最初に、前回のこのブログで取り上げた話題について補足します。
先日の「ルーズヴェルト・ゲーム」によると、イツワ電器の実用新案権ですが、特許庁の評価をもらっていたみたいですね。
その評価書によれば、権利性なしという判断であったと。
これに対して、イツワ電器側の弁護士は、それはあくまで行政の判断であって最終的には裁判所が決めることだって言ってました。
確かにその通りなんですけどね。
でも、特許庁の判断で権利性否定された権利で、訴訟までするかなあ。
ましてや、今回の実用新案は技術的に新しくないので、裁判で権利性ありとされる可能性はほぼゼロのような気がしますし。
返り討ちに合うリスクがきわめて高いので、現実的には、訴訟しないのが普通だと思います。
前置きはこれくらいにして、著作権法の改正に触れます。
著作権に関する今のホットな話題は、保護期間の延長(死後50年→70年)ですけど。
※ちなみに、延長はほぼ決まりなんでしょうね。
なんで70年なのかという議論も不十分なまま、アメリカと統一させるというTPP交渉での政治判断で決まってしまうことに、ちょっと違和感あります。
70年に延長することが、果たして「文化の発展に寄与する」(著作権法1条)んでしょうかね?
法改正の話に戻りますが、今回の改正のメインは、出版権が電子出版にも及ぶようになったことにあります。
出版権というのは、契約によって、小説家や漫画家などから出版社に与えられます。
それにより、出版社は、本やマンガの出版を独占できる(小説家や漫画家自身も、自ら出版できなくなります)。
なので、出版社は、他人が勝手に本やマンガを出版すると、出版権の侵害として、その他人に対して差止請求や損害賠償請求ができます。
こういった内容の出版権に関し、現在の著作権法では、紙ベースでしか対応できていませんでした。
最近では、本やマンガが電子書籍化され、スマホやタブレットで読めるようになっているのに、そういう場合に対応できていなかったのです。
そこで、今回の改正で、電子書籍化の場合にも出版権が及ぶようになりました。
出版社は、電子書籍化したものについても、出版権を行使できることになります。
改正法の施行(効力が生じること)は、来年1月からです。
でも、だからといって、来年1月までなら、電子書籍を勝手にコピーやネット配信していいという話にはなりませんのでその点は誤解のなきよう。
現状でも、勝手なコピーやネット配信は、著作権侵害や不法行為の問題が生じますので。
ところで、法改正の情報は、文化庁のホームページを見ても発見できない…
文科省のページに行って、ようやく見つかりました。
著作権を直接所管する官庁は文化庁なんだから、文化庁のページに載せてよ。
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