検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

緊迫感がない「電力システム改革方針」

2013年09月09日 | 検証・電力システム
 「電力システム改革方針」(以下「改革方針」という)を読んで、みなさんどんな感想を持ちました?
 私は、緊迫感がないと思いました。
 「あれっ!」という驚きです。なぜなら日本の電力供給は福島第一原子力発電(以下「福島原発という)の水素爆発以降、関電の大飯原子力発電所で2機稼動(3号機は9月2日、停止。4号機は同月15日停止。定期検査のため)していましたがそれ以外の原子力発電はすべて停止しているんですよ。

 下の図表、一番上の表は福島原発事故以前の発電量です(10社合計)
 原子力発電の発電量(平成22年度)は一般電気事業者(北電、東北電、東電、中部、北陸、関電、中国、四国、九電、沖電)10社の33%を占めています。



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 日本の原子力発電は総発電量に占める割合から分かる通り、政府は「基幹エネルギー」「ベース供給力」と呼んできました。
 そして図3の通り、54機もの原子力発電が稼動していたのです。

 その原子力発電がすべて停止(大飯原発も停止して日本のすべての原発が停止した時期もあった)。

 普通であれば真っ青になって、代替電源を確保する手立てをしなければいけない事態です。あるいは、非常事態で電力を確保できないから産業界、国民に原子力発電が止って、生産できなくなった電力量に見合う、「節電」を強力に求める。電力の使用制限命令の発動など。あってもおかしくない事態です。電力のことなどよく知らない私など普通の国民はそう思います。

 ところが「改革方針」は少しもあわて、ふためいていない。ケロッとして「改革」の目的は「安定供給を確保する」「電気料金を最大限抑制する」「需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する」であると述べているのです。

 総電力量の33%を占めていた原子力発電が停止しているのに、そのベース電源をどうするのかを問題にしないで「安定供給を確保する」ことなどできるのか。私などはまずそれを感じました。

 そして思いました。原子力発電は稼動しなくても必要とする電力はまかなえるからだ!と。そういえば福島第一原発の建屋水素爆発は2011年3月12日から15日に発生した。
 この事故を受けて各地の原子力発電は定期検査を期に次々と停止した。そして現在に至るまで2度の冬と3度の夏の電力ピーク需要を迎え、支障なく乗り切ってきた。

 福島原発発生当初こそ「計画停電」や電気事業法にもとづく電力使用制限命令が大口電力消費企業に発せられましたがそれも2011年の夏だけ。それ以降、節電の呼びかけはやられたがそれ以上の「要請」や「命令」は発せられることなく、夏、冬の電力ピーク需用を乗り越えてきた。原子力発電が稼動しない中、電力会社同士、日常頻繁な電力融通というやりくりをすることなく乗り切ってきたのですから、矢張り原子力発電はなくても大丈夫なのだと思いました。

 原発はなくても大丈夫なのになぜ「電力システム改革」なのでしょう。