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原発問題の深層   : 目次とまとめ

2012年08月30日 | 連載完 原発問題の深層

1話では原子炉の安全性について考えました。

あまりにも安全を保証するには不確定要素が多く、予測不能な事故とシステムの巨大さが災いでした。


2話では信頼性を検討しました。

これも単純に技術的問題として扱えません。むしろそれらを作り扱う産官学の閉鎖的な組織がはるかに問題でした。

不都合な情報は隠蔽、捏造され、やがて過信と独りよがりになっていきました。

それを生んだのは、莫大な費用がかかり危険を伴う科学技術であるが為に特定の巨大企業に任せ、国家(官僚)が管理してしまったからです。


3話では原発事故の特殊性を問題にしました。

苛酷事故が一旦起きると、その被害は人類史上希に見る巨大で長期に災いをもたらします。

このことが逆に、原子炉の破壊実験や安全確認をあきらめさせることにつながりました。

さらに日本の原発推進の特殊性がありました。

長期政権による国政の弊害、さらに裁判とマスコミの怠惰も、問題の発覚を遅らせました。


4話では原発開発の推移と産官学の腐敗を見ました。

そこには日本の政治と組織を支える文化のマイナス面が大きく関与していました。


5話では戦後からの重要な産業転換を振り返り、原発からの転換を考えました。

日本は不死鳥のように大きな犠牲を払いながらも旧産業を切り捨てながら新しい産業と技術に取り組んで来ました。

原発も不可能ではないでしょうが、あまりも無駄なツケが巨大過ぎました。


6話では世論を牽引するマスコミの姿を見ました。

そこには日本のマスコミの脆弱性がありました。

権力や経営サイド(広告料)に弱いがために真実を伝えることが出来ない構造が出来てしまっていることでした。


7話では世論に現れる国民性や感情を見ました。

一つの問題点は大企業や業界が世論を操るためにそれを分析し、広告宣伝に生かしていることです。

また賛否を表明する個人の意識や感情には本来無縁と考えられる不思議な共通項がありました。

このことは賛否の意見分裂には科学的や経済的な論理だけではわかり合えないものがあることを示しています。


私は、原発問題には現在進行中の日本社会の病理が表面化したと思っています。

確かに原発の放射線事故と産官学癒着は特殊な問題を含んでいました。

しかし半世紀に及ぶ原発推進を見た時、まして広島と長崎の被爆を身近に知っていながら放置したことは、大きな問題です。

これに対して真の反省がない限り、よく似た過ちを幾度も繰り返すことになるでしょう。

さらに原発問題を分析した記事は別の「原発の問題とは何か」にあります。

この連載は上記記事の要約版で、ここには経済的な考察とさらに詳しい説明があります。




ここでは深層の問題点だけを列挙するに留めます。

1. 社会や組織が腐敗しやすい。正義の観念が乏しく内部告発を促し守る制度がない。

2. 一党長期政権はあらゆる制度運営に弛緩を招き、権益のための癒着が生じた。

3. このことは既得権益擁護の巨大な無駄が日に日に膨張し続ける結果になっている。

4. これらを監視し修正すべし議員(多くの世襲)、官僚、裁判官にも緊張感がない。

5. マスコミは権力や資本に弱く、権力の不正を暴露し国民に伝える力が弱い。

6. 結局、この問題を見過ごして来たのは国民自身です。



長い間、お付き合いいただきましてありがとうございました。













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