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エラリー・クイーン「ギリシャ棺の秘密」

2013年11月01日 | Eクイーン
4作目になると、キャラクターをふくらませる余裕が出てきた感じです。
ヴェリー部長刑事さえただの大男ではなくなっているみたいです。

1作目の「ローマ帽子」から3作目の「オランダ靴」、4作目の「ギリシャ棺の秘密」まで
しり上がりに面白さがアップしてきました。
中学生のころに読んだときは、恥ずかしながら途中で投げました(最後の部分は読みましたが)。
今読むとすごく面白いですね。

表紙は大学を出たての生意気なエラリー、ラノベ調の絵もなじんできましたし。

その生意気なエラリーが才気煥発ぶりを発揮して、推理を4回も披露するわけですが、
複数解決は、バークリー「毒入りチョコレート事件」(1929年)へのアンサーソングのように思えます。
解説で、複数解決の「毒入りチョコレート事件」でのいくつかの推理が前後しても関係なし、
と書いているのは異議あり。
「毒入りチョコレート事件」での複数解決はあの順番でないと。

また、解説で「探偵の視点からは犯人と著者の区別ができない」とあります。
「著者が探偵を欺くための、犯人に偽の手がかりを用意させることがあった場合、
それを探偵は知ることが出来ない」という意味だと思います。
ややこしい事を考えるヒトたちがいるんですね。

■「ギリシャ棺」では冒頭部分で、とある人物がまるでエラリーのように推理を披露する場面があります。

■クイーンは後期の長短編で「ダイイングメッセージ」をテーマにしていましたが、
「ギリシャ棺」も、後半はメッセージを解読する話と言えなくもない。
なぜクイーンが「ダイイングメッセージ」ものにこだわったのか。
聖書を解読するという宗教行為の代替、じゃないかと思うんですが、どうでしょう。
さらにエラリーの聖書引用癖はなんとかならんのか、と思う次第。


ピンクレディー ペッパー警部

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