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東京都美術館「ティツィアーノとヴェネツィア派展」記念講演会 『ティツィアーノとヴェネツィア絵画』

西日本では大雪になっていて、
交通障害も起きている様ですが、
東京地方は晴れ。
空気も乾燥しています。

そんな土曜日は、東京都美術館で開催中の
『ティツィアーノとヴェネツィア派展』の講演会に
行ってきました。

講演会は4回企画されていて、既に1回目は終了。
初日に開催されていました。
今日は、2回目の講演会です。
ちなみに、来週3回目があって、再来週に4回目。
3週連続講演会の初回でもあります。

今日の講師は、東京藝術大学教授の越川倫明さんで、
テーマは「ティツィアーノとヴェネツィア絵画」。
ご自身も言ってらっしゃいましたが、
ほとんど展覧会タイトルと同じ講演タイトルです(笑)

やっぱり最近の講演会は混みますねぇ。
今日も、13時の整理券配布30分前(つまり12:30ごろ)に
行ったんですが、既に結構な行列。
最初の人は、一体何時から並んでいるのか?

14時の開演時間になり、講演開始。
講演の要旨は以下。

  • 2016年は、日伊修好150周年で色々と行事があった。これは、その最後のあたり
  • イタリア関係の美術の展覧会は多数開催されていて、ネタが尽きつつある。フィレンツェ派のネタが尽いてきたので、やっとヴェネツィア派にきた
  • ヴェネツィア派の特徴的モチーフの1つに美人画がある
  • 時代の近いパルマ・ヴェッキオの美人画とティツィアーノと美人画を比べると違いがある。人の肌の表現、髪の毛の表現など、ティツィアーノの《フローラ》方がレベルが高いと言える。そう言う意味では、ティツィアーノはこの時代の第一人者
  • この展覧会の監修者ジョヴァンニ・C.F.ヴィッラさんは、ヴィチェンツァにある市立美術館の館長だが、そのヴィチェンツァは、嘗てのヴェネツィア共和国の領土内に位置している。
  • イタリア・ルネサンスを代表する都市のフィレンツェとヴェネツィアを比べると、ルネサンスの進行はヴェネツィアの方が少し(20年~40年位)遅れて進んでいる。
  • フィレンツェとヴェネツィアの違いが強く意識されるのは盛ルネサンス(15世紀末~16世紀初頭)の頃から
  • ヴェネツィア派の肖像画の2つの特徴。①ポーズがカジュアル、②あんまりカチカチに細かく書き込まれていない。同じ頃のフィレンツェ派では、しっかりと細かいところまで、書き込まれている。
  • ティツィアーノは80歳代の死ぬまで現役。
  • 若い頃のティツィアーノの自画像はあまり無いが、《洗礼者ヨハネの首を持つサロメ》に描かれているヨハネの生首は、若い頃のティツィアーノの自画像では無いかと言われている。
  • ヴェネツィア絵画の一般的特質として、①色彩と光に対する豊かな感覚、②フィレンツェ絵画との対比、③美術批評に対する意識、がある。
  • ブロンツィーノ《愛の寓意》とティツィアーノ《ダナエ》。それぞれ、フィレンツェとヴェネツィアのNo.1であると考えて良い。作品をよく見てみると、ティツィアーノは柔らかく、ブロンズィーノは少し固い。
  • ヴェネツィア派の色と言うのは、物と物の係わり、質感を絵の具で自然に表す、必ずしもかっちりと書き込まないで表現すると言う所に素晴らしいところがある。一方、フィレンツェ派は、かっちりと書き込んでいる。(ティツィアーノに肖像画《アレティーノの肖像》を依頼したアレティーノが完成作を見て「まだ未完成じゃないか」と言うほど)
  • このルネサンスの頃から、美術批評は印刷され、人々に読まれるようになった。(それ以前は、印刷されず手書きで、人の目に触れることはあまり無かった)。例として、ジョルジョ・ヴァザーリ『美術家列伝』(1550年)、ロドヴィーコ・ドルチェ『アレティーノ、または絵画問答』(1557年)
  • ミケランジェロがヴァザーリと共にティツィアーノの《ダナエ》を見た時、画風を賞賛したが、デッサン力不足では無いかと言っている。そのくらい、細かい所の書き込みがない。
  • 一方、ドルチェの著書『アレティーノ、または絵画問答』(1557年)は、ミケランジェロとティツィアーノ、ミケランジェロとラファエロの比較論になっていて、ティツィアーノを擁護する論調である。
  • 絵画の3要素。①素描(デッサン)、②彩色、③画面構想(構図)。
  • 今回の講演のkeywordにパラゴーネ(paragone)。比較、対比、試金石と言う意味。ここで言う意味合いとしては、(絵画、画家の)優劣比較論になる。「○○と××はどちらが偉いか?」と言うこと。レオナルド・ダ・ヴィンチのパラゴーネが最初と考えられていて、彼は、“詩と絵画”、“彫刻と絵画”を優劣比較している。“彫刻と絵画”では、曰く「彫刻は科学ではなく肉体労働。他方、絵画は精神労働だ。画家は、光、色、物体、形姿、場所、遠さ、近さ、運動、静止を表現しなければならない。」と言う事で、画家に軍配を上げている。ただし、彫刻の利点としても、永続性、多視点性を上げている。
  • ヴェネツィア絵画の革新者として、ジョルジョーネとティツィアーノを上げる。
  • ティツィアーノは、ダ・ヴィンチから影響を受けた。
  • この時代、絵画と彫刻の対比が意識された作品が描かれている。絵画の中に鏡があるなどで、多視点性を意識したり、絵画の中に彫刻を描きこんだり。
  • 非実体的な視覚現象も描かれている。雲、雨、嵐、夕焼け、水、炎、反射など。対彫刻のパラゴーネを意識?
  • ティツィアーノ対ミケランジェロ。ティツィアーノは早い時期からミケランジェロの有名な作品を意識して製作していて、強く影響を受けた作品が多数見られる。
  • 後世への遺産。①形態の規範としての古代の彫刻、ミケランジェロ彫刻(古典主義)、②生きた自然の持つ生命感や視覚的なドラマ(自然主義)
  • ルーベンスやカラヴァッジョは、ルネサンスの後の画家だが、ティツィアーノの影響を受けていると言えると思う

こんな感じでしょうか。
途中、意識が無いところが有るので、
要旨の辻褄が合わないところがあるかも(苦笑)

少しゆっくりと進んだので、
一時は時間を大幅にオーバーするのではないかと思ったんですが、
それほどの時間オーバーはなく、無事終了。
中々、勉強になりました。
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