ようこそ里山へ 茨城笠間・青葉って永遠

茨城県笠間市。観光と陶芸の町の知られざる宝。穏やかな里山と田園は心の原風景。庭と山川草木、体感する旬の言の葉たち。

大谷石再生の記

2011-06-19 05:41:37 | 茨城の復興・石の現場から
 震災後、笠間市内のお客様から、大谷石の土留め石積みや石塀の事後対策のご相談を頂きました。

 こういう時ですから、一に安心、二に低コストが基本ですね。

 写真は、そのうちのひとつ。市内のとある施設の駐車場の敷地境界付近の現場です。
全面崩落した土留めの大谷石を、すべてそのまま再利用し、積み方を変えて修復したもの。

 この積み方ならば、少々傷のある石でも問題なく使えます。
適度な角度をつければ、横揺れにも動じなくなり、優雅な雰囲気も生まれます。
 
 土留めの高さは低くなりましたが、これで十分です。
上部ののり面は通常は芝で土留めするケースですが、今回は、刈り払った雑草マルチングでOK牧場でしょう。

 そのうち草が勝手に生え、土壌を保全してくれるからです。
自然さんは、コスト削減のために、いろいろと働いてくださいます。
自然さんに感謝いたします。
  
 こういう工事を行った背景について、少しご説明します。

 このたびの震度6強の大震災では、大谷石の塀や土留めがそこかしこで崩壊、その対応に追われました。

 その石たちの多くは、市民・行政・業者による迅速な判断で、速やかに運び出されました。
そして、廃棄処分の運命をたどった模様です。
もちろんそれは、緊急事態では当然の対応と感じます。

 しかし、一方では、もったいないのではないかと考える人もいました。
私もその一人です。何しろ、落下してもほとんど無傷の石たちもたくさんありましたので。

 耐震強度という点に注目しながら現場で観察した限り、大谷石そのものに罪があるとは思えない。
地盤の強度、基礎の強度、控えの石の構造と組み方、目地の構造・カスガイ補強など・・・
要は、素材自体ではなく、施工の側に問題があったと感じます。

 このことは、プロの業者であるならば、謙虚に反省しなければならないでしょう。

 大谷石は、温かい雰囲気のある良い石だと思います。火にも強いし、やわらかい風情もある。本当にもったいない。

 今、大切なことは、落ち着いて、よく見つめることだと思います。そして、不安を一つひとつ、現実的な方法で安心に変えていく行動だと感じます。

 まだまだ、たくさん働けるのに捨ててしまったら、石がかわいそうだし、もったいない。
お客様もかわいそうです。

 お陰さまで喜んでいただきました。
となりの旦那さんも、
「これで安心したし、はからずもオツな石積みが背景になって、庭木が引き立った」とご満悦のご様子。

 少しづつ、大谷石と仲良しになっている今日この頃です。
 


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