弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

中国ビジネス契約

2014-12-02 22:42:04 | 法律一般

今日は寒い… 昨日までとは大違いです。

 

先日の日曜日、ロースクール時代の同期で友人の結婚式に出席するため、大阪へ行ってきました。

前乗りして、こんなところへ出向き、串カツ食べてきました。

酔っぱらったせいで、荷物を預けた駅ロッカーのキーを落としてしまうという大失態をやらかし、荷物なしでホテルへ(T_T)

これはヤバいと焦りましたが、なんとか翌日の結婚式には、何事もなかったかのように無事参加でき、ひと安心。

結婚式は、笑いあり、感動ありのとってもいい式でした! おめでとう!!

 

さて、話題はガラッと変わりますが、先日、中国の弁護士さんによるセミナーに参加してきました。

その時の備忘録を兼ねて、このブログで触れつつ情報提供したいと思います。

 

セミナーでは、いろいろお話していただいたのですが、まずは形式的なところから。

形式的なところといえば、

 ・契約当事者の問題

 ・口頭での契約成立の問題

 ・言語の問題

 ・代表者やその権限の問題

 ・印鑑の問題

といった問題があります。

 

と、ここまで書いて、それぞれの問題に関する個別の話は、また明日以降にしようかと(もう遅いので…)。

 

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製品リコールの話 ~昨日のつづき~

2014-11-27 18:14:47 | 法律一般

今日は、昨日までと一転、いい天気でしたね。

 

さて、昨日の続きです。

昨日は、自動車に限らず、日常のほとんどの製品で、重大製品事故が発生したら報告義務が課せられ、また、重大製品事故の発生や危険がある場合は、その発生や拡大を防止するための措置をとらなければならない、という話をしました。

 

他方で、製品事故であっても軽傷(30日未満の治療期間)であって重大製品事故ではない場合、また、事故発生の危険性があるにとどまる場合には、報告義務はありません。

なので、別に報告しなくてもいいのですが、現在は、これらの場合も、任意ではあるけど報告し、併せて対応策も報告するというのが主流となってます。

 

この場合、報告先は、「独立行政法人 製品技術基盤機構」(NITE)というところ。

ここに通知された情報は、経産省や消費者庁にも伝えられ、リコール情報として公表されます。

経産省の情報ページを見ると、様々な製品について、日々、リコール情報が寄せられていることがよくわかります。

 

このようにリコール情報がネットで公表されると、会社の評価が悪くなるのでは…、とついつい思ってしまいがちです。

ずいぶん意識は変化してきていると思いますが。

 

リコールの報告をした場合、会社の評価に影響がないとはいえませんが、リコール情報を出さなかったばかりに、製品事故が発生してしまった場合はどうなるか。

欠陥による事故発生やその危険を知っていながら、隠していた、こっそり対応していた、ということが判明すれば、世間から非難を浴びるのは、過去の事例を見れば明らかです。

その方が、よっぽど悪評価につながりますので、意識転換が必要ですね。

 

どんな製品であっても、メーカーや輸入業者としては、欠陥を出さないようにすることがそもそも大前提です。

でも、もし欠陥が判明してしまった場合はどうするか?

危機対応は、大企業だけの問題ではありません。

いざという時にあたふたしないよう、間違った対応をしてしまわないようにしたいものですね。

 

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製品リコールの話

2014-11-26 21:28:39 | 法律一般

この3連休、天気に恵まれましたが、そのあおりを受けて昨日から雨。よく降りますね。

個人的にはこの連休中、めずらしくグルメな週末を過ごしました。

そのレポートはまたおいおい書こうと思います。

 

さて、今日は、製品リコールについて触れようかなと。

製品リコールというのは、製品に欠陥があった場合の問題ということで、前回記事にした製造物責任と関連します。

でも、法律の目的が異なります。

 

まず、製造物責任(PL)というのは、製品の欠陥が原因となって被害(損害)が発生した場合に、それを回復させるという場面の問題です。

いわば事後の話なので、損害賠償というお金の話がメインになりますね。

被害者の立証負担を軽くして、できるだけ被害者が賠償金を得られやすくするようにしたというのが製造物責任法でした。

 

一方、製品リコールというのは、製品に欠陥がある場合に、その欠陥によって人が亡くなったり、ケガをしたりする事故をできるだけ防止しようというのが目的です。

これは被害回復という事後の話ではなく、あくまで事故予防の話。

事故予防のために、製造業者や輸入業者には、法律上の義務が課されています。

 

ということで、メーカーや輸入業者としては、製造物責任だけでなく、それとは別の話として、製品リコールについても頭に入れておく必要があります。

 ※ここでも、製造物責任と同様、海外から製品を輸入している事業者も対象者となる点にはご注意を。

 

この製品リコール、自動車だけの話だとか、大企業だけの話だけと思ってはいけません。

「消費生活用製品安全法」(略して消安法)という法律により、日常使用される多くの製品がリコールの対象となります。

たとえば、椅子等の住宅用品、家電製品、衣類、ベビーカー等の乳幼児製品、その他、ほとんどの製品が対象です。

法律上は、「主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)」が対象になると定められていて、除かれているのは、食品、自動車やバイク、薬等の限られたものくらい。

これらは、別の法律(食品衛生法、道路運送車両法、薬事法など)で、安全性や回収等のことが定められているので除かれているだけです。

 

これら対象製品については、まず、

 ・死亡後遺傷害事故

 ・重傷病事故(治療期間が30日以上)

 ・一酸化炭素中毒事故

 ・火災

という重大製品事故が発生した場合に、その発生を知ったときから10日以内に国(具体的には消費者庁)に報告しなければなりません。

また、事故拡大防止のため、製品リコールの措置をとる義務も課されます。

これらの義務に反したり、措置が不十分だったりすると、行政処分を受けます。

 

