明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

街が泣いてた 伊丹哲也とside by side

2018-06-05 21:02:52 | 僕の音楽日記
突然降り出した
雨に
傘もなく
ジャケットを首までかけ
右手で雨を避けながら
茶店から
駆け出していった。

いつもなら
傘でも借りて

というより忘れ物の傘を拝借して
悠然と歩きだし
出て行くあいつが

今日は何かに動揺したかのように
余裕もなく
突然の雨に
心乱して…

雨に濡れることが
何か
罪滅ぼしにでも値するかのように

そうしないで
いられない気分のまま
雨足の強くなる街中をかけていった。

雨降り前は何故か切なくて
いつものコーヒーショップに入りざわつく心を
落ち着かせようと
ホット ひとつ。


願い事か
おまじないの様に
スプーンでくるくるかき回すコーヒーは
それだけで冷めていく。

遠い目で窓の外を見つめて

開くはずのない入り口の扉の
開くのも待っている様だ。

もう会わないと決めたのだから
ここには来ない。
窓側の席は向かい合わせにはならない。
ただ いつものように座っていても
あの人はいない
あの人は来ない

もう…
さよなら俺のひとよ…

寂しそうに
街が泣いてた。

雨は降り続ける。
土砂降りの大泣きの雨は
街中をびしょ濡れにして…



恋の歌 ラニアルズ

2018-06-05 10:19:01 | 僕の音楽日記
引力圏内から
周回軌道を離れ
小さな船は
無重力の海へ飛びだし
始めた。

自分の意識から
外れて
無くなったはずの涙が
頬を伝って
落ちた。

太陽が朝日を引き連れ
東の空を染める頃
いつもその方向に思いを飛ばし、

太陽が夕焼け空をバックに
西の空に腰を下ろす頃
君はお気に入りの場所から
西の空の方へ
思いを飛ばす。

恋する思い
愛おしい思い
切ない思い
狂おしい思い
どんな比喩も当てはまらない
今は
不思議な感覚。

思い出せば
遠いあの日
冬が過ぎて
僕たちにも
暖かい
太陽が
この胸の中にあった。

夏も過ぎて行く頃
赤い夕日が消えた
君にさよならも
言えないで
僕は 泣いた。




てぃーんずぶるーす 原田真二

2018-06-05 05:56:41 | 僕の音楽日記
転校生のM滝くんは
北海道からやってきた。

北海道訛り
北海道弁のなんとも優しい
ほのぼのとした素朴なやつ
だった。

少し細身で
やたら足が速く

その噂は学年中に広がり
彼は陸上部に入った。

彼を襲った悲劇は
そこから始まる。

期待を寄せられると
そこにまちうけていたのが
彼の骨を蝕む病の発覚。

風邪を切ってトラックを疾走
していた彼の姿を日に日に
見ることが少なくなり

彼は彼でなくなったように
存在を自ら消してしまうように
ひっそりとしてしまった。

走ることを止められた
彼は
彼でなくなってしまい
いつしか明るさまでも
奪っていった
彼の病気は
短かった在校期間の中で
ほんの一瞬僕たちの前を
通り過ぎていった
風のように…


校庭のトラックを風のように駆け抜けて
行った
一瞬の夏。

その後彼は父親の転勤でまた
転校していった。
次の町へ
また
次の町へ

仲良くなった短い期間
僕たちの中に
北海道訛りを聞くたびに
M滝君の思い出が
頭をよぎる

彼のその後
僕たちとのほんの短かった期間。

彼はたしかに
短距離走の選手だった。