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難波弘之と井上誠

2013年06月21日 | others
難波弘之 アルバム「Sense of Wonder」(1979)



夏への扉 難波弘之



キーボードミュージシャンの難波弘之のファーストアルバム、
コンセプトは難波先生自身が好きなSF小説のイメージソング集です。
これらの名作SFがもし映像化されたときには、
難波弘之ならばこんな主題歌(インストもあり)を作ります、というショーケースみたいな作品。
ハードロック、アバンギャルド、フォーク、ジャズなど幅広い音楽性が驚きですが、
ちょっと器用すぎてアクのないところが「ロックじゃない」と思われているのかも。

本人がほとんど作曲していますが、詞曲を他人へ依頼している場合は、
相手に小説を読ませるという荒業を課しています。
山下達郎&吉田美奈子→「夏への扉」「いちご色の窓」
三枝成彰→「ソラリスの陽のもとに」「地球の長い午後」など。
活字と音楽を結びつけさせてくれた個人的にベストオブベストなレコード。

Tr1の「アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス)」は
いまさらの超有名作品で、某BOOWYの元ボーカルのソロアルバムで知った人も多いのでは? 
以前なら長編版がハヤカワ海外SFシリーズから出ていましたが、
いまはダニエル・キイス文庫なんてのがあって、そこに入っています。
個人的には短編版(中篇版?)のほうが好きです。
短編版でヒューゴー賞をとり、その短編をもとに書き直したものなので、
長編版は若干間延び水増し感があるような。
短編版はSFマガジン1990年10月号(400号)に再録されています。
Tr4の「リングワールド(ラリイ・ニーヴン)」は、
モダンスペースオペラと言われていたので、
曲調はモロにスター・ウォーズのオマージュみたいなシンセミュージックマーチです。
Tr5の「火星人ゴーホーム(フレドリック・ブラウン)」は、
火星から火星人が地球へテレポートしてくるんですが、
アメリカ人のSF作家とアフリカの現地人呪術師がそれぞれに火星人を退治するという、
多中心ポストモダンの萌芽(なに言ってんだか)が見えるところが興味深いです。
「発狂した宇宙」もそうですが、ブラウンは再評価される必要があるかも。
しかし、
「都市と星」「ソラリスの陽のもとに」「火星人ゴーホーム」
「リングワールド」「アルジャーノンに花束を」(長編版)、
ことごとくうちの本棚にない…、どこに行ってしまったのか。

※2010年に出た復刻紙ジャケCDにはボーナストラックが入っています。
このボートラのうち「火星人ゴーホーム~リングワールド」ライブ収録は
名古屋市雲竜ホール(当時)での録音で、わたしそのライブに行ってました。
3枚目のアルバム「飛行船の上のシンセサイザー弾き」のツアーですね。


もう1枚は井上誠の「ゴジラ伝説」。



井上誠 怪獣大戦争マーチ



アナログLPで3枚出ていて、CDは編集されて2枚出ていたはずです(記憶が曖昧ですみません)。
LPは最初の2枚を買ったはずだけどなあ。CDは2枚目を買って愛聴していました。
この「CDの2」はゴジラのテーマを中心に収録されて、
なんてたって「怪獣大戦争マーチが」入っていますから。

伊福部昭メロディをシンセで演奏、
「怪獣大戦争マーチ」はオリジナルに近いアレンジと、テクノ/ニューウェーヴ風アレンジと2種類収録。
テクノ/ニューウェーヴ風アレンジの方は
間奏(?)にゴジラとキングギドラ、ラドンの鳴き声に
X星人の円盤のSEがかぶってきて臨場感いっぱいです。
変拍子、ポリリズム、転調のかたまりみたいな伊福部昭メロディを
バンドで演奏するとYESみたいなプログレに聞こえます。
CD1も買っておけばよかったと後悔。
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4 コメント

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戦争ってなんだ (cold_sleeper)
2013-06-28 02:04:49
当方の初「アルジャーノンに花束を」はこれでした。
http://coldsleeper.up.seesaa.net/novels/2ndhgwnnr.jpg
従って短編版です。
"いつか長編版を"とはついぞ思わなかったです。

難波氏のライヴを某ラジオ公開放送で観たことがあり
'82~'85年頃だったと記憶してます。
返信する
飛び出せ戦争 (spin_out)
2013-06-28 22:19:02
ハヤカワ銀背ですか!
ヒューゴー賞の巻は見たことがありません。
この状態から察するにリアルタイムで買われたものですね。
おみそれいたしました。

学生の頃はハヤカワの銀背(もちろん古書)は高くて、
とても手に入るものじゃなかったので。
「アルジャーノンに花束を」は当然長編版のほうから読んだのですが、
枝葉が長すぎ、多すぎのような気がして、短編版を読んでヒューゴー賞も納得。
しかし、短編版はいろんなアンソロジーに入っているのかと思ったら、
そうでもないんですね。この銀背だけみたいで、
1990年にやっとSFマガジンで再録されたみたいです。

難波弘之の公開録音はFM東京のつくば博覧会のことでしょうか。
一緒におっかけをしていた東京の友人以外に、
難波弘之を聞いていた(&知っている)という方にお会いしたことがないので、
ちょっと感動しています。
恥をしのんで白状すると、81年から82年ごろにはファンクラブにまで入ってました。赤面もの~
返信する
Unknown (cold_sleeper)
2013-06-29 01:29:08
>リアルタイムで買われた
いえいえ中古で80年末だか90年初頃でした。
状態はまま良い方なのは表向きで
内側は染み汚れが経年並みです。
どこで買ったかまではさすがに覚えていません。
この頃はたぶん佐野洋の「交換染色体」を
探していた時に偶々見つけたモノだったと思います。
未だ手に入らず、出会いのロマンスを待ってます。

FM公開番組は放送協会でした
土曜のPM3時から6時までのプログラム中、30分程度を
ゲストによるライヴという趣向でした。
大体、5時に開始するお約束だった気がします。
このライヴの時に覚えている唯一のジョークが
"戦争ってなんだ"="センス・オブ・ワンダー"だったのです。
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Unknown (spin_out)
2013-06-29 22:09:47
ありがとうございます。
そんないきさつがおありだったのですね。

戦争ってなんだ"="センス・オブ・ワンダー
なるほど、そういうことなんですね。
青春ドラマのタイトルかと思ったものですから。
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