ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

バレーナで半日修行。

2017-05-28 19:38:30 | つなかん、旅の記録
バレーナで半日働いてきた。

掃除の仕方や道具の場所を覚えるために。あとは、場所になじむために。
そこで過ごしていると、ここに、こういうストーリーで、あれを置こう。とか、イメージがわいてくる。



切られた髪の毛を、ほうきで集めながら、改めて、バレーナはいい場所だなぁと思った。今回の展示をここでできるのは、面白いというか、本当にぴったりの場所だ。バレーナじゃなかったら、こういう企画は思いつかなかっただろうし。


普段、バレーナに来るお客さんは、髪を切りに来ている。


髪を切るということは、日常で爪を切ることと同じで「長いから短くしてほしい」という機能的な意味がまずある。それを遠くまで選んでバレーナまで来ることには、機能としてだけではない、特別な意味がある。

まず、スキル。詳しい違いはよくわからないけれど。「この髪型なんかしっくりこないな」とか。思ったことが一度もない(他の美容院ではよくある。切ってもらってからバリカンでセルフボウズにしたこともある。)。美容師としての絶対的な信頼がある。

あとは、僕は、バレーナのくじらさんに髪の毛を切ってもらいながら過ごす、この場所が好きだ。





くじらさんとのおしゃべりも面白い。

昔、長い髪をばっさり切りたいと、初めてバレーナを訪れる女の子がいた。くじらさんは、その時、今切っても「似合わない」と思って、髪を切らなかったことがあるそうだ。

その日はなぜ髪を切りたいのかを聞いて終わった。

例えば、過去と決別したいから、という理由だったら、今、髪を切ることが本当に必要なことなのか。ただ言われた通りに短くしても「似合わない」ことがあるそうだ。だから、切らなかった。くじらさんの話でいいなぁと思うのは、その女の子の問題の根底を解決したいからではなく、美容師として「似合うか、似合わないか」のために、話を聞くところだ。それ以上踏み込むことは、「美容師としてできること」でなない。そうやって、自分のできることをわかって、人と関わっている人は、かっこいいなと思う。


「あの子はねぇ、ここに来た時、まだ髪を切る心の準備ができてなかったから。それができると、バシッと似合う髪型に勝手になっていくんだよね。」


そして後日、その女の子の髪の毛を切ったそうだ。きっと素敵な髪型になって帰って行ったんだろうなと思う。そして、その子にとっても素敵な美容室を知れてよかったなと思った。




髪を切り、生まれ変わっていく相手に、「ほんとは、そのままでもいいんだよ」そんなメッセージを伝えている不思議な場所だ。


僕にとって、バレーナはリセットの場所だ。



今回、くじらさんが場所を僕に貸してくれたということは、僕にイベントをやる「心の準備」ができているということだと、勝手に思っている。バレーナで髪を切る訳ではないけれど、くじらさんに髪を切られた時と同じような気持ちで終われたらいい。







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