「結城 不二夫 個展」(美術評論家 林 紀一郎の個展)
■パウル・クレーを思わせる美しい色調の作品。画家結城不二夫は52年ぶりに個展を開いた。
■始弘画廊の前の大きな桜の木も葉桜になった四月も下旬というのに氷雨の青山。コートのえりを立て、手袋の手に傘をさし、転ばないように階段をゆっくりと降りてゆく。
■一面素通しのガラス。小さめの作品が行儀よく並んでいる。ドアを開けると、ああ、気持ちがいい。見たことのない明るい色調の作品群。やっと春が来たという感じ。
■作者はこの日、傘寿を迎えた。個展はその記念展でもある。明日からまた新たな人生の第一歩が踏み出される。
■一枚一枚のキャンバスの空間に生み出された作者の運命の響きがギャラリーの壁にこだまし、静かな曲がかすかに流れ出した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます