少しずつ時間をみつけては、自分の部屋の整理をしている。忘れていたものがふっと出てきたりして、なんだかうれしい。そんな中何年か前に出会った、「胸の泉に」という塔和子さんの詩と再会した。「かかわらなければ…」から始まるこの詩が、またすっとココロに入ってくる。
「胸の泉に」
かかわらなければ
この愛しさを知るすべはなかった
この親しさは湧かなかった
この大らかな依存の安らいは得られなかった
この甘い思いや
さびしい思いも知らなかった
人はかかわることからさまざまな思いを知る
子は親とかかわり
親は子とかかわることによって
恋も友情も
かかわることから始まって
かかわったが故に起こる
幸や不幸を
積み重ねて大きくなり
くり返すことで磨かれ
そして人は
人の間で思いを削り思いをふくらませ
生を綴る
ああ
何億の人がいようとも
かかわらなければ路傍の人
私の胸の泉に
枯れ葉いちまいも
落としてはくれない 「未知なる知者よ」より
かかわったからこそ、自分の内側から様々な感情が起こる。喜びや楽しさ、悲しみや怒り…。かかわりが深ければそれだけ、振り子のようにその双方の感情も大きくなる。良い思いだけではなくそうでないものも、その時々に感じるすべての思いを一つひとつ綴っていくことが、つまりは生きるということなんだと、この詩は気づかせてくれる。これからもいろいろな感情が胸の泉に湧いてくるだろう。その一つひとつを受け入れ味わいながら、これからも生を綴っていきたい。お部屋の整理をしながらそんなことを思った。
YOU
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