のがみのにぎりの話 [最終回]
のがみの〇〇の話、今日で終わりです。これを書こうと思った経緯をお話します。数年前、世間では食品表示偽装問題が出ました。話題になった『車エビ』と『芝エビ』、当店に大きく関わるエビです。品質の高い天然の『車エビ』と『芝エビ』を仕入れ続けております。ですが今までそれを声高に申し上げることはしてきませんでした。なんか野暮かなと思って。でもきちんと説明した方がお客様も安心してお召し上がりになれる、そんな時代なのかな‥と考えを改め、主人と決め発表しました。エビの話をしたら他の白身やイカ、貝、マグロ、ヒカリモノなど、すべて天然もので厳選したものばかり。だったらこの機会に全部お話ししてしまおうと思った次第です。そもそも私達、“自分たちが行ってみたい寿司店”がコンセプトなんで、わざわざヘンなもの(自分が食べたくないもの)を出してまで寿司店をやりたいと思っていないので、今までも、これからも、どうぞどうぞご安心ください。
月別 特におすすめな一貫【3月】 青柳【4月】 生トリ貝【5月】 スミイカ【6月】 新子【7月】 新イカ【8月】 アワビの酒蒸し【9月】 生いくら【10月】イナダ【11月】〆鯖【12月】本まぐろ【1月】 寒ブリ【2月】 寒ビラメ【野上啓三選・その1】〆小アジ【野上啓三選・その2】〆小羽鰯(しめこばいわし) 【3月】 青柳
ネタケースに並ぶものの中で「これ、何?」と訊かれる確率ダントツ一位の貝です。貝殻に入ったまま置いてある店がほとんど無いからだそうです。主人曰く板前さんでも貝殻の模様を知らない人がいるのだとか。ご注文をいただいてから剥き、捌き、握ります。アオヤギの香りをこれでもかというくらい堪能できます。【4月】 生トリ貝
二月から五月くらいまで登場する貝です。貝の中から解き放たれたトリ貝がガラスのまな板の上で捌かれます。即座に握られたトリ貝はまだ新鮮な香りを纏ったままお客様のもとへ。【5月】 スミイカ
成魚のスミイカの厚み、甘み、シャリをあわせた時のにぎりとしての完成度の高さなどを感じて頂けると嬉しいです。そして七月に出る小さいスミイカ=新イカ(子イカ)との食べ比べも面白いかと。どちらも魅力があります。
【6月】 新子「もうシンコ食った?」という問い掛けがこの時期、どのくらいされるのでしょうか。早ければ六月中旬~六月下旬に登場し、九月上旬くらいまでシンコと呼べそうなものを主人は頑張って仕入れてきます。【7月】 新イカスミイカの子ども、新(しん)イカです。スミイカ一パイで一貫分しか握れないという小ささのおかげで七月~八月の板前の仕込みはシンコの季節と重なってものすごくハードです。小さいスミイカの身の淡さを愛でるとでもいいましょうか。シンコと並ぶこの季節の風物詩です。また、この新イカのゲソは身の小ささからは想像できないほど味が濃く、秘かな人気です。【8月】 アワビの酒蒸し多くの貝が初春から春に旬があるのに対しアワビは夏が旬です。にぎりにするには断然酒蒸しが向いていると主人は言います。そぎ切りにしたアワビのにぎり。上には蒸した肝が少しそして穴子の煮詰めを垂らします。するとアワビの香りが立ち昇ります。ここは煮詰めじゃないといけません。醤油ではまったくダメなのです。【9月】 生いくらだいたい七月末~十二月末まで生いくらを仕入れます。その他の季節には塩蔵のものとか置きません。なので一月~七月くらいまで、いくらは当店にはありません。一年中置いていないことによって旬はすごく解かります。まず七月末に鱒の卵であるマス子が出て、八月にはサケ子(いわゆるいくら)が登場します。最初は粒が小さく味もややあっさり。それがだんだん濃厚になってきて十二月には(写真)粒も大きく“大人の卵かけごはん”という異名までついてしまうほどです。【10月】イナダ (写真はワカシです)八月ワカシ⇒九月~十月イナダ⇒十一月ワラサ⇒十二月~一月ブリ(寒ブリ)と、大きさとともに名を変えていく出世魚です。当店、開店以来ずっと十月は空いています。何が原因なんだろうと考えました。「シンコ、シンイカで話題が持ちきりになる七月ほどのウリがないのでは」と思いました。単品で名前が挙がるナンバーワンがないとしても、夏の幼魚から冬の成魚になる間の脂が乗り始めた例えばイナダはその象徴ではないか、と。真冬にこってりと脂が乗る前の、あっさりからややしっとりとしてきた身質を愉しんで頂きたいと思います。【11月】〆鯖
