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アニメ矛盾紀行 その3「ターン制」

2017-06-08 13:20:08 | よしなし事
 コンピュータ・ゲームをよくやる方だと、よくご存知だと思います。「ターン・バトル」、「ターン制バトル」などとも言われたりします。

 簡単に言うと、ゲームの中で敵やモンスターと戦う際、両者入り乱れてではなく、相手と交互に攻撃や防御のコマンドを実行する方式のことです。つまり、相手が攻撃するターンでは、こちらは今の防御力を頼りに「何もできず」に攻撃を受け続けなければならないという決まりの戦い方です。

 中には、一定の確率で「避け」たり、「跳ね返して相手にダメージを与え」たり、即座に「反撃し」たりという機能もありますが、これらはあくまでオプションです。

 広く言えば、将棋やトランプも「ターン制」と言えなくもありません。相手がカードをめくっているときに、割り込んだりすることはできないし、飛車の駒が移動している途中で王駒が勝手に逃げ出すこともできません。

 さて、話をアニメに戻すと、作品の中のバトル・シーンでは、著名な作品から、粗製濫造のお手軽作品にいたるまで、完璧なターン制が大量に採用されています。むしろ、交互に入り乱れて戦うような作品を見つけることのほうが大変です。

 たとえば、一方の側が、合体したり、ワザのウォーミング・アップをしたり、兵器の名称を声高に叫んでいたり、回想にふけっていたりすることが、「ターン」として認められ、相手側は攻撃を中断して待っていてくれるのです。これは、相手が人がいいわけではないのはもちろんです。かといって、命を懸けたような戦いで、「チャンスに攻撃しない」とか、「何もせずに攻撃を受け続ける」というのは、どうも不自然に見えて見苦しいです。

 でも、「ターン制バトル(現実ではありえませんが)」の作品なのだと理解すれば、それはルールなのですからスッキリ理解することができます。相手が攻撃を準備していたり、場合によっては攻撃するか逃げるか迷っている間は、じっと見守らなければならない決まりなのです。

 ただ、ターン制にも気になる点はいくつかあります。たとえば、主人公の側が時々ルールを破って、相手の攻撃中にカウンターで手を出してしまうことが高い確率である、というアンバランスです。相手側は、主人公が幼い頃まで遡って、長い回想にはまり込んでいても、紳士然と攻撃を控えてくれているのにです。しかも、恥らうこともなく、「スキありー」とばかりに自慢げな台詞まで付いてきたりします。これでは、どっちが悪だかわかりにくくなります。

 ターン制が乱用されているのは、製作者全員の罪、と断定するのは行きすぎです。あえて、問題があるとすれば、それは脚本です。でも、時間やスポンサーや熱狂的なファンをはじめとする様々な制約を考えると、非現実的だという非難を受けても「ターン制」をあえて選ばざるを得ない、やむを得ざる事情を考慮してあげるべきでしょう。せめて、雑誌やテレビ欄での表示や、作品解説の項目に「バトル:ターン制」という表記があると、私は大助かりです。時間の節約になるからです。

 ターン制バトル、果たしてこれからもアニメバトルの代名詞として君臨し続けるのでしょうか。

 本当に、アニメ業界は、大変だと思います。頑張って、面白い作品をたくさん、世に送っていただきたいと、心よりエールを送ります。

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