音信

小池純代の手帖から

うたつらね 6

2019-04-23 | 日記
あげひばり。


 うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独りし思へば

                       大伴家持


 花ざかりの畑にしあれば雲雀あがり水晶のふるよろこびのふる  *畑:はた

                       石井辰彦

 虚空より降るギヤマンの星無數心を刺して揚ひばり鳴く     *虚空:こくう

                       石井辰彦


 烈風にきこゆるとなき雲雀かな         木下夕爾


 鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふでもこれでいいよねと云ふ

                       光森裕樹


 時は春
 日は朝(あした)
 朝(あした)は七時
 片岡に露みちて
 揚雲雀(あげひばり)なのりいで
 蝸牛(かたつむり)枝に這ひ
 神、そらに知ろしめす
 すべて世は事も無し
             「春の朝(あした)」ロバート・ブラウニング/上田敏 訳

 ひばりのす
 みつけた
 まだたれも知らない

 あそこだ
 水車小屋のわき
 しんりょうしょの赤い屋根のみえる
 あのむぎばたけだ

 小さいたまごが
 五つならんでる
 まだたれにもいわない
             「ひばりのす」木下夕爾


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