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加賀沢さんの障害者差別問題が勝利解決しました!

2011年05月18日 09時52分25秒 | 障害者

(上の写真=2009年3月の反貧困ネットワークの集会で発言する加賀沢さん)

加賀沢さんの障害者差別問題が勝利解決!
一般嘱託から正社員への登用を勝ち取る!
「障害持つ方の力になることが私の唯一の恩返し」(加賀沢さん)

私たち全国一般東京東部労組の組合員で、大手損害保険会社による雇用面での障害者差別の是正を求めてきた加賀沢志のぶさんの問題について、このほど組合側と会社側は和解協定書を結び、勝利解決が実現しました。

加賀沢さんは正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず、両足に障害があるという理由で一般嘱託という劣悪な処遇で17年間も働いてきました。2008年10月に東部労組に加入して正社員化と差別是正などを求めて会社側と団体交渉を重ねてきました。宇都宮健児さん(日弁連会長)ら良心的な多くの弁護士や障害者団体からも支援を受けました。

その結果、加賀沢さんは正社員となり、一般嘱託への手当を新設させるという勝利解決を実現しました。会社側は協定書で、障害者の雇用・労働環境改善に取り組むことを表明しています。

以下は、加賀沢さんが書いた関係者へのお礼状です。全文紹介します。

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お礼

 私の問題解決にご尽力くださいました弁護士の先生方、東部労組の皆様、難病の会の山本様、今まで本当にありがとうございました。
 また、この運動に関心を持って取材をしてくださいました東京新聞、朝日新聞の記者の方、その他様々な形で見守り、支援をしてくださった全ての皆様に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

 思えば3年ほど前、失意のどん底の中で誰かに話を聞いてほしくて、ただ聞いてほしいという気持ちだけで、NPO法人労働相談センターに電話をしたのが始まりでした。
 私の抱く会社への理不尽な思いは私だけのものであり、他の誰にも理解できるはずもないと決めつけておりました。わがままなのは私なのだから、労働問題のプロに話を聞いてもらい「それは、仕方がないことですね。あきらめて違う人生を歩きましょう」と、言ってもらえれば納得がいく、そんな気持ちで電話をしました。

 勤続17年の間、一度も昇給もなく手当もないまま、仕事のウエイトや責任ばかりが重くなってしまい、新入社員を何人育てても、その子達に待遇面では著しく差をつけられてしまう状況でした。不満がピークに達した時、会社に今までの思いを伝え退職の予定があることを伝えました。その時、数ヶ月後には正規雇用にするとの口約束があり、退職を思いとどまるよう説得されましたが、新人を1人育て終わったところで正規にはしないと言われ、自ら再び退職を申し出た直後のことでした。
 一通り業務を引き継いだ後だったからでしょうか、今度は会社が引き留めることをしませんでした。一定の期間を置けば、社員に登用するというおいしいニンジンを目の前にぶら下げられ、私は必死でその新人を育てあげました。まさか、育てた後に自分が職場を追われるなんてことは、疑いもしませんでした。

 私は、某大手損保に「一般嘱託」という雇用形態で雇用されており、その雇用形態はほとんどの人は障害者でした。
 会社は、毎年法定雇用率を達成したということで、表彰を受けたりしている中で、私達「一般嘱託」は、査定もなく昇給もなく、そして扶養手当や住宅手当もない、社員への登用の道さえ断たれているというのが実態でした。
 障害があるということは、当然仕事もできない、だから査定も昇給もない、家族を扶養しているはずもないし、住宅も持ったり借りたりしているはずもない。そんな前提からできた雇用形態だったのでしょうか。障害がある人間が、こんな大きな会社に雇われるだけで幸運と思え。そんな発想が見え隠れする雇用形態でした。

 退職を申し出る前後こそ、会社に文句も言いましたが、17年間のほとんどは黙々と働き続けてきたと思います。世の中の、多くの障害を持つ方が皆そうであるように…。

 労働相談センターでは、須田さんがまず対応してくださり、私の怒りや悔しさを聞いてくれて、聞いてくれるだけで満足だったのに、私は沢山の力をもらいました。退職する必要もなく、仕事を続けながら自分の主張をしていくために、様々な知恵や力を授かり、私は泣き寝入りはしないという強い意志を持つことができました。

 そして、素晴らしい弁護士の先生方との出会い。私の人格を尊重してくださり、時に迷ったり支離滅裂になってしまう私の思いをとことん聞いていただき、先生方や東部労組の方、山本さんと会議でお会いできることが、私の癒しの時間となり活動のパワーになりました。

 皆様、お忙しい中ありがとうございました。

 また、そのご縁から反貧困ネットワークの集会で発言する機会を得たことも、本当に良い経験となり励みにもなりました。たくさんのご支援、本当にありがとうございました。

 昨年4月、私は社員に登用され、今までとは全く違う環境にいます。沢山の方への感謝の気持ちを忘れることは、一生ないと思いますが、これが当たり前、体に障害があったって、昇給や登用は当然あるべきことですし、障害=仕事ができない、そんな認識は絶対間違っていると、声を大にして言いたいです。

 まだどこがで、私のような悔しさを抱えて働き続けている障害を持つ方がいるかも知れない。私が働く大企業といわれる会社ですら、堂々とこんなことがまかり通ってしまう今の日本の障害者雇用、何か間違っていませんか?本当の雇用とは、ただ雇い入れて、その後は生きぬよう死なぬよう放置しておくことですか? 適材適所に配置し、一人ひとりの人生を考えてくれなくては意味がありません。

 私は今後とも、東部労組の皆様とそんな障害を持つ方の力になれたら良いと考えています。それが、力になっていただいた皆様へ、私が唯一できる恩返しと信じております。
 今は、会社は「一般嘱託」の社員への登用や昇給を盛り込む人事制度の改定を行ってくれました。
 私の17年間のロスは、戻すことはできません。社員になったとはいえ17年間も社歴のある者が、入社2年目の職員と同じ待遇で働くことの理不尽さなど、不満をあげたらきりがありません。でも、私にはこの活動を通じて得た宝物がたくさんあります。それは年収や昇進には代えられないものだと感じています。

 またいつか、皆様に直接お会いしてお礼を申し上げる日が来るとは思いますが、本日は書面にて、心からの感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
 本当に、ありがとうございました。

2011年4月30日
加賀澤 志のぶ

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