冬は真鯖(マサバ)の季節です。サバマニアの仲買さんから仕入れています。【12月】本まぐろ冬は本まぐろ(クロマグロ)のシーズンです。十二月は特に仕入れることが多いです。【1月】 寒ブリ
ワカシ、イナダとはまた違う魅力の寒ブリ、どうぞ。(主人は理由があって二月三日の節分までしか置きません)【2月】 寒ビラメ昆布締めにしていない寒ビラメも「昆布締めにした?」と訊かれるくらい旨味がある身です。では最後に主人のおすすめを紹介させて頂きます。
【野上啓三選・その1】 〆小アジ
【野上啓三選・その2】 〆小羽鰯(しめこばいわし)にぎりで食べていただきたくて小さいヒカリモノを揃えています。主人の〆た魚、主人の炊いたシャリ。これぞのがみのにぎりです。 おわり
野上啓三インスタグラム、←こちらに変更しました。
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すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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1dayアーカイブ2022年~2000年12月13日のおしながき
[2022年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[大雪・第六十一候・閉塞成冬そらさむくふゆとなる ]12/7~12/11
[大雪・第六十二候・ 熊蟄穴くまあなにこもる ]12/12~12/16
・浸したアンコウの肝の水気を取り、ラップで成形して竹串を使って空気を抜き、ホイルに巻いて蒸し器へ【動画】
・北海道寿都(すっつ)のアンキモ 酒・塩・昆布を入れた水に15分くらい浸ける【動画】
・北海道 野付 ホタテ 始まりました。 今、店
・神奈川長井メジマグロ 今、店
・青森大間 中トロ 今、店
・広島 皮剥 今、店
[2021年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[大雪・第六十一候・閉塞成冬そらさむくふゆとなる ]12/7~12/10
[大雪・第六十二候・ 熊蟄穴くまあなにこもる ]12/11~12/15
・香箱蟹 今シーズン最後です。ありがとうございました。今、店
・北海道小樽 蝦蛄 ジーンズ最後です。今、店
・北海道 野付 ホタテ 今、豊洲
・ニタリ鯨 尾の身 今、店
・千葉勝山 鬼カサゴ 今、豊洲
・三重 ワラサ 今、店[2020年][2019年][2018年][2017年][2016年][2015年]お通しはカツオ菜と霜降り平茸のお浸しです。
[2014年]通常通り営業致しました。
[2013年]根室のスペシャル白子、ひさびさの登場です。主人がいつも行く仲買さんの店先で手前の500gの白子を仕入れて(上のパックは2kg)了承を得てから写真を撮ってTwitter『いま、築地』にアップしていたら、仲買さんから「すごく少ない白子だから、あんまり広めないでね」と言われたそうです。能登・寒ぶりは13.6kgです。赤貝、青柳、帆立貝。貝の仕入れが増えてきました。 鰯、ひさびさの入荷です。築地に細かいヒカリモノが少なかったそうです。[2011年]
今朝築地で泳いでいた下田のするめいか、ワタは-50℃で凍らせてありますので薄く切ってお出し致します。
本日より復帰致します。大変ご心配をお掛けしました。温かいお言葉、ありがとうございます。
まな板の手入れも完璧、気合じゅうぶんです。
[2009年]「寒い時期になるとまっ黄色のアイナメが泳いでいるんだよねー」と主人が築地で撮影してきました。仲買いさんに訊ねると「繁殖期になるとオスが黄色くなるんだよ」と教えてくれたそうです。
[2008年]鰊(にしん:写真中央)は北海道湧別から空輸で来た鮮度のいいものです。