ちょっと変わった事案を挙げると、抗菌デスクマット。

そこに含まれる抗菌剤が原因となり、体質によっては、マットに触れた皮膚部分がアレルギー性皮膚炎を発症し、30日以上の治療期間を要することになるという事案がありました。

これは、重大製品事故に該当するので、報告義務や製品リコールの義務が課せられます。

 

こんな事案もあるので、ウチはリコールなんて関係ないなー、と安易に考えてはダメです。

 

続きはあした(^_^;)

 

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PL(製造物責任)について

2014-11-21 16:05:23 | 法律一般

今朝の名古屋は、気持ちいいくらい晴れわたっていましたね。

明日からの3連休も天気がよさそうな感じです。

 

さて、今日は、知的財産とはあんまり関係ないですが、製造物責任法(PL法)に関して軽く触れてみようかなと。

 

製造物責任法は、第1条から第6条まで、全部で6つの条文しかない、短い法律です。

なんでこんなに短くていいのかというと、この法律は、民法の特別法という位置付けだから(PL法6条)。

なので、PL法に定めがないことには民法が適用されます。

 

特徴として知っておくといいのは、次の点。

 

 ・消費者保護ではなく、「被害者」の保護が法目的なので、保護対象は個人だけでなく、企業や国も含まれる。

 

 ・民法の原則によれば、被害者が製造業者の過失を立証しなければならず、立証のハードルが高いですが、PL法によると、被害者は製品に欠陥があったことを立証すれば足りる。

  → 逆に、製造業者は、法定の免責事由を立証しないと責任を免れない。

 

 ・責任を負うのは、純粋な意味での製造業者だけでなく、海外で製造された物を輸入した業者も含まれる。

 

 ・製造物には、加工品も含むが、農林水産物(肉、野菜、魚)を単に切っただけ、冷凍や乾燥しただけというのは加工にあたらない。

  でも、煮たり、焼いたり、味付けしたり、薫製にしたりした場合は加工にあたる。

  ※過去の裁判例(東京地裁平成14年12月13日判決)には、イシガキダイという魚を塩焼き等の調理をしてお客さんに出したら、魚に含まれていた毒素が原因で、お客さんが食中毒になったという事案があります。

   この事案では、料理を提供した料亭に製造物責任があるとされ、お客さんの賠償請求が認められています。

 

 ・欠陥とは、通常有すべき安全性を欠くことと定義されていますが、それに該当するかどうかは、通常予見される使用形態が考慮される。

  この場合、単に想定外の使用だからというだけで免責されない。

  ※過去の裁判例(鹿児島地裁平成20年5月20日)では、カプセル入り玩具のカプセルを子供が誤飲した事案で、欠陥ありと認定されています。

   また、国等が定める安全基準を満たしているということも、それだけでは欠陥にあたらないということにはなりません。

 

実際のところ、製造物責任を問われる事案はそれほど多くありません。

とはいえ、メーカーはもとより、輸入業者であれば、製造物責任法への対応には気を配る必要があります。

現実に責任を問われた場合に備えて、保険に入っておくことも対応策の一つです。

 

ちなみに、PL保険ですが、国内用と海外用が分かれていて、製品事故がどこで発生したかでどちらが適用されるかが決まります。

そのため、国内用のPL保険にだけ入っていた場合、海外で製品事故が発生すると、保険は適用対象外となってしまいます。

製品が国内だけで使用されるのか、海外でも使用されるのか、そのあたりも考慮する必要がありますね。

その点、ぜひご注意を!

 

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審決取消訴訟における技術常識の主張・立証責任

2014-10-22 20:12:03 | 法律一般

今日の話題は、先日の事務所内の勉強会で、裁判所が認定した技術常識について立証責任はどうなっているの?という疑問が出されたことについて。

 

さて、ここでの疑問には、おそらく次のような問題意識があるのだと思います。

つまり、被告の特許庁は、出願当時の技術がどうだったかについて主張していましたが、原告の特許出願人はその点について特に何も反論していませんでした。

それなのに、裁判所が特許庁すら主張していない技術常識を認定したけど、それっていいの?ってことだと思います。

 

結論を言っちゃいますと、そもそも何が技術常識かは間接事実なので、裁判所は自己の判断で認定しちゃってOKってことになります。

つまり、技術常識については、訴訟当事者の誰も主張・立証責任を負わない。

 

このあたりは、理由を説明しようとすると、民事訴訟法の理解が必要です。

審決取消訴訟は行政訴訟ですが、行政訴訟も基本的には民事訴訟法が適用されるので(行訴法7条)、民事訴訟の理論によるからです。

間接事実とは?、主張事実とは?、弁論主義とは?、主張責任とは?証明責任(立証責任)とは?といった概念の理解が必要となるのですが、つまらないと思うので説明省略。

 

もっとも、何が技術常識かは裁判所が勝手に判断できるからといって、何の証拠もなく認定するわけではなく、職権で文献を探すこともしません。

あくまで当事者が提出した証拠をもとに技術常識を認定します。

この場合、認定の基礎となる文献は、原告・被告のどちらが提出した証拠でも構いません(証拠共通の原則といいます。)。

 

今回の勉強会で扱った事案では、特許庁側が出した証拠をもとに、出願人側に有利な技術常識を裁判所が認定してくれました。

結果としてラッキーだったわけですが、本来ならば、出願人自らが、証拠を出しつつ自己に有利な技術常識が何かを主張できるようにするのがあるべき訴訟活動でしょうね。

 

なお、審決取消訴訟において、技術常識等に関する当業者の知見を主張するために、審判段階で出してなかった証拠を新たに提出することは問題ありません(最判昭和55年1月24日判決)。

 

今日はこんなところで。

 

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