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江戸東京博物館 『よみがえれ! シーボルトの日本博物館展』ブロガー内覧会

今週水曜日(2016/09/14)は、
2016/09/13から江戸東京博物館で開催されている、
『よみがえれ!シーボルトの日本博物館』展の
ブロガー内覧会に行ってきました。
週末になって、やっとup出来る様になりました。

内覧会の時間帯は、いつもの様に通常の開場時間終了後から。
当日の(予定)スケジュールは、以下のとおり。
17:45 受付開始(東京都江戸東京博物館 1Fホール前ロビー)
18:00~18:05 事務局挨拶
18:05~18:30 ギャラリートーク(江戸東京博物館 副館長 小林淳一氏)
18:30~20:00 自由鑑賞

でも、スケジュール通りに行かないのが世の常(苦笑)
ギャラリートークが、予想通りに長引いて、
19:00頃まで掛かってしまいました。
自由鑑賞は、その後からで、終了時間に変更はないので、
結果的に、ちょっと慌しい自由鑑賞になってしまいましたね。
折角、音声ガイドも無償で貸してもらえたのに、
聞く時間がほとんど取れず、ちょっともったいなかったです。

とは言いながらも、ギャラリートークの要旨を

  • 今回は、元々日本の物が展示されているので、言わば里帰り展
  • シーボルトと言えば「シーボルト事件が知られているが、シーボルトは決して、ゾルゲの様なスパイでは無いと言う事を示したい
  • シーボルトは来日して数ヵ月で日本博物館(民俗博物館)構想を持った事がわかっている。集めた資料は、そのためのものだった
  • 資料は、門人たちに論文を書かせると言う事で集めた
  • 地図は通説で言われている様な積み荷から見つかったのではなく、波止場に置いてあった
  • 当時はカメラが無かったので、画家の川原慶賀を雇って絵(スケッチ)を描かせた
  • 日本から連れ帰った愛犬さくらは、ライデンに剥製として残っている
  • シーボルトは、民俗博物館構想を、オランダとバイエルンの両方の国に二股を掛けると言う事をしている。その為、シーボルトの収集した資料を元にした博物館は、オランダとバイエルンにある。1回目の来日でのコレクションはライデン、2回目の来日でのコレクションはミュンヘンにある
  • 1回目の来日は鎖国中であり行動が不自由だったが、2回目の来日は、既に開国した後だったので、自由に動けた
  • 2回目の来日に同行した息子のアレクサンダーは、シーボルト離日後も日本に残り赤十字社の創設、不平等条約改定への貢献、日本の万博出展などに貢献した。
  • アレクサンダーの弟ハインリッヒも後に来日。父シーボルトと同じくコレクターとして活躍したが、父の学者としての収集と異なり、美術収集家としてのコレクション。ハインリッヒのコレクションはウィーンにある。
  • 後にペリーが来たとき、シーボルトの日本をよく読み込み、日本を研究していた
  • ペリー2回目の日本来航の際、香港でシーボルトが接触してきて、日本との仲介を申し出たが、ペリーは拒否した
  • シーボルトのルートヴィッヒ一世への要望(写真①)は7が注目。「民俗学博物館は教育施設で有るべき」と述べている
  • 項目9(写真①)も、ダイバーシティを述べていて興味深い
  • 兵庫県豊岡市城崎の城崎麦わら細工伝承館に、シーボルトの収集した麦わら細工の再現品が有る(写真②)。今の職人は作り方が判らなかったので、ミュンヘンに行って現物を確認して再現。後にミュンヘンから「許可していない!」と言うクレームが付いたが、「商業目的じゃない」と説得して許可された。
  • 川原慶賀は、様々な江戸の人々を書いていて『人物画帳』としてまとめられている。これは、川越人足で、一面に念仏の刺青が彫られている(写真③)

などなど。
盛りだくさんの話をしていただきました。
結果、時間が伸びてしまったんですけどね:-p
良し悪しですね。

さて、ここから幾つか写真を掲載しますが、
これは主催者の許可を得て撮影しています。
通常は撮影禁止ですので、念のため。
大事なことなので二回言います。
写真は、主催者の許可を得て撮影しています。

まず興味深かったのは、これ。

《鳴滝の家屋模型》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
何の家屋か長らく不明だったらしいのですが、
シーボルト直筆の解説草稿が発見されたことで、
鳴滝の家屋模型で有ることがわかったそうです。
当初は、何れもいまは失われていますが、
模型内部には調度品が備え付けられていて、
家屋の周囲に庭園が有ったそうです。
って言うか、模型というかジオラマですね。

シーボルトが、日本博物館を如何によく考えていたかを示す、
バイエルン王への書簡です(写真①)

上記でも述べましたが、項目7と9に着目です。

これは、目玉の展示。
シーボルトの2次コレクションが、アムステルダムで展示された際の再現です。

奥 《花鳥図衝立》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
手前左右 《燈籠》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
手前中央 《阿弥陀如来立像》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
中央の阿弥陀如来立像と左の燈籠の間 《勢至菩薩立像》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
中央の阿弥陀如来立像と右の燈籠の間 《観音菩薩立像》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
左端 《僧形坐像》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
ほか、何点かの展示物で構成。

なんか、芸術品的な展示手法ですね。
『ネーデルランス・マハザイン(Nederlandisch Magazijn)』の
1863年11月48号の挿絵イラストの再現だそうです。

