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アニメ矛盾紀行 その1「数人一役」

2017-06-06 12:39:32 | よしなし事
 アニメの登場人物を眺めていると、たまに、突如、人格が入れ替わることが目に付きます。
 決まって、主役です。男子がほとんどです。脇役は、出番が少なく、設定された性格をなぞるだけですむために、この奇妙な現象から無縁のようです。

 たとえば、普段は、はっきり言葉がしゃべられず、うなり声や、息を呑む音の台詞ばかりで、ほとんど自己主張のできない主人公が、事件に巻き込まれたり戦う場面になると、突如として、周囲も驚くほどの決断力を発揮し、しかもしゃべる内容も明瞭、理論も緻密、そんな「むりやり」な変身場面が、大量の作品の中に出てきます。

 たとえば、めそめそして泣きじゃくっている人物が、何の根拠もなく、突如、勇ましく立ち上がって行動を始め、それまでの迷いや泣き言を言っていたことが、「ナシ」になっている場面が、大量の作品の中にあります。

 こうした現象を、私は「一人二役」にちなんで「数人一役」と呼んでいます。つまり、性格が変わったのではなく、「違う人間に入れ替わった」という理解です。声や顔が同じなので、なかなか納得するのには苦しみますが。

 それでも、私なりに、製作者の事情を斟酌してあげるなら、こうなります。

・作品の時間が決められているので、結論に至るプロセスに人格がついていけなかった。

・プロットをなぞるためには、主人公の性格が一貫していては困る。

・自己主張できない人、弱気な人を、視聴のターゲットにしているので、応援のつもりだった。

・内容よりも、キャラデザインや声優ありきなので、余分なことに労力はかけていられない事情がある。

 本当に、アニメ業界は、大変だと思います。頑張って、面白い作品をたくさん、世に送っていただきたいと、心よりエールを送ります。

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