昨日は、サントリー美術館と太田記念美術館で
歌川広重などの浮世絵を鑑賞しましたが、
今日は、Bunkamuraで歌川国芳と歌川国貞の展覧会。
歌川広重と歌川国芳・歌川国貞は、
同じ歌川性ですが、同門では無いようで、
広重が国芳・国貞の師匠の歌川豊国に弟子入りしようとしたら、
門下生があまりにも多くて、広重は断られたそう。
結果、広重は豊国と同門の歌川豊広に弟子入りしたそうです。
さてさて、展覧会の件。
10:00開場のところ、10:30過ぎに行ったら、
「会場内混雑しております」と言う掲示が、
入口付近にありました。
浮世絵人気なのかなぁ?
日テレが主催者に名を連ねているので、
テレビ番組などでプッシュしているからではないかと思うんですが、
実は私もその口の一人なので、文句は言えないんですけどね(苦笑)。
BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」で見ました。
でも中にはいってみると、
確かにBunkamuraでの展覧会にしては混雑していますが(失礼!)、
東京都美術館での『若冲展』や、
何れも東京国立博物館で開催された『鳥獣戯画展』や『台北 國立故宮博物院展』、
あるいは、国立新美術館での数々の展覧会に比べれば全然・・・。
いや・・・、失礼しましたm(__)m
昨日の広重とは、全然違いますねぇ。
広重は、なんと言うか、上品というか、少しかたい感じでしたが、
国芳と国貞は、逆に庶民の民俗に寄っていて、柔らかいという感じ。
特に国芳なんか、自身が猫好きだったということもあり、
猫を色んな所で描いていたりしますし、
その描かれた猫が妙に可愛かったりしています。
また、柔らかいといえば、国芳の《荷宝蔵壁のむだ書》なんかは、
完全に落書きでしょ?(笑)
まぁ、享保の改革に伴う贅沢禁止に対抗して創った作品らしいですが、
中々、皮肉が効いていますね。
それと、これが浮世絵とはね。
非常に興味深かったのが、
歌川国貞の藍摺遊女
《中万字や内 八ツ橋 わかば やよひ》
《姿海老屋内 七人 つるじ かめじ》
《松葉屋内 粧ひ わかな とめき》
《扇屋内 花扇 よしの たつた》
《弥生内 顔町 まつの こなつ》
の5つの作品。
ほぼベロ藍(プルシャンブルー)一色の作品で、
色の濃淡だけで、絵柄を表しています。
この前後の作品から、プルシアンブルーを作品に使うことが、
増えているようだったので、プルシアンブルーは
よっぽど強烈な印象があった顔料だったんでしょうね。
ちなみに、日本で最初にプルシアンブルーを使ったのは、
先ごろの研究で、伊藤若冲であったと考えられている様です。
(《動植綵絵 群魚図》の左下のルリハタに使用されています。)
国貞はどちらかと言うと、上記の藍摺のように
まだ正統派的な感じですが、国芳はイッちゃってますね(笑)
《相馬の古内裏に将門の姫君 瀧夜叉妖術を以て味方を集むる
大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り 竟に是を亡ぼす》
なんて、タイトルもムダに長いですが、
描かれている骸骨がなんともキャッチーですね。
あとは、やっぱり国芳の《初雪の戯遊》の猫の雪像は、
何と言ってもカワイイです。
本当に猫好きなんですね。
でもなぁ、国芳も、そんなイッている作品ばかりじゃなくて、
《大物之浦海底之図》なんかは、正統派の?武将の作画な上に、
タイトルにある通り、海底での出来事を描いているので、
武将の顔色なんかは、少し青色がかった色に仕上げていたりするので、
ある意味“狙った”作品ばかり作っていたわけでは無いようです。
今回改めて勉強になったのは、浮世絵よく「江戸の文化を表す」
みたいな事を言われますが、国芳と国貞の作品を見て、
江戸の人々の生活や風俗が、少しだけ垣間見れた様な気がします。
最後に。
今回の音声ガイドのナビゲーターは、歌舞伎役者の中村七之助さん。
浮世絵に描かれているのは、歌舞伎役者が多いですからねぇ。
そう言う繋がりかな。
結構、語りは上手かったです。
名称 | ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞 http://www.ntv.co.jp/kunikuni/ |
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会期 | 2016/3/19(土)-6/5(日) |
会場 | Bunkamura ザ・ミュージアム |
当日観覧料 | 一般1500円、大学生・高校生1000円、中学生・小学生700円 |
開館時間 | 10:00~19:00(※入館は閉館時刻の30分まで) 毎週金・土曜日は、10:00~21:00(※入館は閉館時刻の30分まで) |
休館日 | 会期中無休 |
巡回展 | [神戸展]2016/6/18(土)~8/28(日) 神戸市立博物館 |
[名古屋展] 2016/9/10(土)~12/11(日) 名古屋ボストン美術館 |