シーボルトが収集したものは、多岐にわたっています。

《魚形蓋物(鰹)》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
歴博で行われた千葉展の際は、蓋を閉じて展示されていたそうですが、
「中を見たい!」と言う要望が多かったそうなので、
こちらの江戸博での展示では、蓋を開けての展示です。
これに、鰹の刺身を盛って食べたら面白そうですね。
アムステルダムの観覧手引には「マグロ」と書いてあるそうですが、
間違いです。

これは見ていた人から
「話題のスマホ(商標の問題で記しません(苦笑))のケースみたい!」と
声が上がった螺鈿細工。

上 《花鳥螺鈿シガレット箱》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
下 《花鳥螺鈿嗅ぎ煙草入》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
たしかに、特に下側ですよねぇ。
「話題のスマホ」が入りそうです。
って言うか、こう言うデザインのスマホケース本当にありそう。

これは、シーボルトのお抱え絵師川原慶賀の絵。

《梅に綬帯鳥図》川原慶賀筆(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
狩野派とかの流派でも無いので、無名な絵師ですが、
動植物の描写は、非常に稠密に描く絵師でした。
植物の葉の葉脈とか、甲殻類の髭とか、物凄く細かく描いています。

工藝品の収集も行っています(写真②)

《石畳文脚付六角小箱》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
今では再現が困難だった品だそうです。

もちろん、刀も収集。

《黒石目塗桐紋散太刀(将軍家茂拝領の刀)》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
一回目の来日時、将軍に拝謁した際に拝領したもの。


《染付鶴形蓋物》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
ちょっとわかりにくいですが、真ん中に鶴の蓋物があります。
知らないと、アールヌーヴォーの置物みたいですね。

皇室ゆかりのものも収集しているようです。

《染付光格天皇菊紋蘭文碗》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
有田焼だそうです。

こちらは美濃焼

《金地藍彩日本名所図盃》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
日本の名所の焼き物と言う事で、今でも土産物でありそうですね。

面白いものです。

《黄釉天保大判金形皿》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
これもなんか、金山跡とかに行けば、土産物で売っていそうです(笑)

最近、工藝品の展覧会に行ったので、目についたのが、これ。

《龍筆架》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
これだと、日本というより、中国ですけどね。

川原慶賀は、様々な日本の人々も描写しています(写真③)

《人物画帳》川原慶賀筆(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente

『人物画帳』には、109人の日本人が描かれています。
展示では、上記の1ページだけの展示ですが、
その向かいもディスプレイでは、109作の全てが、
スライド形式で見ることが出来ます。

最初はこれ。

《人物画帳》川原慶賀筆(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinenteより、大井川の川越人足(幽霊・「南無阿弥陀仏」の入れ墨
上記も川越人足でしたが、これもそう。
シーボルトにはインパクトを与えたんですかね?
って言うか、現代人が見てもインパクトあります。
だってねぇ、背中には幽霊、その他の部分には「南無阿弥陀仏」って、
一体、どんな入れ墨なんだ。

これも大井川の川越人足

《人物画帳》川原慶賀筆(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinenteより、大井川の川越人足(かな文字の入れ墨)
耳なし芳一の様に、体中にかな文字が彫られています。
どうも、恋文みたいです。

最高なのはこれ。

《人物画帳》川原慶賀筆(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinenteより、泥棒。
『人物画帳』は、東海道で見かけた人物が基本的には
描かれているそうなんですが、まさかこんな泥棒が、
昼日中、東海道を堂々と歩いていたと言うことではないそうです。
シーボルト(と川原慶賀)のユーモアなんでしょうね。

こんなカワイイものも。

左上 《毛植人形 猿》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
左中 《毛植人形 猿》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
左下 《毛植人形 兎》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
右上 《毛植人形 犬》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
右中 《毛植人形 羊》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
右下 《毛植人形 虎》(ミュンヘン五大陸博物館蔵)©Museum Fünf Kontinente
猿だけ何故か二体ありますが、
よく考えたら、これらは干支の動物です。
他の干支の動物はないのかな?

と言う感じで、色々と盛りだくさん。

時間がなくて、あまり聞けなかったんですが、
音声ガイドで驚いたことが一つ。
elfin'と言うアイドルグループが、ナビゲーターをしていました。
耳元でアイドルの声がするのは・・・(苦笑)

それと、当初予定には無かったようですが、
小林副館長のご厚意で、図録が頂けました!
トークも盛りだくさんだったし、ありがとうございます!

展示物は、日本人にとっては普通のだったりするかもしれませんが、
江戸後期の民俗を知るには、中々良かったと思います。
そう言う意味では、日本の民俗の勉強になりました。
まだ会期は始まったばかりですので、時間があったらどうぞ。












名称よみがえれ! シーボルトの日本博物館
http://siebold-150.jp/
会期2016年9月13日(火)~2016年11月6日(日)
会場江戸東京博物館 1階特別展示室
当日観覧料一般1400円、大学生・専門学校生1120円、小学生・中学生・高校生・65歳以上700円
開館時間9:30~17:30(土曜日は19:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)と10月11日(火)
巡回展終了[千葉展]2016年7月12日(火)~2016年9月4日(日) 国立歴史民俗博物館
[長崎展]2017年2月18日(土)~2017年4月2日(日) 長崎歴史文化博物館
[大阪展]2017年8月10日(木)~2017年10月10日(火) 国立民族学博物館
[名古屋展]
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