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チラシの裏

連続殺人事件を花束に

2012年02月27日 | JDカー
今日はジョン・ディクスン・カーの命日ということで(1977年2月27日永眠)、
好きな作品ついての話を花替わりに墓前へ。

どれか1冊に決めるとなるとたいへん難しい作家なのですが、
作品の出来とは別の基準で「連続殺人事件」がマイフェイバリットです。
カーの著作の中ではB級クラスの作品ですよね。
トリックは大失敗しているしプロットは分かりにくい(これはこちらの頭がぼんやりしているからでしょう)。

でも、「りぼん」「なかよし」もかくやというほどのラブコメ成分120%で、
そのままのプロットでマンガ化しても和田慎二より面白いと思います。

キャラクターも整理されて比較的少ないせいか、どのキャラも印象的に描かれています。
個人的に一番好きなキャラクターは運転手の「ジョック」ですね。
「ジョック」とコーリン・キャンベルとのやりとりはまるでお笑いコント。
学術論争をしている同姓の男女が偶然に寝台列車で出会ってしまう冒頭から、
スコットランドの古城でおこる殺人と宴会騒ぎ、最後の解決まで楽しく読める1篇です。
カー特有のゴテゴテ感がなく、後期の老人性饒舌体炸裂の文章になる前の作品ですので、
全体にさわやかな読後感があり、犯人の行く末さえ明るく思えるところも好きです。
私見では、ドイルの「バスカヴィル家の犬」を下敷きにしているんじゃないか、と思うのですが、いかがでしょう。

■連続殺人事件 J・D・カー 創元推理文庫
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