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高校野球部生徒の熱中症死亡最高裁の決定に関して

2016年01月26日 | 日記
 本日の地元紙が「熱中症死亡で県の賠償確定」と報道しています。
阿波西野球部員が熱中症で死亡した問題で、「最高裁は県の上告を退け」「4487万円賠償支払い確定」したということです。
このことに関しては、昨年6月議会で、日本共産党県議団は、県の上告に反対し、上村恭子県議が討論しました。
 私は、高校生の孫を持つ祖母として、胸が締め付けられる思いでした。最高裁の決定は当然と受け止めています。しかし、亡くなった子どもさんは帰ってきません。
二度と、このようなことが起きることがないように、適切なスポーツ指導が行われるようにと願っています。 

以下、上村恭子県議の2015年6月11日のブログ及び討論全文を掲載しておきます。

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6月11日 県議会開会日に反対討論

 6月徳島県議会定例会が開会されました。  
 知事が今議会への議案提出について説明した後、「阿波西高校野球部生徒死亡事故裁判」上告の可否について質疑、討論、採決が行われました。
 私は、文教厚生委員会で質問していたので、内容も知っており、議員団で論議もした上で臨みましたが、他の会派の議員さんからの質疑はなし。私は反対討論に立ちましたが、それ以外討論もなし。日本共産党以外、全員上告に賛成(起立)であっさりと議決されました。
 生徒が野球部の練習中に熱中症で倒れ、死亡した事故です。知事の上告するという判断の可否を問う議事であり、議会の責任は重いはず。もっと何かアクションがあるかと思っていました。こんな調子で県民にとって重大なことが決まっていくのか、・・・と、内心ショックでした。

本会議詮議案件:阿波西高校野球部生徒死亡事故裁判の上告の県の反対討論

 日本共産党を代表して、本日提案されました議案第20号、上告の提起及び上告受理の申し立てについて反対討論をいたします。
 本件は2011年6月6日、学校の課外活動である野球部の練習に参加していた高校2年生男子生徒が、練習中に熱中症で倒れ、救急車で病院に搬送された後、意識がもどらないまま死亡した事件で、亡くなられた生徒のご両親が監督の過失を問うて損害賠償を求めた事件です。
 亡くなられた生徒の無念、またご両親の胸中を思うと、本当に胸が痛む思いです。生徒には「安全に教育を受ける権利があり、学校での課外活動が原因で死亡するなどということはあってはならないことです。
 一審では、監督に注意義務違反はなかったとして、ご両親の訴えが退けられましたが、これを不服としてご両親が上告され、二審の高松高裁で一審判決を変更。
「足がつった」という生徒の症状から熱中症による熱けいれんと考え、その後の生徒の様子に注意していれば、生徒の異常に気づき、倒れる前に練習を中断させることで事故は防げたはずだと監督の過失を認め、約4500万円の支払いを命じました。県は、生徒が監督に自ら体調不良を訴え、ひとりでダッシュを再開することを止めていれば事故は起こらなかったとして、過失相殺も訴えたとのことですが、裁判では「本人の性格を考慮すれば考えられない」と退けられています。
 知事は、一審と二審の内容がまったく違うことを重く見、最高裁の判断を仰ぎたいということでしたが、二審判決で、監督の過失は明確に指摘されています。これ以上、裁判で争うべきでない、最高裁への上告には反対です。県は判決を受け入れ、ただちにご両親に謝罪し、損害賠償をすべきと考えます。

 事故当時の気温は推定で約29℃。暑さ指数の基準(WBGT)では、熱中症の危険性を考慮し、激しい運動は中止すべきレベルだったとのことです。
当該生徒は、約2㎞の持久走を行った後、100mダッシュを25本行った後、休憩。ダッシュを再開し、40本目の途中で足がつり、周囲の部員のすすめでダッシュを中断し、他の部員のフォローにまわったとのことです。
監督に呼ばれ、ダッシュを中断した理由を聴かれた当該生徒は、「足がつりましたが、今はいけます。」と答えたとのことです。
その後、他の生徒が100mダッシュ50本を終了した後、当該生徒が一人で100mダッシュを再開。足がもつれて倒れこみました。
監督はすぐに救急車を呼んだそうです。当該生徒の呼吸が激しかったため、過呼吸だろうと考え、落ち着いて息をするように声をかけながら背中をさするなどして、救急車の到着を待ったとのことです。当該生徒は中央病院に搬入されましたが、意識が戻らないまま、7月4日に亡くなられました。

文部科学省は、中高生の熱中症の発生や熱中症が原因による死亡事故が相次いだことを受け、2003年に熱中症の啓発資料を作成し、全国の小中学校、高校に配布しています。2003年当時の資料は手に入れることができませんでしたが、2011年当時の日本体育協会発行の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」にも、熱中症の症状として、「足がつる」=熱痙攣の症状が紹介されています。
 本県では、2005年に中学生が野球部の練習中に起こした熱中症が原因で死亡する事故が起こっています。
熱中症の啓発、周知をしっかりできていたのか、できていたとすれば、監督にこの知識がなかったとは考えられません。
また、成人とほぼ同程度の自己判断力が備わっている発達成長段階にあるとはいえ、監督と生徒の関係を考えると、生徒の方から体調が悪いので休みたいと申し出をすることは難しかったのではないでしょうか。この点で、過失相殺の求めを退けられたのは当然ではないでしょうか。
 県は、今回の判決を真摯に受け止め、学校現場に指導を徹底し、二度とこのような事故が起こらないよう努めることが重要ではないでしょうか。
それが、亡くなられた生徒の無念と、ご両親の気持ちに応える唯一の道であると思います。
 以上により、本件は上告すべきでないことを指摘して反対討論といたします。