
(上の写真=心理職の労働条件向上を求める心理士ユニオンのメンバーら)
東京都・事業団は心理職の待遇改善から逃げないでください!
職員の労働生活の実態を直視し、雇用責任を果たしてください!
私たち臨床心理士ユニオン(全国一般東京東部労組臨床心理士ユニオン支部)は昨日(7月7日)、ユニオンの多くのメンバーが働いている東京都の児童養護施設を管理運営する社会福祉法人東京都社会福祉事業団との第8回団体交渉を、東京・高田馬場にある事業団会議室で持ちました。
ユニオン側からは木村委員長ら9人、事業団側からは高島副参事、平井事務局次長ら4人が出席しました。
いっこうに心理職の劣悪な待遇を改善する方向性を見せない事業団に対して、今回の団交でユニオン側は、そもそも事業団として心理職の労働条件や待遇の現状についてどのように認識し、今後どのように変えていこうとしているのかを問いただしました。
これに対する事業団の回答は「東京都の指定管理料から考えれば妥当な線」「現在の待遇についてはレベルが低すぎるとは言えない」という許しがたいものでした。月の手取りが13万円台、年収238万円という非常勤心理職の低レベルな待遇を、いったいどういう感覚をもって「妥当」とか「低くない」とか言えるのでしょうか。
ユニオンのメンバーからは「あなた(事務局次長)の給料はいくらなのですか?」という疑問が思わず出ました。当然の質問です。雇用する側も雇用される側も同じく低い待遇に甘んじ、痛みをともに分かち合っているのなら話は分かります。それがあり得ない程の格差が存在しているのです。
平井事務局次長は「仕事の内容も違うし、常勤と非常勤の違いもあるし、勤続年数も違うので、わたしの給料とは単純に比較できない」と言って回答しませんでした。ユニオン側が問うているのは、雇用する側にも雇用される側にも養うべき家族もいて生活費もかかる中で、現場の職員にだけ劣悪な待遇を押しつける事業団のあり方に疑問を感じないのかということです。
事業団によると、施設に入所する子どもたちのうち8割超が虐待を受けているとのことです。虐待児童の自立を支援するためには医師、看護師、栄養士、心理士らの専門的な対処や所見が欠かせないことは事業団自身が認めています。それなのに待遇面になると心理士だけが専門職の地位から外されているのです。
ユニオンのメンバーからは「持たざる者にあまりにも鈍感だ」「たった1年賃金を据え置いたことがどうして改善と言えるのか」「現場の職員を守るのが事業団事務局の仕事ではないのか」「現場に来て職員や子どもたちの声を聞いてください」といった怒りや悲嘆の声があがりました。
これに対して事業団側は「来年度の東京都への予算要求が今後始まるが、その際には利用者の支援向上とあわせて職員の労働条件や職場環境の改善に資するよう検討していきます」と回答しました。
ユニオン側は、心理職の置かれている待遇や労働条件をどのように把握・認識しているのか、それをどのように変えていこうとしているのかをあらためて次回の団交で回答するよう求めました。また、臨時職員の交通費問題をめぐっては、現状でどれぐらいの職員が1日400円の支給を超えて自腹を切らされているのか(昨年8月時点では児童養護施設の臨時職員24人のうち8人)、全額支給する場合にはどれぐらいの予算が必要なのかを明らかにするよう求めました。
前々回(1月27日)の団交直後に木村委員長が前任の事業団事務局次長だった大場氏から受けた不当労働行為発言の問題については、事業団側の調査回答がまったく適正に行われていないため、事実関係を7月末までに再調査しユニオンに報告するよう求めました。
東京都と事業団は一刻も早く「官製ワーキングプア」をなくしてください。臨床心理士の資格を持っている人も持っていない人も心理職であれば、臨床心理士ユニオンに加入できます。ユニオンの団結力で待遇改善を勝ち取りましょう。