し、買い付けした木を控え、マーキングして山を降りました。


話は明日へと続きますが、

材木で使われる代表的な針葉樹についてご紹介。



まずは松(マツ)。
針状の長い葉が並んでます。まさに針葉樹。盆栽でも好まれる。
塩害に強く、海岸付近でも良くみられ、防砂林としても植えられる。
近年は松くい虫の被害が多く、日本での良材は少なくなってきている。
材料としての強度が強く、通し柱や梁など構造材に適する。


次は杉(スギ)
針状の葉は短く密についてます。さわるとトゲが痛いです。
秋田杉、屋久杉が有名。
天井板、壁板、建具、柱等の構造材で使われる。
最もよく使用される材料のようです。


最後に檜(ヒノキ)
葉は柔らかく、手の平状に広がり、さわっても痛くないです。
これが檜の葉とご存知ない方も多いのでは。
吉野檜、木曽檜が有名。古くから、お寺、神社等の柱として使用される。

木目ではなく、葉の写真で紹介しました。
以上です。それではまた明日。

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山師 続き

2008-05-19 20:17:03 | 材木等
5月17日の続きです。

当社でお願いしている山師よりしばらくぶりに連絡が入りました。
「良い木がでたので、見にきませんか」
社長と二人で早朝に高速道路を4時間程、車で飛ばして山師の自宅へ。

山師の自宅へ到着。

この自宅が凄まじいです。外部は化粧垂木が4重に廻り、板張りの上は漆喰仕上、
内部は壁、天井すべてが無垢板貼、節など何処を見回しても見つかりません。
池には鯉が泳ぎ、裏山には良く手入れされたツツジが並んでおります。
さながら寺、いや仏像が置いてないので、城といったところでしょうか。

材木置き場へ案内され見てみると、幹周りの最大直径が1m40cm程の「椹(サワラ)」
でした。(木材については木材図鑑をご参照ください。)
国定公園の指定が進んで以降、椹自体をあまり見かけなくなっており、
ましてこのような巨木となると滅多にでません。たしかに良い木です。
しかし、これを買ってもつかう当てが全くありません。
値段を聞くと一本、高級乗用車一台分です。
つかう当てのないものにそこまでお金をかける程、余裕がありません。
購入はあきらめました。

その後の社長と山師の雑談で
「以前、紹介してもらった檜はお寺につかったのだけど、
ずいぶん喜んでもらえたなあ。またあれぐらいのがあると良いのだけど」
「では探しておきますよ。どれぐらいの檜ですか」
「そうだなあ。材寸で1尺角(30cm)、3間(5.4m)ぐらい無節だといいな」

それぐらいだと市場にもあまり置いてません。まず無理だろうなと
私はこの時、思っていました。

続く

補足 木材は節がない物ほど、高級です。狂いも少なく、加工も容易であり
仕上げが美しくなるからです。節ありと節無しで数倍の開きがある場合もあります。

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山師

2008-05-17 20:48:59 | 材木等
本格的に体調が悪くなってきました。

さて、表題の「山師」詐欺師や鉱山、炭鉱で働く人の事ではありません。

全国の山々を歩き、材木の採れる山を知り抜き、その材木を取り扱うエキスパートの事であります。

まれに一山まるごと購入して製材し販売する事もあるようで、まさに一山あてる
という言葉があてはまってしまいますが、その実、一山全ての材木を計測してから
購入するといった抜け目ない人々であります。

ただし、山にある立ち木は生木であるので、木々の落葉が済む秋の深まった頃
(木の水分が抜けます)で雪の降る前、伐り倒し山から挽きだします。
そして皮がついたまま、一年ほど寝かし、更に製材して数年自然乾燥させて
ようやく材木として市場にだせるといった非常に息の長い仕事であります。

大規模な台風により、国定公園や寺社敷地内の樹齢数百年の木が倒れた場合、
(たとえば日光の杉並木等)どこからともなく集まってきて、管理者の元に
競りをおこない、挽いて持ち帰ります。
やはり数年間寝かせなければならないので、市場にでてくるのは数年後ですが、
このような物は板にしたもので数百万で取引されています。


なぜこの山師についてふれたかといいますと、実は当社で和室に使用している
木材はこの山師に探しだしてもらい、実際に山へ入り、「この木とこの木、あの木も」
などと指定して伐りだし、自社内保管倉庫で数年間寝かして製材したものであるからであります。

続きは後日。
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