昭和35年公開ですから、終戦からわずか15年後です。当時の観客にとってはつい昨日のことのように思い出されたことでしょう。
いったいどんな思いで観ていたのだろう......。
なんてことを思いつつも、不謹慎かもしれませんが、私は円谷英二特技監督が手掛けた特撮、特にミニチュア・ワークに注目しながら観ていました。これが素晴らしい!
戦闘機の浮遊感、映像の奥行きの深さ。そりゃ確かにCGに比べたら、ミニチュア感まるわかりではありますが、ミニチュアなんだけどただのミニチュアではない、不思議なリアリズムがあるんですよね。
真珠湾に日本の戦闘機が侵入していくシーン。山の稜線ギリギリを掠めるように飛んでいき、戦闘機の風圧で木々が揺れる細かい演出。
そして湾内に侵入しての攻撃シーン。敵戦艦は場面ごとに相応しい大きさのミニチュアを使い分け、細かくカットを割っていく。ある意味とても贅沢な撮り方をしていますね。これはミッドウェイ海戦のシーンではさらに顕著。手のひらに載るほどの小ささのミニチュアから、自走式のエンジンを搭載した大きなミニチュアまで、大小さまざまのミニチュアを駆使しての撮影には、相当な手間がかかったと思われ、そうした手間を厭わない当時の東宝の社風には、感謝しかありません。
空母飛龍のミニチュアの甲板上には、よく見ると人形がいて、これが戦闘機発進の際に手を振るんです。この人形、甲板の端っこの方に配置されていて、よく見ないと気付かない。しかも一瞬しか映らないので、観客には目の端に一瞬だけ、本当に人が手を振っているように見えちゃうんです。いや、見事な演出と言う他ないです。
円谷英二特技監督及び特撮スタッフの素晴らしき手腕!その職人技や良し!当時としては最高峰の特撮演出だし、今見てもその素晴らしさは色褪せない。ミニチュア特撮を侮るなかれ!
いや、堪能させていただきました。
物語は真珠湾での大勝利からミッドウェイでの大敗北までを描く。勇躍するパイロットたちと、軍首脳陣の苦悩。松林宋恵監督による本編演出もいい。東宝オールスターほぼ総出演。
真珠湾攻撃が行われた今日、この日に、あの戦争を振り返ってみる。あの戦争を「知って」いる方々によって作られた戦争映画を観てみる。それもまた、一つの供養
かも。
あの戦争に命を捧げたすべての英霊方に
感謝と哀悼を込めて。
合掌。
円谷英二監督の特撮、見事でした!!どこが特撮なのか一ヶ所くらいしかわからない程です。よく出来ていますね〜。
戦後15年くらいしか経っていないのに、観ている人たちの胸中はいかばかりだったのでしょうか…。
戦争に関わられた全ての皆さまに哀悼の意を表します。
でもそれでは大ヒットはなかなか望み難い。だからだれが見てもわかるCGが、特にアメリカ映画界で発達したという側面があると思う。
そのおかげで、確かに面白い映像も増えたけど、つまらない映像も増えた。その分観客の感性が衰えてしまったような気がしてならない。
やっぱりね、映画は観客が想像力を膨らませることで、より面白く感じられるものだと思うので、CGはその想像力を摩滅させてしまった側面はあるね。
CGには功罪両面あり。良いだけのものなど、この世にはないねえ。