
1945年末、ジョン・ディクスン・カーが出版社に請われて
10点の傑作長篇をおさめた巨大なアンソロジー『傑作探偵小説10選』を
作る計画に手を貸すことになり、
翌1946年にカーが選んだベストが以下の10冊です。
『恐怖の谷』(1914) アーサー・コナン・ドイル
『黄色い部屋の謎』(1908) ガストン・ルルー
『薔薇荘にて』(1910) A・E・W・メイスン
『ナイルに死す』(1937) アガサ・クリスティー
『神の灯』(1940) エラリー・クイーン
『毒入りチョコレート事件』(1929) アントニイ・バークリー
『グリーン家殺人事件』(1928) S・S・ヴァン・ダイン
『Murder Gone Mad』(1931) フィリップ・マクドナルド(未訳)
『腰ぬけ連盟』(1935) レックス・スタウト
『毒を食らわば』(1930) ドロシイ・L・セイヤーズ
(のちに下の3人の作家については別作品に差し替え)
A・E・W・メイスン 『矢の家』(1924)
エラリー・クイーン 『チャイナ橙の謎』(1934)
フィリップ・マクドナルド 『鑢』(1920)
長編10冊によるアンソロジーというのが豪快ですが、結局頓挫しました。
カーはドイルの作品としては「恐怖の谷」を入れています。
「バスカヴィル家の犬」の方がミステリらしい、という気がしますが、
なぜカーは「恐怖の谷」を選んだのでしょうか。
「恐怖の谷」後半の過去の因縁話は、アメリカの炭鉱町を牛耳る秘密結社の話なのですが、
ここに登場する男が、じつにカー好みの人物なのです。
一言でいえば快男児(死語ですね)。
ネタばらしになりますが、黒澤明の「用心棒」を連想させるようなこの因縁話は、
実話をもとにしていることが明らかになっています。
モリー・マグワイアズ(Molly Maguires)は、
アイルランド系アメリカ人の秘密結社、またその構成員の複数形。
多くの歴史家は、1876年から1878年に一連のセンセーショナルな逮捕劇と裁判が行われるまで、
アメリカ合衆国ペンシルベニア州の無煙炭炭田地域に、
モリーズ (モリー・マグワイアズの意)が存在していたと考えている。(wikiより)
話は逸れますが、映画「用心棒」はハメットの「血の収穫」を下敷きにしているそうです。
もしかしたら、「血の収穫」を書いていたハメットの頭のどこかに
「モリー・マグワイアズ事件」があったかもしれない…、という分析はどこかにありませんか。
そうすると「モリー・マグワイアズ事件」を中心にして、
「恐怖の谷」「血の収穫」「用心棒」がつながるんですけど。

「血の収穫」に登場するコンチネンタル・オプはピンカートン探偵社の探偵でした。
ちなみに「ピンカートン探偵社の謎」(久田俊夫著 中公文庫)を読むと、
ピンカートン探偵社の本当の姿は、資本家と結託して、
労働者のスト破りを引き受けていた「闇のエージェント」だったらしいのです。
「恐怖の谷」や「血の収穫」といったフィクションでは、
労働者組合が秘密結社のように描かれていたところに問題があった、というわけです。
10点の傑作長篇をおさめた巨大なアンソロジー『傑作探偵小説10選』を
作る計画に手を貸すことになり、
翌1946年にカーが選んだベストが以下の10冊です。
『恐怖の谷』(1914) アーサー・コナン・ドイル
『黄色い部屋の謎』(1908) ガストン・ルルー
『薔薇荘にて』(1910) A・E・W・メイスン
『ナイルに死す』(1937) アガサ・クリスティー
『神の灯』(1940) エラリー・クイーン
『毒入りチョコレート事件』(1929) アントニイ・バークリー
『グリーン家殺人事件』(1928) S・S・ヴァン・ダイン
『Murder Gone Mad』(1931) フィリップ・マクドナルド(未訳)
『腰ぬけ連盟』(1935) レックス・スタウト
『毒を食らわば』(1930) ドロシイ・L・セイヤーズ
(のちに下の3人の作家については別作品に差し替え)
A・E・W・メイスン 『矢の家』(1924)
エラリー・クイーン 『チャイナ橙の謎』(1934)
フィリップ・マクドナルド 『鑢』(1920)
長編10冊によるアンソロジーというのが豪快ですが、結局頓挫しました。
カーはドイルの作品としては「恐怖の谷」を入れています。
「バスカヴィル家の犬」の方がミステリらしい、という気がしますが、
なぜカーは「恐怖の谷」を選んだのでしょうか。
「恐怖の谷」後半の過去の因縁話は、アメリカの炭鉱町を牛耳る秘密結社の話なのですが、
ここに登場する男が、じつにカー好みの人物なのです。
一言でいえば快男児(死語ですね)。
ネタばらしになりますが、黒澤明の「用心棒」を連想させるようなこの因縁話は、
実話をもとにしていることが明らかになっています。
モリー・マグワイアズ(Molly Maguires)は、
アイルランド系アメリカ人の秘密結社、またその構成員の複数形。
多くの歴史家は、1876年から1878年に一連のセンセーショナルな逮捕劇と裁判が行われるまで、
アメリカ合衆国ペンシルベニア州の無煙炭炭田地域に、
モリーズ (モリー・マグワイアズの意)が存在していたと考えている。(wikiより)
話は逸れますが、映画「用心棒」はハメットの「血の収穫」を下敷きにしているそうです。
もしかしたら、「血の収穫」を書いていたハメットの頭のどこかに
「モリー・マグワイアズ事件」があったかもしれない…、という分析はどこかにありませんか。
そうすると「モリー・マグワイアズ事件」を中心にして、
「恐怖の谷」「血の収穫」「用心棒」がつながるんですけど。

「血の収穫」に登場するコンチネンタル・オプはピンカートン探偵社の探偵でした。
ちなみに「ピンカートン探偵社の謎」(久田俊夫著 中公文庫)を読むと、
ピンカートン探偵社の本当の姿は、資本家と結託して、
労働者のスト破りを引き受けていた「闇のエージェント」だったらしいのです。
「恐怖の谷」や「血の収穫」といったフィクションでは、
労働者組合が秘密結社のように描かれていたところに問題があった、というわけです。
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