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原発問題の深層6 : 世論を牽引するマスコミ

2012年08月25日 | 連載完 原発問題の深層

今まで、原発そのものと推進母体の様子を見て来ました。

しかし目に見えない、より重要な問題が日本に根を張っています。


私達はここ30年ほど原発をどのように認識していたのでしょうか。

おそらく原発村以外の人々の大半は無関心だったでしょう。

当然、原発の安全性を理解出来るだけの知識はありません。

結局、多くをマスコミ報道(解説や記事)に頼っていたはずです。

エネルギー政策の良し悪し、原発の安全性とその価値についていつしか頭に刷り込まれていたのです。

私達は広島と長崎のことを知っていたはずですが、ほとんど結びつくことはなかった。



< 原発の世論の推移 >

原発創生期の55年、読売新聞と傘下の日本テレビは大々的に原子力平和利用キャンペーンを行った。

推進世論は確実に増加していたが、70年台後半の原発事故により風向きは変わった。

しかし90年以降、また推進派が増加し始めた。これはなぜだろうか。

例えば原発教育・広報を行っている日本原子力文化振興財団(経産省傘下)は、91年「原子力PA方策の考え方」を作成し、「繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」と指摘している。



< 東電広告費 >

その効果は東京電力の広告費推移を見ていただければ一目瞭然です。

東電は業界の31%の売上げがあり、年間業界広告費は恐らく1000億円に近づいた。

この広告を取り仕切った電気事業連合会のボスの言辞にその勢いが現れています。

彼は毎日新聞に「御社のエネルギー問題への取り組み方針はどうなっているのですか。反対が天下のためになると思うのなら、反対に徹すればいいではないですか。広告なんてケチなことは、どうでもいいではないですか」「消費者運動を煽(あお)って企業をつぶすような紙面づくりをやっていたのでは、広告だってだんだん出なくなりますよ」などと迫ります。

この後、読売新聞は「原子力は、私どもの社長の正力松太郎が導入したものである。それをライバル紙の朝日にPR広告をやられたのでは、私どもの面目が立たない」と出稿を求め、掲載するようになります。

こうしてそれまで反対姿勢を取っていた新聞各紙も70年台から紙面を原発推進一色へと変えていくのです。

その影響力は新聞だけに留まらず、有名タレントを使った推進キャンペーン、学者の原発擁護の解説、TVの原発推進コマーシャルに数億単位の金が動きました。

悲しいことにその金は経産省が認可した我々が払う電気料金から出ているのです、人生まことに不条理です。


次回は、原発世論を考察します。





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