がん患者さんの就労支援相談業務のため、社会保険労務士・村上夏樹さんの(春樹さんではないんです…)『【実録】一円も使わない終活~がん告知から直葬まで、404日間の一部始終~』(飛鳥新社)を大急ぎで読破しました。
本の帯に
治療費&葬儀は、オール0円で済む!?すべての方が、ほんとうに必要になる話です。
とありますが、新人社労士の私にとっても、貴重なテキストとなりました。
「がんは怖いが、治療費も怖い」
その通りだと思います。
がんに限らず、医療費が心配で病院に行けない人もいると思います。この日本で。
不法滞在の外国人やホームレスの人ばかりではなく、働いて給与をもらっている人も同じです。パートやアルバイトという理由で会社の健康保険に加入していない人もいます。
長年働いていてずーっと保険料を支払ってきたにもかかわらず、制度をよく理解していなくて、保険給付を受け損なっている人も多いのです。
加入の手続きは会社がしてくれ、保険料は給料から天引きされているので、あまり関心が持てないのだと思います。
でも
「権利の上に眠る者は保護に値せず」です。
「もらえる権利があるのに、何もしなくて損をこうむるのはその者の責任。知らなくて損をしても、それは知らない者の責任」
村上さんの言葉ですが非常に厳しいです…
正論ではありますが、私は「知らない者」と同じくらい「伝える努力をしない者」にも責任があると思います。
広報活動をしていても、それが伝えたい人たちに伝わっていないのであれば、結果を出していないので、ビジネスなら評価はゼロです。
製品を売るために、企業は宣伝に多くの予算を費やします。営業マンは重要な職種です。公的医療保険や年金はどうでしょうか。
社会保険労務士としてできることがきっとあるはずです。
この本に出てくるのは、64歳で食道がんになった男性です。最後は緩和病棟(ホスピス)で10日間ほど過ごしています。がん告知から亡くなるまで約400日。
支出(治療費)は約120万円。収入(給付金)は約200万円。
給付金の中身は、健保組合の付加給付である一分負担還元金、移送費、傷病手当金、高額療養費、県民共済からの入院給付金や死亡共済金、解約出資金等、健保の埋葬料などです。
0円どころか、黒字決算です。
いろんなケースがあるので、公的なものを目いっぱい使っても赤字になることもあると思います。
ただ、高額療養費などは知られているようで、その実対象者の約70%がもらい損ねているということです。
制度周知の必要は大いにあります。そしてそれこそが社会保険労務士の仕事であると思います。
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