のがみのヒカリモノの話
ヒカリモノの代表格といえばコハダでしょうか。
・丸付け(まるづけ⇒一尾で一貫握る大きさ、一枚付けとも)
・新子(シンコ⇒二枚付け、三枚付け…など)
・片身付け(かたみづけ⇒1/2尾=半身で一貫握る大きさ)
と、一年を通して様々な大きさを愉しんで頂けます。
あとヒカリモノといえばアジ、サバ、
珍しいところではカマス、身に水分が多く皮と身の間に旨味があるのが特徴なので、まず塩と酢で〆て余分な水分を取り除き、皮をひくと旨味が逃げてしまうので皮が気にならないように炙ってから握ります。そして今がちょうど美味しいサヨリ、にぎりの細工がしやすい魚です。
もともとヒカリモノを扱うのも食べるのも好きな主人は、十四年近く営業日はほぼ毎日築地に通うことによってさらにその気持ちに磨きがかかったと言えます。知り合う仲買さんもまたヒカリモノマニアだったりして、質の良い青背の魚を追い求める日々が続いております。仲買さんが競りや相対の取引を経て手に入れたこの魚たちの中から、主人はさらに選りすぐって二尾とか三尾ずつ仕入れます。※『いま、築地』より抜粋2013.6.6愛知・小さいイワシ2012.3.22千葉竹岡・えぼ鯛2014.1.9千葉船橋・コハダ2012.6.19静岡舞阪・シンコ2012.8.8 神奈川下浦・小アジ当店は仕入れたと同時に生でいくものと〆るものに分けます。生で美味しいときに酢〆にすると美味しいからです。以前、こんなことを書いていました。塩をして酢に浸ける。いわゆる“酢〆”という技法です。仕入れてきた魚の旨味をひき出すためにやります。〆サバ、〆アジ、〆イワシなどがよく登場する寿司ダネでしょうか。店を始めたばかりの頃、せっかく酢〆にしたものがほとんど出なくて困りました。ある日お客様が仰いました。「だって傷みそうな古い魚だからそうしてるんでしょ?だったら生でフレッシュなほうちょうだいよ。〆てないやつ」わかっていただくには繰り返しご説明するしかないと主人は何年も何年も「仕入れてきて同時に生でいくものと酢〆にするものとに分けています。生で素晴らしくいいものを〆るとまたすごくいいんです」とずっと言い続けてきました。今はもうお話しなど必要なくなりました。ご説明などしなくても、お客様が生のもの、〆たもの、どちらも同じように愉しんで選んでくださっているからです。
そして酢〆の加減もまた主人の特徴が出ています。塩や酢をきつくガッチガチに〆るのではなく、その魚本来の持ち味がより立ち昇るような〆方をしています。一番の象徴であるコハダについてです。
『コハダの味の決めどころ』
写真はコハダ、片身付けです。
ご存じの通り通年出回っているものですが、コハダの大きさは変わっていきます。
夏の小さいシンコ、秋から冬にかけてコハダ、冬から春頃の大きめのコハダ、そしてナカズミ。主人は仕入れませんが、ナカズミより大きいものはコノシロと呼び、冬から春に出回ります。
塩と酢で〆る技法はいずれの季節でも基本的には同じですが、身質や大きさは仕入れごとに違いますので、主人は築地で、そして板場で、その日の気温、湿度、包丁を入れた時の脂の感じ、身のキメの細かさ等々‥五感をフルに使いながら微調整をし、自分好みの〆具合にもっていきます。塩と酢のキツさ、やわらかさを熟知して使いこなすといった感じでしょうか。
ですのでシンコ、コハダ、ナカズミ、どのシーズンどの大きさをとっても〆具合にブレがありません。
コハダの味がする〆もの。それが主人のにぎりです。
もっと酸っぱくてしょっぱい方向のコハダがお好きな方もいらっしゃると思います。
ですが主人の決めどころはここなんです。
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最近当店で人気が高まっているヒカリモノ、春子鯛(カスゴダイ)の〆方についてです。
おかみノート 『春子にみりん』
寿司屋の環境に身を置いていたらいつの間にか春子と書いて“かすご”と読めるようになっていた。
春先になると登場するお馴染みのネタなのでもうすっかり春子のことは充分わかっていますよぐらいに思っていた。
いつものようにカウンターに座り厨房で仕込みをする主人に訊ねた。
「で、今日は何かエピソードはありますか」
毎日パソコンでアップする『きょうのひとこと』を書くため、おすすめのネタの話を聴いておくのだ。
主人はメモ用紙を見ながら“うーん・・”と小さく言った。
「今日はね、春子かな。春子は他の酢〆のものと〆方が少し違うんだよね」
「ほう」
「塩をして、酢水で洗う。ここまでは一緒」
「うん」
「最後、酢に浸けるときにみりんを入れるんだよね」
「みりん?」
「少しね」
「どのくらい?」
「8:2くらい。店によって違うと思うよ」
「へぇー」
「あんまりみりんを感じないくらいにしているけどね。強いと下品な味になっちゃうんだ」
「みりんが入ってたなんて知らなかった~」
「小鯛って味が淡いのよ。酢が100%だとキツく感じちゃうんだよね」
「板前さんてさ、こういうこと皆知ってるの?」
「知ってると思うよ。でも浸け方は店によって違うから、みりんを入れないところもあると思う。それより、最近春子を扱っている店自体が減ってきてるんじゃないかな。ものすごく手間がかかるのよ。春子10匹仕込む間にコハダだったら30匹くらいラクに仕込めちゃうから」
「なんでそんなに時間がかかるの?」
「まずはウロコ。びーっちりついてるから。コハダだと包丁でスッスッととれるんだけど、春子は力を入れて丁寧にとらないととれない。あと、小さくても一応鯛だからね。中骨も一本一本抜かないと口にあたっちゃう、骨がけっこう硬いんだ。コハダや小羽イワシだったら、ガンバラだけ除いて中骨はとらなくても大丈夫なんだけど」
「うわ、手間かかってんだ」
「そうだよ、板前泣かせだよ」
「・・えー、でもさ、毎年見てるけど、春子の時期になると“出たよ”とか言ってウキウキしているように見えるけどなー」
「そりゃ、自分の店で自分のやり方で丹精こめて〆たものを食べてもらえるっていうのは寿司屋冥利に尽きるでしょう」
主人のやり方はこうだ。
浸け込むお酢は特徴のある二種類を調合する。その中に板状の昆布と少しのみりんを入れる。
そしてなにより、店主の心意気が入っている。
野上啓三インスタグラム、←こちらに変更しました。
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すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇
火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!
03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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1dayアーカイブ2022年~2000年12月7日のおしながき[2022年][2021年][2020年]
『酢〆は傷んでからやるものではなくて』
塩をして酢に浸ける。
いわゆる“酢〆”という技法です。
仕入れてきた魚の旨味をひき出すためにやります。
〆鯖、〆鯵、〆鰯などがよく登場するネタでしょうか。
写真は桜鱒をルイベにしたものを〆ているところです。
店を始めたばかりの頃、せっかく酢〆にしたものがほとんど出なくて参りました。ある日お客様が仰いました。
「だって傷みそうな古い魚だからそうしてるんでしょ?だったら生でフレッシュなほうちょうだいよ。〆てないやつ」
わかっていただくには繰り返しご説明するしかないと主人は何年も何年も「仕入れてきて同時に生でいくものと酢〆にするものとに分けています。生で素晴らしくいいものを〆るとまたすごくいいんです」とずっと言い続けてきました。
今はもうお話しなど必要なくなりました。
ご説明などしなくても、お客様が生のもの、〆たもの、どちらも同じように愉しんで選んでくださっているからです。
いろいろな〆た魚をぜひ味わってみてください。
[2019年] [2018年][2017年] [2016年] [2015年]
北海道・前浜産 国産の干し数の子です。このところ毎年やっています。
どうせやるなら一番いいものを…ということで毎年最高ランクのものを仕入れています。
この状態からじっくり戻していきます。濃度五パーセントの塩水に浸けて一日に三~四回換えます。それを三~四日続けます。
塩水は冷しておくのが上手に戻すコツだそうで、主人は常に次に浸す塩水を準備します。
数日後、戻し終わり流水で少し塩を抜く段階の時にはあまりにも大きくなっていて驚きます。
干し数の子の競りというのが毎年一日だけ、十一月二十六日に行われるのだと主人は仲買いさんから教えてもらってきました。今年も仕入れが出来ました。今週から仕込みが始まるので、しばらくしたら『国産数の子の出汁醤油漬け』がメニューに出ると思います。[2014年]通常通り営業致しました。
[2013年]国産の干し数の子、仕込み中です。来週後半くらいから登場予定です。[2012年]今日は芽ネギのにぎりができます。するめいかの自家製塩辛です。[2011年]店主一人営業しました。野上有紀子肺炎で入院の為
[2010年]今日も元気に気合いの仕入れ、仕込み、がんばっとります!佐島のタコを煮ます。(足とアタマ)
[2009年]メンテナンスから帰ってきたまな板は、見事に平らでした。新品同様です。検証結果、カマボコ型かどうか、肉眼ではわかりませんでした。
左右の側面は乾燥して木が割れてこないように特殊なコーティング(接着剤のようなもの)を施してあるため、あえて削らないままなのだそうです。
[2008年]車海老の茹でたては海老の甘さが特に感じられるのではないかと思います。今日の海老の大きさは、さいまきとくるまの間くらいです。にぎりにちょうどいい大きさです。