テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

「ゆれる」追記

2008-12-26 | サスペンス・ミステリー
 今頃また「ゆれる」の話かいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、今月、映画の編集に関する記事を書いていて、そういえば気になっていながら書いてなかったなぁと思い出しましたので書きます。
 「ゆれる」のあるショットのカメラの位置、ショットの構成が気になってました。

 それは、智恵子が事故で行方不明になった日の夜、稔と猛と父親と3人で食事をしている場面です。
 男所帯の殺風景な台所の小さなテーブルで黙々と食事をとる三人の親子。猛と父親が並んで座り、向かい側には稔がうつむいて小さくなって静かに食べている。何気ない会話を二言三言交わした後、味噌汁かご飯をつぎに父親が席を立つ。いつもは稔がやってあげてたんでしょう、稔が立とうとするも父親はいいからという風に片手をあげて彼を制す。もう一度席に座り直す父親。と、突然『なんで!』と怒り出す。『お前達は何をしていたんだ!』と。稔の不注意を責める父親。葬儀の間には、稔が猛と父親の緩衝材になっていたのに、ここでは猛が父親をなだめる役目を負っている。

 この時、カメラはずーっと廊下の方から台所を覗いているような位置で、彼らの全身が見えるセミロングで撮っています。定点固定カメラです。全体的に、人間を凝視するようなショットの多い映画ですが、何故かこのシーンはカメラの位置が中途半端で凝視している気分になりませんでした。父親が激昂したときなんか、視点の切り替えがあってもいいのにとも感じました。何だったんでしょうね、あのシーンは。緊張感の多い映画だったのに、あそこだけ間が抜けているように感じたのは私だけでしょうか・・・。



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