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ロンドン橋が落ちる

2015年02月28日 | JDカー
Love and Tearsの(というかJackie De Shannonの)「Needles and Pins」(針とピン)を聞いていたら、
なんとなく思い出したのがJ・D・カー「ロンドン橋が落ちる」。
おりよく2月27日はカーの命日でもありました。

「ロンドン橋が落ちる」はカー唯一のマザーグースミステリで、
オビには「とびきりの不可能犯罪と怪奇趣味に満ちた」なんて書いてありますが、
すごく煽りすぎな感じが。
ポケミスで出た最後のカー本に間に合った(昭和48年に新刊で買った)世代としては、
さほどの出来でなくとも偏愛してしまいます。

作中に有名なマザーグースで童謡の「ロンドン橋が落ちる」の一節が出てきます(P156)。
「ピンと針で作り直せ」という一節ですが、ぐぐるとあまり一般的でない歌詞のようですね。
解説(瀬戸川猛資)では、
「クイーンやクリスティの新作は必ず訳されるのになぜカーは出ないとイラだっていたファンがニヤリとする」とか
「これほど愚作や駄作の多い作家もいない。呆れ果てるほどひどい代物がある」と
上から下へ急降下するような評価で、カー初心者だった中学生には、どうとらえていいか分からないものでした。
いまなら瀬戸川猛資の言い分も分かるような気がします。
が、そのあとの解説では相変わらずカーといえば不可能犯罪とオカルティズム、というくくりになっていて、
「夜明けの睡魔」まではまだ10年くらいかかるころの話だったのですね。

そういえば、同じフィールディング判事を登場させた歴史ミステリ
「グッドホープ邸の殺人」(ブルース・アリクサンダー)もけっこう面白かったのに、
著者が亡くなって残念。次作の「グラブ街の殺人」はイマイチでした。


Needles and Pins  JACKIE DE SHANNON

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