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『調査されるという迷惑』フィールドに出る前に読んでおく本 (単行本) 宮本 常一 (著), 安渓 遊地 (著)

2009年09月07日 | 本と雑誌

090907ankeibook1 この本をいただいた時読んでいた小説
早めに読み上げて、さっそく読んでみた。

『調査されるという迷惑――フィールドに出る前に読んでおく本』google

タイトル通りの本なのだが、
しかし、この小冊子が小説のようにおもしろいのはナゼか。

いや、この本の事実は小説よりもおもしろかった。

大学の先生のゼミに参加しているような本なのだが、

しかし、そこで上質の映画を見ているように
引き込まれてしまうのはナゼか。

映画のタイトルは、たとえば「フィールド」とか Field でもよい。

090907ankeibook2 「調査というものは地元のためにはならないで、かえって中央の力を少しずつ強めていく作用をしている場合が多く、しかも地元民の人のよさを利用して略奪するものが意外なほど多い」

という、第一章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(宮本常一google)の最後の文章、

第二章 される側の声――聞き書き・調査地被害(安渓遊地 google)
につづいて

第三章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓)

大学を出たばかりの著者(安渓)に浴びせかけられた調査地の人たちの言葉の数々が
おもわず、息をのむほど生々しく、するどい。
どこかに、おかしみも感じられるが。

調査被害にあった人たちの言葉をありのままに紹介するのは著者自身への自戒が込められている。

その自戒は現在進行形だ。想像をこえた世界だった。
そこに著者の研究に対する真摯で厳しい態度をみた。
                                                      第四章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓)

著者(安渓)の体当たりの半生をかいま見る思い。
学者の概念を超え、フィールドは世界にまたがる。

じっさい、もう一つの小説か映画になりそうなテーマも含まれているのではないか。

調べるとは? コミュニケーションとはなにか?
社会とはなにか
学問とはなにか
人生とはなにか                                               さらには
人間とは何か
ということを考えさせられる内容だ。

この小冊子が、これほどのことを考えさせてくれるのはナゼなのか。
読めばわかるさ。
ブログもTVも、調べて発表する、ということと無縁ではない。

学生でないあなたの日常生活のフィールドでも。

文化人類学の一番の基本「みんなちがってみんな変」P67

中国の革命家孫文の 「知るは難く、行うは易し」
体が動かないのは頭でしかわかっていないからだ。こころから納得すれば自然に行動にあらわれる。P84

ほか、珠玉の言葉が、さりげなくちりばめられている。

                                                                                                            

[目次]

はじめに(安渓)
序章  宮本常一先生にいただいた言葉(安渓)
第一章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(宮本)
第二章 される側の声――聞き書き・調査地被害(安渓)
第三章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓)
第四章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓)
第五章 種子島にて・屋久島からの手紙(安渓)
第六章 まぼろしの物々交換を知夫里島に求めて(安渓)
第七章 「研究成果の還元」はどこまで可能か(安渓)
引用文献
初出一覧
索引(フィールドでの指針として)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
海風様 (そのままペンネーム)
2009-09-10 12:41:59
海風様
 安渓遊地です。いつもお世話になっています。たちまち読んで下さって、しかも熱い応援の言葉をいただき、感激です。
 続編、宮本先生「仲間だと思われればいいんじゃよ」をめぐって『大学生をムラへ呼ぼう』みずのわ出版
 そのまた続編、仲間たちと意見が違う時の、『出すぎる杭は打たれない――痛快地球人録』、1冊ずつですが、あまみ庵に並べてもらいましたので、お時間のあるときに、立ち読みをお願いします。
返信する
そのままペンネーム さん、コメントありがとうござ... (管理人)
2009-09-11 22:54:09
そのままペンネーム さん、コメントありがとうございます。

あ、先生、ごらんになっておられたのですね、

うー、緊張しています。


”第七章 「研究成果の還元」はどこまで可能か 安渓遊地”

が、特によかったです。写真もいいです。

目からうろこでした。

そういう視点があったのか、という驚きと、還元ということの幅の広さと深さに気づかされました。

黒潮が、地球を一周して、ふたたび還ってくるイメージです。

頭の中で、コロンブスのたまごがコペルニクス的転回をしています。

得がたい本、ありがとうございます。
またHPに掲載していただきありがとうございます。

あ、はずかしかったのですが、
アマゾンのレビューに、コピペしました。
ページへの反映は、少し時間がかかるようです。

投稿者名は matsuda oji です。

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